人はなぜ寂しさに苦しむのでしょうか?今回は脳科学者の中野信子さんの著書『人はなぜ寂しさに苦しむのか』を解説していきます。この本は、寂しさについて深く教えてくれる一冊です。
人間なら誰しもが時々寂しさや孤独感を抱くことがあります。実際に、政府が2023年に行った全国実態調査によると、約4割の人が孤独を感じていることが分かっています。賢二さんも時折寂しさを感じると話していますが、一方で、りんさんのように一人でいることを好む人もいます。このように、寂しさや孤独感の感じ方は人それぞれ異なるため、他人と共有しづらいものです。
さらに、現代社会では忙しさから、寂しさを感じた時にすぐに親友と会うことが難しい状況もあります。そのため、過食やお酒、タバコ、薬物、ギャンブル、ゲーム、買い物などに依存する人も増えています。人生と寂しさは切っても切れない関係にあるため、私たちは寂しさと上手に付き合っていく必要があります。
そこで、脳科学者である中野信子さんから、寂しさの対処法を学びましょう。本日のブログを通じて、寂しさについて深く知ることができるようになるでしょう。
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まずはなぜ私たちが寂しいと感じるのか?
さて、まずはなぜ私たちが寂しいと感じるのか、その理由を説明していきましょう。結論から言うと、寂しさを感じるのは自分の命を守るための防衛本能から来ています。
どういうことかというと、石器時代の頃、私たちは過酷な環境で生き延びるために、みんなで協力して生活していました。もしその時代に群れから追い出されて長期間一人になってしまうと、ライオンに襲われたり飢えたりして死ぬことを意味していました。
「今は安全だし、一人でも生きられますよね」と思うかもしれませんが、私たちの脳は今でも石器時代の狩猟採集社会で生活していると本気で信じています。なぜなら、ホモサピエンスが誕生してから20万年もの間、ずっと協力し合って生きてきたからです。私たちが一人でも生きられるくらいに豊かになったのは、たった数十年前のことです。
そのため、長期間一人で過ごすと、脳は「一人でいるのは危険だ」と警告し、不安や緊張、気分の落ち込みといった感情を引き起こして、人との交流を求めさせるように動かします。つまり、寂しさを感じるのは生き延びるための防衛本能であり、正常な反応なのです。
人間は寂しさや孤独を感じるからこそ、他の人と協力し、交流し、家族を持つことで今日まで繁栄してきました。ちなみに、恐怖や不安などのネガティブな感情も命を守るための防御反応です。
このように、寂しさは私たちの命を守るために非常に重要な役割を果たしています。ここでは、寂しさを感じるのは生き延びて子孫を残すための防衛本能であることを覚えておいてください。
1歳半までに人が寂しさを感じやすいか感じにくいかが決まる
次に、1歳半までに人が寂しさを感じやすいか感じにくいかが決まるという点について説明します。誰でも多かれ少なかれ寂しさを感じるものですが、その差はどこで決まるのかというと、生まれつきの遺伝と1歳半までの育てられ方の2つで決まることがわかっています。
実際に、イギリスの精神科医であるジョン・ボウルビー先生は、1歳半までに一人でいることへのストレス耐性や他人と過ごすのが好きか、集団でいるのを嫌うかなどの性質が出来上がると提言しています。そのため、一人旅を嫌う人もいれば、一人旅を好む人もいるのです。
寂しさを感じやすい人は、遺伝と育てられ方が原因なので、自分ではどうしようもない部分があります。そういった自分の性質を理解し、うまく付き合っていくしかありません。人生とは、思い通りにならない自分の性質とうまく付き合って生きていくものなのです。
ここで理解しておいてほしいのは、遺伝や1歳半までに育った環境が違うため、寂しがり屋の人に「一人は楽しいよ」「一人最高」と価値観を示しても、根本的な解決にはならないということです。自分ではコントロールできない部分もあるのです。
もし、自分が一人でいても特に寂しさやストレスを感じないのであれば、それはそれで全然OKです。しかし、寂しさや孤独に押しつぶされて涙が出てきたり、睡眠の質が悪くなったり、気分が暗くなったりする人は、そのまま寂しさや孤独を放置すると不健康になるので注意が必要です。
ここまでで理解してほしいのは、寂しさの感じやすさは遺伝と1歳半までの育てられ方で決まるため、努力すればなんとかなるという性質のものではないということです。
孤独や寂しさが長く続くと不健康になりやすい
次に、孤独や寂しさが長く続くと不健康になりやすい理由について説明します。
孤独や寂しさが一時的なものであれば、それほど大きな問題にはなりません。しかし、これらの感情が長く続くと、ストレスに耐え切れなくなり、不健康になりやすくなります。
実際に、2015年にブリガムヤング大学が行った研究によると、社会的な繋がりを持っていない人は、社会的な繋がりを持っている人と比べて、うつ病、認知機能低下、呼吸器疾患、睡眠の質の低下、ウイルス感染のリスクが高まり、死亡率が26%も高まることが分かっています。これは、タバコやお酒、肥満、運動不足などの影響よりも大きいのです。
さらに、ボランティア活動や趣味、習い事などのグループ活動に参加している人は、交流のない人よりも健康寿命が伸びることも分かっています。しかし、一人でいても孤独や寂しさを感じない人は問題ありません。重要なのは本人が孤独を抱いているかどうかであり、友人が少なくても寂しさを感じていなければ何の問題もありません。
ただし、自分が孤独だと思っていないだけで、実は孤独な人もいるため、判断が難しいこともあります。ここでは、孤独や寂しさによるストレスが思っている以上に健康に悪い影響を与えるということを覚えておいてください。
寂しさを解決するのはとても難しい
寂しさを解決するのはとても難しい理由について説明します。
寂しさを感じる人もいれば感じない人もいるため、他人と共有しづらい感情です。また、世間では寂しいことや「ぼっち」に対するネガティブなイメージが強いため、寂しさを表に出しづらいのです。
例えば、寂しさを感じることは恥ずかしいことや惨めなことだという先入観があります。そのため、寂しいと感じても「誰か話を聞いてほしい」と言いづらいですし、仮に言ったとしても誰も寄ってこないかもしれません。
さらに、中野信子さんの本では、安易に誰かを求めると、その心の隙間に付け込まれて悪徳商法や詐欺、カルト宗教などに利用されてしまうと指摘しています。だからと言って、好きでもない人と会っても逆に孤独感が強くなるだけです。
寂しさは非常に解決しづらい問題です。それなのに、放置しておくと不健康になってしまうのです。寂しさをダメなこと、恥ずかしいことだと思って隠していると、最終的にはお酒をたくさん飲んだり、パチンコ、ゲーム、ギャンブル、過食、買い物などに依存してしまいやすくなります。
ちなみに、この本では「理解」「共感」「対等」という3つの条件を満たす相手といることが望ましいと書かれていますが、大人になるとそのような友人を見つけるのは難しく、たとえ見つかっても、自分の都合で気軽に会うことは難しいでしょう。
ということは、多くの人は自分自身で寂しさを埋める方法を見つけるしかないのです。
1人でもできる寂しさへの対処法
さて、ここからは1人でもできる寂しさの対処法を3つ紹介していきます。
1. 運動すること
まず1つ目の対処法は運動することです。運動は、幸せホルモンであるセロトニンを分泌させ、思考を前向きにし、気分を安定させる効果があります。激しい運動は必要ありません。軽くウォーキングしたり、軽く筋トレをするだけでも十分効果があります。街中を散歩したり、ジムで筋トレをするのも良いでしょう。お金があれば、パーソナルジムでトレーナーと話しながら筋トレをするのもおすすめです。ここでは、寂しさの1つ目の対処法として運動することを覚えておいてください。
2. 1人でできる趣味を持つこと
2つ目の対処法は、1人でできる趣味を持つことです。自分が夢中になれることがあれば、寂しさや孤独を感じにくくなります。例えば、楽器を弾く、カフェ巡り、銭湯巡り、絵を描く、書道、旅行、文章を書く、写真を撮るなどがあります。この本では特に読書がおすすめされています。読書は1人で行うものですが、本や自分自身と対話し、考えを整理する行為です。ストレスを受けると興奮する扁桃体の活動を抑え、心を落ち着かせます。また、新しい知識を得ることでドーパミンが活発になり、達成感や喜びを感じることができます。無理に趣味を続けようとせず、軽い気持ちで色々試してみると良いでしょう。ここでは、1人でできる趣味を持つことを覚えておいてください。
3. 見知らぬ人とちょっとした会話ができる場所に出かけること
3つ目の対処法は、見知らぬ人とちょっとした会話ができる場所に出かけることです。カフェなどで軽く挨拶や会話をするだけでも気分が晴れます。ボランティアや趣味、習い事などのグループ活動に参加するのも良いですが、カフェは特におすすめです。お金を少し払えば誰でも利用でき、気軽に行けるし、帰りたい時に帰れます。コンセントやWi-Fiがあり、深く人と関わらなくても良いのでしがらみがありません。スタバやタリーズで店員さんと軽く挨拶をするだけでも少しいい気分になります。見知らぬ人とちょっと会話ができる場所は、多くの人の孤独を癒している可能性があります。ここでは、見知らぬ人とちょっとした会話ができる場所に出かけることを覚えておいてください。
まとめ
私たちが寂しいと感じるのは、自分の命を守るための防衛本能です。寂しさの感じやすさは、遺伝と1歳半までの育てられ方で決まります。孤独や寂しさによるストレスは健康に悪影響を及ぼしますが、寂しさを感じることには恥ずかしいというイメージがあるため、なかなか表に出せません。そのため、お酒、過食、ギャンブルなどで寂しさを埋めようとして身を滅ぼしてしまう人も多いのです。
そこで、1人でも寂しさを解決する良い方法を紹介します。
- 運動すること
- 軽いウォーキングや筋トレをすることで、セロトニンが分泌され、気分が安定します。
- 1人でできる趣味を持つこと
- 読書、カフェ巡り、銭湯巡りなど、自分が夢中になれる趣味を見つけることで、寂しさや孤独を感じにくくなります。
- ちょっとした会話ができる場所に出かけること
- カフェなどで軽く挨拶や会話をするだけでも気分が晴れます。
また、人間関係を良好に保つ秘訣は、適度な距離感を維持することです。程よい距離感で人と付き合うためのポイントは、「期待しない」「要求しない」「批判しない」の3つです。
これらの対処法を実践して、寂しさをうまく乗り越えていきましょう。それでは、今日のブログを終わります。ありがとうございました。
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