没頭状態「FLOW」になるためにやること

心理学
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もしかすると、今日は計画通りに仕事を、思ったように集中できなかったのではないでしょうか?

午前中に終わるはずの作業が一日中かかってしまった。そんな経験は誰しもが持っているはずです。一方で、結果を出している同僚は既に仕事を終え、次の仕事に取りかかっている。同じ部署の成績トップの人たちは忙しいはずなのに驚くほど効率的に仕事をこなしています。どうしてそんなことが可能なのでしょうか?自分はこれだけやってやっとの思いで一日が終わるのに、彼らはとても楽しんでいるように見える。しかも生産性が自分より高いなんて、不思議に思いませんか?

どうして自分と結果を出している人たちの間でこんなにも生産性に差があるのか。やっぱり能力が違うのかと諦めかけたこともありました。しかし、海外の情報や心理学、脳科学の分野を学んでいくうちに、どうやらそうではないことが分かってきました。

実は、私たちの生産性が低いのは能力の問題ではなく、脳のある特定の状態を作り出せていないからなんです。その状態とは「フロー」と呼ばれるもの。フローとは深い没頭状態のことを指し、皆さんも何かに集中しすぎて気づいたら時間が経っていたという経験があるでしょう。それがまさにフロー状態です。成功を収めた人々や大企業のCEO、トップインフルエンサー、アスリート、アーティストたちがパフォーマンスを最大限に発揮する時、彼らは必ずと言っていいほどフロー状態に入っています。周囲の高い生産性を持つ人々も、このフロー状態を意識的にか無意識的に操っているのです。

「集中しないといけないのは分かる。でも、そんな深い集中状態に簡単に入れるの?」と思ったかもしれません。安心してください。実はフローに入る方法は科学的に確立されつつあり、現在では1万以上のフローに関する研究論文があります。コツを掴めば、誰でも意図的にフローに入ることが可能です。

「FROW]の効果

時間感覚の歪み

フロー状態に入ると、脳内の時間感覚が歪むことがあります。「もう1時間も経っていたの?」と感じた経験はないでしょうか?これはフロー状態、すなわち深く没頭していた証拠です。反対に、全力疾走で肺が張り裂けそうになった瞬間や、つまらない仕事をしている時など、辛い時間が1分でも1時間に感じることもあるでしょう。私たちの脳は、その状態次第で時間感覚を簡単に歪ませるのです。

フロー状態は、本来好きなことをしている時に最もアクセスしやすいものです。しかし、条件さえ整えば、やりたくないことでもフロー状態に入ることが可能です。つまり、やりたくないことに取り組んでいるにもかかわらず、自分を忘れるほど没頭することができるのです。気づいた時にはそのタスクが終わっているという感覚を味わえるでしょう。まるで意識を失っている間に、もう一人の自分が仕事を片付けてくれているような、不思議な状況を作り出せるのです。

この時間感覚の歪みは、フロー状態のもう一つの効果である「幸福度の向上」にもつながっています。フロー状態に入ると、時間が飛ぶように感じるだけでなく、達成感や満足感も得られるため、結果的に幸福度が上がるのです。

生産性の向上

フローに入ることで最も明らかな恩恵の一つは、生産性の大幅な向上です。深い集中状態に入ればパフォーマンスが向上することは多くの人が予想するでしょうが、フロー状態に入ると、アイデアが次々と湧いてくるようになります。作家が「筆が乗ってきた」と感じるのと同じ現象です。

実際に、フロー状態に入ると脳波がクリエイティブな状態になることが科学的に証明されています。人間の脳波は大まかに4つに分類されており、通常の覚醒状態のベータ波、リラックス状態のアルファ波、睡眠に近い状態のシータ波、完全に寝ている状態のデルタ波があります。「アイデアの3B」という言葉をご存知でしょうか?バス(bus)、バスルーム(bathroom)、ベッド(bed)の3つの場所でアイデアが浮かびやすいと言われています。この3つに共通しているのはリラックスしている時です。フローに入っている人の脳波は、アルファ波やシータ波の領域にあることが分かっています。つまり、フロー状態に入ることで脳自体がクリエイティブモードに切り替わるのです。

「自分はクリエイターではないし、クリエイティブな発想は必要ない仕事をしているから関係ない」と思う方もいるかもしれませんが、少しお待ちください。確かに、クリエイティブな仕事をしなくても日本で生活していくことは可能でしょう。しかし、これからの時代、クリエイティブな発想ができない人は確実に淘汰され、価値のある人間とそうでない人間の二極化が進むと思います。クリエイティブな発想ができない人は、次第に雑な扱いを受けることになるでしょう。実際に、今すでにそのような風潮が強まっています。

フロー状態に入ることで、あなたの生産性だけでなく、クリエイティビティも飛躍的に向上するのです。これからの時代に適応し、価値を高めるためにも、フロー状態を意識的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

幸福度が上がる

「ただ集中しただけで幸福度が上がるなんて信じられない」と思うかもしれません。しかし、フローを発見した心理学者ミハイ・チクセントミハイは、最初は人生の幸福について研究していました。彼が世界中の人々に「人生で最も幸福だった瞬間」について尋ねたところ、驚くべき共通点に気づきました。どの人も「夢中になっていた」と答えたのです。この意識状態をさらに研究するうちに、彼はフロー状態にたどり着きました。

私も最初は、フローに入っている人が幸福になりやすいという単純な話だと誤解していました。しかし、実際には幸福について突き詰めていくと最終的にフローに行き着くという、人間の根本に関わる発見でした。これはまさに大発見です。なぜなら、幸福になるためにはお金や権力が必要ではなく、フローに入る頻度を増やすことが鍵だからです。これほど簡単で効果的な方法は他にありません。

フロー状態に入ることで、日常生活においても多くの幸福を感じられるようになります。フローに入ると、時間の感覚が歪むだけでなく、達成感や充実感も得られます。この結果、幸福度が自然と高まるのです。フローを意識的に取り入れることで、あなたの生活はより豊かで満足のいくものになるでしょう。

フローに入る4つのルール

皆さん、フローに入りたいと思ってきたのではないでしょうか?お待たせしました。いよいよフローに入るための4つのルールをお伝えします。

フローに入る4つのルールは次の通りです:

  1. フローは環境が9割、フロー部屋を作る
  2. ルーティンを使って脳をフローにアクセスしやすい状態に整える
  3. 難易度を「ちょいムズ」で設定する
  4. 午後は休息をしっかり取る、フローは3から4時間までしか使えない

この4つのルールを守れば、誰でもフローに入ることができます。

ルール1: フローは環境が9割、フロー部屋を作る

フロー状態に入るためには、まず環境を整えることが重要です。フローは自我を忘れるほどの集中状態なので、少しの外部刺激でも簡単に途切れてしまいます。以下の3つのポイントを押さえて、フローに入りやすい環境を作りましょう。

1. まとまった時間を取ること

フロー状態に入るまでにはある程度時間がかかります。作業を始めてからフローに入るまでには通常15分から20分かかると言われています。そのため、最低でも1時間、可能であれば2〜3時間のまとまった時間を確保しましょう。朝の時間帯は特に集中しやすく、周囲が静かで邪魔が入らないため、フローに入るのに最適です。私も朝早く起きて作業をすることが多いです。成功者が早朝に出社して仕事をしていたという話も、フローの環境作りを理解した上での行動だと思います。

2. スマホを排除すること

スマホは集中を妨げる最大の敵です。テキサス大学の研究によれば、スマホを机の上に置いているだけで認知能力が下がると言います。ポケットに入れるのも避け、できれば別の部屋に置くようにしましょう。どうしてもスマホを触ってしまう人は、タイムロッキングコンテナーなどの物理的にスマホに触れない環境を作ることをおすすめします。

3. 雑音を排除すること

フローは外部の雑音でも途切れることがあります。周囲の音を遮断するために、ノイズキャンセリングイヤホンを使用することをおすすめします。特に、騒音が気になる環境で作業する場合は効果的です。ホワイトノイズや自然音を流すことも有効です。音にこだわって雑音を排除することで、フローに入りやすくなります。

これらのポイントを意識して、フローに入るための環境を整えてください。

ルール2: ルーティンを使って脳をフローにアクセスしやすい状態に整える

フローに入るためには、しっかりとした準備が必要です。作業に入る前に決まった儀式を行うことで、脳に「これから集中する時間に入る」というシグナルを送ります。ルーティンを決めないと、集中できる日とできない日にムラができ、思ったような生産性が出せなくなります。

多くの人が何らかのモーニングルーティンを持っていますが、実はそのルーティンがフローに入る前のトリガーになるのです。毎朝モーニングルーティンをこなした後に作業を行うことで、脳が自然と「ルーティン後には集中する時間が始まる」と認識するようになります。

例えば、歯を磨いてシャワーを浴び、身支度を整えた後にすぐ作業に取り掛かる、といった感じです。最初は違和感があるかもしれませんが、これを繰り返すことで、モーニングルーティンの後は集中しやすくなります。

具体的なルーティンの例

1. モーニングルーティンを活用する

既に持っているモーニングルーティンを活用しましょう。毎朝決まった手順を踏んだ後に作業を始めることで、脳が集中モードに切り替わりやすくなります。

2. 呼吸瞑想を取り入れる

もしモーニングルーティンがない場合や、今のルーティンで集中できる気がしない場合は、作業に入る前に1分間の呼吸瞑想を試してみてください。呼吸瞑想は、いわゆる深呼吸です。

  • 5秒かけて鼻から息を吸う
  • 2〜3秒息を止める
  • 5秒かけて息を吐き切る

これを5回繰り返すだけで、余計な感情が浮かぶことなくスムーズに作業に入ることができます。科学的にも、フロー状態はアルファ波やシータ波の脳波が関与しており、瞑想中の脳波も同様の状態になるため、呼吸瞑想が効果的です。

3. 瞑想の習慣化

瞑想が習慣化している人は、作業前に5分間程度の瞑想を行うと良いでしょう。これにより、脳波をフロー状態に物理的に持っていくことができます。もっと簡単に行いたい人は、先ほどの簡易的な呼吸瞑想でも十分な効果があります。

これらのルーティンを取り入れて、脳をフローにアクセスしやすい状態に整えましょう。

ルール3: 難易度を「ちょいムズ」で設定する

フロー状態に入るために最も重要な要素の一つが、作業の難易度設定です。ミハイ・チクセントミハイは人間の意識状態を分かりやすく分類し、自分の実力に対して難易度が高すぎると不安や恐怖を感じ、逆に簡単すぎると退屈になることを指摘しました。これは、ゲームをプレイしたことがある人なら理解しやすいでしょう。レベルが足りない状態でボスに挑むと不安になり、逆にレベル100の状態で最初の街の雑魚モンスターを倒しても退屈なだけです。

フロー状態に入るためには、自分の実力に対して少し挑戦的な「ちょいムズ」な難易度設定が必要です。自分の実力を全て出し切れば達成できそうで、集中しないとやりきれないような難易度設定がベストです。

難易度設定のポイント

1. 自分の行動を記録する

難易度設定の第一歩は、自分の行動を明確に記録することです。現在の自分の実力を知らないと、適切な難易度を設定することはできません。例えば、どの作業にどれだけ時間がかかるのか、このタスクを完了するのに必要なベストタイムはどれくらいかを数字で把握しましょう。

2. タイムリミットを設定する

もう一つの有効な方法は、タイムリミットを設定することです。「1時間でこれをやる」「午前中の4時間でこれを達成する」といった具合に、具体的な時間制限を設けることで難易度を調整できます。タイムリミットの設定は締め切り効果を生み出し、集中力を高め、フロー状態を持続させるのに役立ちます。

実力の測定と適切な難易度設定

難易度設定の基本は、まず自分の実力を測定することです。そして、その実力を基に、少しだけ挑戦的な目標を設定します。タイムリミットを活用することで、作業の難易度を適切に調整し、フロー状態に入りやすくなります。これがルール3の核心です。

ルール4: 午後は休息を一生懸命取る、フローは3から4時間までしか使えない

フロー、生産性に関心がある人に共通する課題として、頑張りすぎて休息を疎かにすることがあります。これは過去の私もそうでした。多くの人が誤解しているのは、「1日中フロー状態を維持できる」ということです。

しかし、人間の集中力の限界は一般人で約2時間、訓練された人でも長くて4時間です。「自分は10時間でも作業できる」と思う人もいますが、その場合、確実にパフォーマンスは落ちています。午後以降の作業はどうやってもフロー中の生産性には及びません。午後や夜の時間帯はフローが使えないことを知っておくだけでも、時間の使い方が上手くなり、最小の努力で最大の結果を出せるようになります。

具体的なアプローチ

1. 午前中に頭を使う作業を行う

午前中は頭を使う作業を優先しましょう。これはフローに入る生産性を最大限に活用するためです。例えば、原稿作りや重要な決断を伴う仕事など、集中力が必要な作業を行います。

2. 午後は単純作業やインプットを行う

午後は頭を使わない単純作業やインプットに充てます。例えば、YouTubeの録音や字幕編集、人とのミーティング、事務作業、LINEの返信などが適しています。また、読書や学習といったインプットも午後や夜に行うと効果的です。

3. 夜は22時を過ぎたら作業を止める

夜は22時を過ぎたら作業を止めましょう。夜中に作業を続けてもパフォーマンスは下がるだけです。翌日の朝に作業を回すことで、より高いクオリティの成果物を作り上げることができます。睡眠時間を削ってもメリットはなく、むしろデメリットしかありません。夜中に作業するよりも、翌朝早く起きて集中力が高い状態で取り組む方が効果的です。

終わりに

今回は、究極の没頭状態であるフローに入る方法についてお話ししました。私たちに与えられた時間は誰にでも平等です。しかし、結果が平等でないのは、与えられた時間をどれだけ生産的に使ったかに差があるからです。残酷な真実ですが、努力した時間を評価してくれるのは学校まで。社会では、たった2〜3時間の集中作業で他人の何倍も結果を出す人と、1日12時間働いても結果を残さない人がいます。この両者の違いはシンプルで、自分の集中をどこに使っているか、これだけです。

今、困難な状況にいる方も、今回の内容を何度も見返してフローを活用してみてください。確実に生産性が向上し、人生の幸福度も上がります。そして1年後には、今までの何倍も価値のある人間になっていることでしょう。

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