今回は、多くのスポーツ選手のメンタル指導を行ってきた西田文郎さんの著書『どん底はツキの始まり』を解説します。この本は、どん底から抜け出して成功をつかむための方法を教えてくれる一冊です。
誰しも一度はどん底を経験するものです。たとえば、恋人に振られて仕事もうまくいかないと感じている時、それがまさにどん底です。でも、どん底というのは実は大きな成長と成功のチャンスでもあるのです。
多くの人はこの事実に気づかず、落ち込んでしまいます。しかし、この本を読むことで、どん底をチャンスと捉え、そこから成功するための方法を学ぶことができます。この記事を通して、その成功脳メソッドを一緒に学び、逆境を恐れずに前進する力を手に入れましょう。
どん底はツキの始まり 逆境をチャンスに変える成功脳メソッド【電子書籍】[ 西田 文郎 ] 価格:1540円 |
深い苦しみの後には大きな喜びがある
まず一つ目のポイントは、「深い苦しみの後には大きな喜びがある」ということです。人間の感情は常に揺れ動いており、楽しいことや嬉しいことがあると快の方に振れ、悲しいことや苦しいことがあると不快の方に揺れ動きます。簡単に言えば、感情は快と不快の間を往き来する振り子のようなものです。振り子が一方に偏り続けることはなく、快を感じればその後必ず不快を感じ、不快を感じればその後必ず快を感じるのです。つまり、快と不快はセットになっています。
だから、今どん底だと感じている人は、感情の振り子が不快の方へ大きく振れているだけなのです。そして、この時の不快指数が大きいほど、次に来る快は大きなものになるのです。
人間は大きな辛さや苦しみを克服した時に大きな快感を得ることができます。例えば、誰でも倒せるような弱い敵を倒すより、何度も負け続けてやっと倒した強敵の方が達成感が高いでしょう。これは、何度も負けるという大きな苦しみを味わったからこそ、その分大きな達成感を得られるのです。
手応えのない挑戦では、達成した時の喜びもあまり大きくありません。つまり、どん底というのは大きな喜びの始まりなのです。今自分がどん底にいると感じている人は、それを克服した時に大きな喜びがやってくるということを理解しておくと良いでしょう。
反省ではなく行動すること
次のポイントは「反省ではなく行動すること」です。どん底にいると感じている時にやってはいけないこと、それは反省することです。
失敗して落ち込んでいる時には、つい反省したり自分を責めたりしてしまうものです。「こうしなければよかった」とか「自分はダメなやつだ」などと考えてしまいます。しかし、これは逆効果です。人間の脳はどん底の時に考えすぎると、余計にその状態から抜け出せなくなるようにできています。つまり、どん底の時に反省や考え込みをすると、ますます沼にはまってしまうのです。
ですから、反省してばかりいると、一生どん底から抜け出せないことになります。ではどうすれば良いのか?答えは「反省するのではなく、とにかく行動すること」に尽きます。考えるのではなく動くのです。
例えば、営業の成績が上がらない時には「どうしよう」と悩むのではなく、いろいろな人と話してみるなど、何かしらの行動を起こすことです。スランプに陥った時に黙々とバッティング練習を続ける野球選手も同じです。これは思考を止めてとにかく行動している状態です。頭ではなく体を動かす方が、早くどん底から抜け出すことができるのです。
だから、どん底にいる時こそ、反省ではなく行動を心がけましょう。
積極的闘争本能を持つこと
次のポイントは「積極的闘争本能を持つこと」です。どん底を乗り越えた時、人は自分の能力を大きく向上させることができます。そのためには、直面した課題に対して積極的闘争本能を持つことが重要です。簡単に言えば、「この課題をどうやって乗り越えよう」と考え、悩むことです。
例えば、あなたが会社からリストラされたとしましょう。これからどうやって生きようか、何か新しいことを始めなければならない、と悩むことになるでしょう。これこそが積極的闘争本能の悩みです。この悩みを解決するために一生懸命行動することで、乗り越えた時にはひと回り成長した自分に出会えるはずです。
課題をなんとかしようと苦しんだ分だけ成長できるのです。逆に、課題に対してではなく、自分を取り巻く環境に対して不満を持つことを「消極的闘争本能の悩み」と言います。先ほどの例で言うなら、「会社が悪いんだ」とか「上司がサポートしてくれなかったせいだ」といった感じです。目の前の課題と向き合わずに他人や環境への不満を口にしても、状況は好転しませんし、自分の成長もありません。
周りのせいにし続けていると、別の場所に行っても同じことで悩み続けることになります。だから、落ち込んだ時こそ積極的闘争本能の悩みを持ち、状況を打破することが大切です。これにより、どん底は成長のチャンスとなるでしょう。
不快の記憶は上書きできる
次のポイントは「不快の記憶は上書きできる」ということです。どん底をチャンスだと思えないのは、自分に「どん底から成功するなんて無理だ」と思い込ませているからです。実は「ダメだ」「無理だ」といったマイナスの認識が潜在意識に刷り込まれると、本当にできない自分、ダメな自分を作り上げてしまうのです。
例えば、「自分は仕事ができない」「仕事が嫌だ」と思っていると、その不快な記憶がどんどん溜まっていき、仕事をますます嫌いになり、実際に仕事ができない人間になってしまいます。
「それじゃあ、もう自分はダメなんですか?」と感じるかもしれませんが、安心してください。不快の記憶は新しく上書きできるのです。過去にマイナスの情報が蓄積していても、最後にプラスの情報を入れれば、過去の不快な記憶は消え、新しいプラスの記憶に置き換わるのです。
例えば、今まで何度食べても嫌いだった食べ物を久しぶりに食べてみて「意外と美味しい」と感じたことはありませんか?これは、以前の苦手意識がプラスの記憶で新しく上書きされたからです。このように、プラスの最新情報を自分に与えれば、「どん底から抜け出すことはできない」という意識を覆すことができるのです。
失敗を受け入れること
次のポイントは「失敗を受け入れること」です。人間の不快な記憶はプラスの情報で上書きできるため、大きな失敗をしてどん底だと思っていても、プラスの情報で上書きすれば立ち直ることができます。
確かに、悲しいことや苦しいことがあると、誰でもショックを受けて不快になります。大事なのは、その失敗を受け入れることです。失敗を受け入れることで、問題点をチェックし、体勢を立て直すことができます。例えば、お客様への提案で大きな失敗をしてしまった場合、ショックから逃げ出さずにまずは受け入れることが重要です。そして、今回の失敗の原因を分析し、次はどう改善するかを考えます。これにより、失敗の不快な記憶をプラスの意識で上書きすることができるのです。
失敗をいったん受け入れて、そこからプラスに転じることがポイントです。失敗に対して愚痴や不満を言ってヤケ酒を飲んだり、くよくよしているだけでは、マイナスの情報しか残らず、どん底から抜け出せません。早く抜け出すためには、失敗を受け入れ、「次はこうしよう」とプラスに持っていくことを意識してみましょう。
肯定的錯覚を持つこと
次のポイントは「肯定的錯覚を持つこと」です。成功者は、どん底にいてもそこから成功することができます。その成功者と凡人の違いは何でしょうか?
答えは「錯覚」です。例えば、金融危機や大不況というニュースを聞くと、凡人タイプの人は「お先真っ暗だ」「自分もリストラされてしまうかもしれない」と、まだ来ていない将来に対して否定的な錯覚を抱いてしまいます。対して成功者は「これはビッグチャンスなんじゃないか」と、将来に対して肯定的な錯覚を持ちます。
もちろん未来は誰にも分かりません。しかし、成功できる人は、未来に対して「きっとうまくいく」と本気で思い込むことができます。何の保証もなくてもプラスに錯覚できる力があるのです。肯定的錯覚を持っていれば、たとえリストラに遭っても「俺を手放すなんてついてない会社だな」と考え、その人にとってリストラは逆境ではなくチャンスに変わるのです。
つまり、肯定的錯覚があれば、どん底にいても常に未来に対して希望を持ち続けられます。そして、その未来を信じて行動し続けられるからこそ、彼らは成功できるのです。
夢目標を持つこと
次のポイントは「夢目標を持つこと」です。
肯定的錯覚を持つためには、夢目標を持つことが大切です。
順に説明しましょう。まず、処理目標というのがあります。簡単に言えば、やらなければならないことです。例えば、あなたがテレアポをしていて、今日は100件電話をかけなさいと指示されたとしたら、それは処理目標です。この数字を達成するだけでは人はワクワクしません。
しかし、プラス思考の人は、この処理目標の上に夢目標を持っています。例えば、いつかお金を貯めて田舎に一軒家を買いたいといった、考えるだけでワクワクするような夢があるとしましょう。このような夢があれば、たとえ仕事で失敗しても前向きに頑張り続けられるでしょう。
他人に命令された目標だけでなく、自分で立てた夢を持っていれば、目の前のことに楽しく取り組むことができ、将来に対しても希望が持てます。そういう人は失敗を経験しても簡単には折れませんし、いつも前向きでいられます。つまり、肯定的錯覚を持っている人は、この夢目標を持っているからこそ、未来に希望を持ち続けられるのです。
まだないのなら、自分が将来どうなりたいかを今一度考えてみてみましょう。
夢友を持つこと
最後のポイントは「夢友を持つこと」です。実は、夢を持つこと以外にもう一つ必要なものがあります。それは、自分の夢の話を聞いてくれる友人、夢友です。
人は夢を聞いてくれる人が一人でもいれば、周囲の大勢に何を言われても頑張り続けられます。例えば、トヨタグループの創始者である豊田佐吉は、織機を動力で動かすという当時では考えられない夢を持っていました。周囲の人々からは笑われ、頭が狂っていると噂されました。当時の妻でさえ耐えきれずに彼のもとを去ってしまいましたが、佐吉は諦めませんでした。
大多数の人が佐吉を馬鹿にする中、彼の夢を信じて支え続けてくれた人がいました。それが彼の母親と後妻の麻子さんです。麻子さんは佐吉が語る夢の話を朝まで聞いてくれ、あらゆる面でサポートしました。佐吉が成功を掴んだのは、このように自分の夢を聞いてくれる人がいたからです。夢を信じてくれる人がいたからこそ、夢に向かって進み続けられたのです。
夢を持ったら、それを一人で抱え込まず、語り合える仲間や聞いてくれる友人を見つけましょう。夢友がいれば、どんな困難も乗り越えられる力になります。
まとめ
まとめです。これまで紹介したポイントを振り返りましょう。
- 深い苦しみの後には大きな喜びがある
- 反省ではなく行動する
- 積極的闘争本能を持つ
- 不快の記憶は上書きできる
- 失敗を受け入れる
- 肯定的錯覚を持つ
- 夢目標を持つ
- 夢友を持つ
どん底から成功している人たちは、現状をポジティブに錯覚しているのです。同じ状況でも人によって捉え方は様々です。どう捉えるかは自由ですが、どうせなら現状を肯定的に見て前進し続けた方が成功に近づくことができるでしょう。
成功者の一例として、豊田佐吉の物語を思い出してください。多くの人が彼を馬鹿にする中、彼の夢を信じて支え続けてくれた人がいました。それが佐吉の母親と後妻の麻子さんです。麻子さんは佐吉が語る夢の話を朝まで聞き、あらゆる面でサポートしました。佐吉が成功を掴んだのは、自分の夢を聞いてくれる人がいたからです。夢を信じてくれる人がいたからこそ、夢に向かって進み続けられたのです。
「夢を持ったのなら、一人で夢を実現しようとするのではなく、その夢を語り合える仲間や話を聞いてくれる人を探しましょう。」
これらのポイントを実践すれば、どん底の状態からでも成功に向かって進むことができるはずです。現状をポジティブに捉え、夢目標を持つことで、前向きに進み続けるための盾になります。夢なんて考えたことがなかったという人も、ぜひ夢目標を決めてみてください。成功への一歩を踏み出しましょう。
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