『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの？』解説
橘玲さんの著書『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの？』は、お金に関する合理的な考え方を小学生でも分かるように説明した本です。この解説では、内容を分かりやすく整理しながら、ポイントごとに詳しく解説していきます。
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1. お金持ちになるには合理的な考え方が必要
✅ 合理的な考え方とは？
本書では「合理的な考え方」を 「1+1が2になることを理解できること」 と表現しています。つまり、 当たり前のことを当たり前と認識し、冷静に判断できること が重要だと述べています。
しかし、世の中には 「1+1が3や10になる」「極端な場合は100になる」と考える不合理な人も多い のです。具体例として、以下のような行動が挙げられます。
- 宝くじを買う → 当選する確率は極めて低いのに、大金をつぎ込む
- リボ払いを利用する → 今の欲望を優先し、将来の負担を考えない
- ギャンブルで勝とうとする → 統計的に負ける確率が高いのに、賭け続ける
こうした 不合理な判断を避け、合理的な選択を積み重ねることで、富を築くことができる というのが本書の主張です。
2. なぜお金が大事なのか？
本書では、お金が大事な理由を 「選択肢が増えるから」 と説明しています。
例えば：
- 150円しか持っていない場合 → 100円のお菓子 or 120円のジュースしか選べない
- 1000円持っている場合 → お菓子もジュースも両方買える
これは、日常生活にも当てはまります。
- お金がないと → パートナーが嫌でも離婚できない、仕事を辞められない、引っ越せない、旅行やデートができない
- お金があると → より自由で豊かな生き方ができる
また、日本の大学の調査によると、
- 独身なら年収800万円、子供がいる世帯なら年収1500万円 までは、収入が増えるほど幸福度が上がることが分かっています。
つまり、 お金は「幸福になるための最も確実な方法」のひとつ であり、できるだけ稼げるようになった方がよいということです。
3. お金持ちになるための3つの方法
本書では、お金持ちになるための 3つの合理的な方法 を紹介しています。
① 時間を味方につける（複利を活用する）
時間をかけて 金利や投資、スキルを積み上げていく ことで、資産を増やしていく方法です。
✅ 複利とは？
- 100万円を年利5%で運用 → 1年後 105万円
- そのまま運用すると、2年目は 110万2500円（増えた5万円にも金利がつく）
- 30年後には432万円に増加
この 「お金がお金を生む仕組み」 を利用し、長期的に運用することで、大きな資産を築くことができます。
✅ スキルも複利と同じ
- コンビニバイトやUber Eatsなど 「経験やスキルが積み上がらない仕事」 は、長期間続けても収入が上がりにくい
- スキルや実績が積み上がる仕事（エンジニア・専門職など）に就く ことで、長期的に収入が増えていく
結論として、 長期的に積み上げられるもの（資産・スキル）に時間を使うことが重要 だと述べています。
希少価値のある専門家になる
お金持ちになるためには、「誰でもできること」をしていても高収入は得られません。なぜなら、市場には多くの競争相手がいるため、同じ仕事をする人が増えるほど、その仕事の価値は下がってしまうからです。したがって、希少価値の高いスキルを身につけることが、高収入を得るための重要なポイント になります。
本書では、希少価値のある人材になるために、以下の 3つの方法 を紹介しています。
圧倒的な努力でプロになる
最もシンプルな方法は、「ある分野でトップレベルの実力を持つプロフェッショナルになること」です。この道を選ぶと、その分野で唯一無二の存在 となり、他に代替できる人がいないため、非常に高い収入を得ることが可能です。
✅ 具体例
- スポーツ選手（プロ野球選手・サッカー選手など）
- 芸人・俳優・歌手
- 漫画家・作家
- YouTuber・インフルエンサー
- 起業家
例えば、大谷翔平選手やダウンタウンの松本人志さんのようなプロフェッショナルは、その才能と努力によって唯一無二の存在となり、高い収入を得ています。しかし、こうした分野で成功するのは 全体の0.1%程度 と非常に狭き門です。
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✅ 「好きなこと」じゃないと続かない理由
この道で成功するには、「圧倒的な努力」を長期間続けることが求められます。しかし、人間には「限界効用逓減の法則」があるため、最初は楽しくても、時間が経つにつれて努力が苦痛になりやすいのです。例えば：
- 最初は楽しくプレイできたゲームも、レベルが上がると成長が遅くなり、つまらなくなる
- 新しいスポーツを始めたばかりの頃は上達が早いが、ある程度のレベルになると成長が鈍化する
この 「成長が止まったときに続けられるかどうか」 が、プロになれるかどうかの分かれ目です。そのため、本当に好きなことでなければ、プロの領域まで到達するのは難しい のです。
また、成功するためには 「才能」「運」「競争」 の要素も関係するため、努力だけではどうにもならないこともあります。だからこそ、リスク管理のためにも 「他の道も考慮しつつ、この道を目指すべき」 だと本書では述べられています。
勉強して専門職に就く
2つ目の道は、勉強を頑張って専門職に就く方法 です。先ほどのプロの道とは異なり、成功確率が高く、安定した高収入を得やすい選択肢 となります。
✅ 具体例
- 医師
- 弁護士
- エンジニア
- プログラマー
- 研究者
- 会計士・税理士
- 建築士 など
これらの職業は 一定の資格や専門知識が必要なため、誰にでもできる仕事ではない という特徴があります。そのため、市場価値が高く、安定した収入を得やすい のです。
✅ 成功確率が高い理由
本書では、これらの仕事を「ベルカーブ型の仕事」と呼んでいます。これは、「上位30%に入れば十分に高収入が得られる仕事」を意味します。
例えば：
- 米津玄師さんのようなアーティストや、大谷翔平選手のようなプロスポーツ選手になるには「上位0.1%」に入る必要がある
- しかし、医師や弁護士になりたい場合は、「上位30%」に入れば十分成功できる
この 「成功の難易度の違い」 が、プロの道と専門職の道の大きな違いです。
✅ 現実的な選択肢として
多くの親が「勉強しなさい」と言うのは、こうした 「成功確率の高い道」を選ばせるため です。0.1%しか成功できない芸人やYouTuberを目指すよりも、30%の確率で成功できる専門職を目指す方が、お金持ちになる可能性が圧倒的に高い からです。
また、たとえプロやアーティストを目指す場合でも、専門職を目指して勉強しておけば、万が一失敗したときの選択肢を増やすことができる というメリットもあります。
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ニッチな市場を狙う
3つ目の道は、競争の激しい市場を避け、あえてニッチ（隙間）市場で戦う方法 です。これは、学歴や特別なスキルがなくても成功する可能性がある戦略 であり、多くの人にとって現実的な選択肢となり得ます。
✅ ニッチ市場とは？
「ニッチ（Niche）」 とは、「隙間市場」を意味します。これは、大手企業や強いライバルが参入しにくい市場で、特定のターゲットに特化して戦う戦略です。つまり、「大手や競争が激しい分野を避け、自分だけの独自のポジションを確保する」 ことで、生き残りやすくなるという考え方です。
一般的に、競争が激しい市場では、知名度や資本力、スキルがある大企業や有名人が圧倒的に有利 です。しかし、ニッチ市場を狙えば、特定の需要に応じた独自の価値を提供することで、少ない競争の中で高い報酬を得ることが可能 になります。
✅ 具体例
1. 地域特化型ビジネス
例：コンビニ業界の「セコマート」
- 日本のコンビニ業界は、セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン という大手3社が圧倒的なシェアを誇ります。
- しかし、「セコマート」は全国展開を避け、北海道に特化することで成功 しました。
- 独自の商品開発や地域密着型のサービスを提供することで、大手と正面から戦わずに生き残る戦略 を取っています。
👉 ポイント
→ 全国展開せず、あえて地域に特化することで競争を避け、成功する戦略。
2. 特化型コンテンツの発信
例：YouTubeやTikTokでの特化型コンテンツ
- 一般的なエンタメ系YouTuberは競争が激しい（例：ゲーム実況・バラエティ動画）。
- しかし、特定のジャンルに特化したチャンネル（例：科学解説、歴史、法律、ビジネス講座など）は、競争が比較的少なく、成功しやすい。
- TikTokやInstagramでも、大手メディアが手を出しにくいニッチなジャンルを狙うことで、フォロワーを獲得しやすい。
👉 ポイント
→ 大衆向けではなく、特定の興味を持つ層に向けたコンテンツを作ることで、競争を避けながらファンを増やす戦略。
3. 専門性を持ったフリーランスや個人事業主
例：医療翻訳に特化した翻訳家
- 一般的な翻訳者は競争が激しく、低価格の仕事が多い。
- しかし、医療や法律など、専門知識が求められる分野に特化すれば、高単価の仕事が受けやすい。
- さらに、「特定の言語」「特定の業界」など、さらに細かく特化することで、他に代替できる人が少なくなり、市場価値が上がる。
👉 ポイント
→ 誰でもできる仕事ではなく、「特定の業界」「特定のスキル」に絞ることで希少価値を高める。
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✅ ニッチ市場を狙うメリット
1. 競争が少ない
- 大手と正面から戦う必要がない ため、生存率が高い。
- 競争が少ない市場では、価格競争に巻き込まれず、高単価で仕事を受けやすい。
2. 独自のポジションを確立しやすい
- 「○○といえばこの人（この企業）」 というポジションを作れると、ファンやリピーターがつきやすい。
- 例：「北海道のコンビニといえばセコマート」「法律系のYouTubeといえば○○さん」など。
3. 低コストで始められる
- 全国展開をしない地域特化型ビジネスや、オンラインでの特化型コンテンツは、初期投資が少なくても始められる。
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✅ ニッチ市場を狙う際の注意点
1. 需要がなければ成立しない
ニッチ市場を狙うことは重要ですが、そもそも 需要がない分野に参入しても、ビジネスになりません。
- 「誰がこのサービスを必要としているのか？」 を事前にしっかりリサーチすることが重要。
2. 市場が小さすぎると成長が難しい
- あまりにも小さすぎる市場を狙うと、成長の余地がなくなります。
- 例えば、「北海道のコンビニ市場」は一定の需要があるが、「離島限定のコンビニ」ではビジネスとして成り立ちにくい。
- ある程度の規模の市場であることを確認することが大切。
3. 独自性をしっかり打ち出す
- ニッチ市場を狙う場合、大手と同じことをしても意味がない。
- 「なぜ自分（自社）を選ぶべきなのか？」を明確にすること が重要。
「どの道を選ぶかを慎重に考え、ダメなら軌道修正することが重要」 だと述べています。競争の激しい市場で勝つのではなく、自分が活躍できるフィールドを見つけることが、お金持ちになるための近道 なのです。
③ マイナスサムゲームを避け、プラスサムゲームをする
お金を増やすためには、「どのようなゲームに参加するのか？」を慎重に選ぶことが重要です。本書では 「ゲーム理論」 を活用し、「自分がお金を投じるゲーム」がプラスになるかどうかを見極めるべき だと述べています。
ゲームには大きく分けて 3つの種類 があります。
✅ 3つのゲームの違い
① ゼロサムゲーム
「勝った人と負けた人の収支がちょうどゼロになるゲーム」 を指します。
✅ 具体例
- じゃんけんで賭けをする
- ポーカー
- FX（外国為替証拠金取引）
例えば、AさんとBさんが100円を賭けてじゃんけんをした場合、Aさんが勝てばBさんは100円を失います。すると、Aさんの利益（+100円）とBさんの損失（-100円）が相殺され、全体としてプラスマイナスゼロ になります。
👉 ポイント
→ ゼロサムゲームは、「誰かが得をする一方で、誰かが必ず損をする」仕組みになっています。
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② マイナスサムゲーム
「参加者全員の収支を合計するとマイナスになるゲーム」 です。
これは、手数料が引かれることで、参加すればするほど損をする仕組み になっています。
✅ 具体例
- ギャンブル（パチンコ・競馬・宝くじ）
- 生命保険
- 短期株式売買（頻繁な手数料負担）
例えば、競馬でAさんとBさんが100円ずつ賭けたとします。しかし、運営側（胴元）は30円の手数料を取ります。すると：
- Aさんが勝って200円をもらうはずが、手数料を引かれて170円しか受け取れません。
- 負けたBさんは100円を失い、最終的な収支は Aさん（+70円）、Bさん（-100円）、運営（+30円） となります。
- 2人の合計収支は -30円（マイナス） です。
👉 ポイント
→ マイナスサムゲームでは、プレイヤーが増えれば増えるほど、全体として損をする仕組みになっている。
③ プラスサムゲーム
「参加者全員が得をする可能性があるゲーム」 です。
経済が成長するにつれて資産が増え、長期的に見れば、ほぼ確実に利益を得られる投資のこと を指します。
✅ 具体例
- 株式投資（長期運用）
- インデックス投資（S&P500・オールカントリーなど）
- 不動産投資（適切な物件の購入・運用）
- ビジネスへの投資（起業・事業拡大）
例えば、Aさんが1000円をインデックス投資（S&P500）に投じた場合、1年後には企業の成長や配当によって 1050円や1100円に増える可能性が高い です。
さらに、他の投資家も同じように資産を増やせるため、参加者全員が得をする「プラスサム」の構造になっています。
👉 ポイント
→ プラスサムゲームに投資することで、長期的に安定した利益を得ることができる。
✅ ギャンブルはなぜ損するのか？
ギャンブルが「マイナスサムゲーム」である最大の理由は、「胴元（運営側）の手数料が高すぎる」 ことです。
✅ 代表的なギャンブルの手数料
- パチンコの手数料：20%
- 競馬の手数料：30%
- 宝くじの手数料：50%
例えば、宝くじは売上の約50%が運営側に回る ため、1000円分の宝くじを買っても、実際の当選金額は500円分しか配られません。つまり、長期的に続ければ続けるほど損をする構造 なのです。
👉 結論
→ ギャンブルは「娯楽」として楽しむのはOKだが、「お金を増やす手段」としては不適切。
✅ 長期的な投資が正解
📈 なぜインデックス投資がベストなのか？
インデックス投資とは、市場全体に分散投資し、経済の成長に合わせて資産を増やしていく方法 です。
✅ インデックス投資（S&P500など）の特徴
- 手数料が 0.09%と極めて低い（ギャンブルの50%と比較すると雲泥の差）
- 長期的に経済成長するため、資産が増えやすい
- 短期の売買を避け、長期保有することで手数料負けしない
例えば、S&P500（アメリカの代表的な株価指数）に長期投資すると、過去30年間で年平均7〜10%のリターンを得ている ため、時間をかけるほど資産が増えていくのです。
👉 ポイント
→ 短期売買は手数料負けしやすいが、長期保有すれば手数料の影響を最小限に抑え、確実に資産を増やせる。
- お金を増やしたいなら、確実にプラスサムゲームを選ぶべき！
- ギャンブルや短期売買にハマるのではなく、長期投資で資産を確実に増やすことが賢い戦略
この本では、「お金を増やすためには、まず自分がどのゲームに参加しているのかを理解することが重要」 だと強調しています。
最終的に 「勝ち続ける人」と「負け続ける人」の違いは、参加するゲームの選び方にある」 のです。
まとめ
本書のポイントを整理すると：
- 時間を味方につける（複利やスキルを積み上げる）
- 希少価値のある専門家になる（プロ・専門職・ニッチ市場）
- マイナスサムゲームを避け、プラスサムゲームで稼ぐ
さらに、 「最悪の事態を想定しながら行動する」 ことが、お金持ちになるための基本戦略です。
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補足
本書では、お金の話だけでなく 「人間関係の攻略」 についても触れられています。いくらお金があっても、孤独では意味がないため、人との付き合い方も大切になるのです。興味があるひとは読んでみてくださいね！！
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