【政府の陰謀?】新NISA陰謀論に対して高須幹弥氏が語る【アメリカの陰謀?売国行為?】

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今回はタイトルにもある通り、新NISAに関する陰謀論についてお話しします。最近、ネット上で新NISA陰謀論を訴える人たちが増えてきていますね。

もちろん、陰謀論というのは、ある人にとっては本当のことだと信じられている内容ですが、他の人から見ると単なる陰謀論だと思われるわけです。それゆえ今回は、このテーマで高須クリニック 高須幹弥氏の意見をまとめて書いていきたいと思います。

新NISAは政府の陰謀?

高須幹弥氏自身、新NISAは良い制度だと思って利用しておられるようです。1月から新NISAが開始されて以来、日経平均やアメリカの株価(S&P500)などが上昇し、それに連動してオールカントリー(全世界株式)も上昇しました。当初は、新NISAに対して政府の陰謀やアメリカの陰謀といった否定的な意見はあまり見られませんでした。

しかし、最近の株価下落に伴い、新NISAで投資を始めた初心者たちの間では「期待していた利益が得られていない」「政府が約束していたのと違う」といった声が増え、損切りする人もいるようです。

本当にごく一部の人たちだと思いますが、新NISAを辞める方がいるようです。しかし、新NISAは基本的に長期保有が原則です。そのため、最近では「政府の陰謀」「アメリカの陰謀」「新NISAはやるべきではない」という意見が出てきています。

日本人がアメリカや他の外国の株や国際株式に投資する傾向は非常に大きいです。もちろん、新NISAで日経平均やTOPIX、日本の個別株に投資する方もいるでしょうが、人気の投資信託ランキングではオールカントリー(全世界株式)、S&P500、全米株式が上位を占めています。また、先進国株式インデックスなどの外国株を購入する人も多いです。

これによって、日本人がドルを買い、円を売る動きが生じ、円安傾向が進むのです。さらに、日本から海外への資金流出が起こり、多くの外国人が円を大量に持つようになります。こうなると、外国人が日本の土地や株を大量に買う流れが促進されます。

一方、日本人もS&P500などのアメリカ株に投資し、アメリカのオーナーとなっているわけですが、陰謀論を主張する人たちは、こうした動きを「外国人が日本の資産を買うのは売国行為であり、アメリカの圧力だ」と見なす意見を持っています。これにより、新NISAの導入が売国行為を助長し、日本の主権が奪われるとし、新NISAには反対する人もいます。

ドルへの信頼と日本の経済停滞:アメリカとの関係が生む不安と陰謀論

現在、世界ではアメリカのドルへの信用が失われつつあります。アメリカは基軸通貨としてのドルや、石油取引に使用されるペトロドルを維持していますが、このシステムから離れる国が増えている状況です。

そのため、アメリカにとってドルを基軸通貨とし、ペトロドル体制を維持することは、経済を支えるために必須となっています。 日本はアメリカの同盟国であり、その体制に加担させられているとする意見があります。アメリカは世界最大の対外純債務国であり、長期間にわたる貿易赤字や政府による大量の国債発行などが続いています。

日本人は多額の預金を持っていますが、これはアメリカ国民とは異なる点です。日本では投資を行う人が少なく、投資する人の割合は2割程度にとどまり、残りの8割の人々は銀行や郵便貯金に預金をしています。その結果、日本の個人や銀行預金の総額は1,100兆円にも達します。

この多額の預金に目をつけ、アメリカの経済維持のために活用しようとする圧力があると、陰謀論を主張する人たちは考えています。彼らの意見では、外資が日本企業のオーナーになることへの恐れが強く、その背景には日本の企業が内部留保を蓄え過ぎている問題があります。内部留保の蓄積は、従業員の給与向上や企業の成長への再投資よりも、バブル時代のトラウマによる危機管理が優先される傾向にあります。

そのため、多くの企業で従業員の給与が上がらず、結果として日本の経済が停滞する状況が生じているのです。

※ペトロドル体制:アメリカのペトロドル体制は、石油取引においてアメリカドルを主な取引通貨として使用する国際的な経済体制を指します。このシステムは1970年代に形成され、特に1974年にサウジアラビアおよび他のOPEC(石油輸出国機構)加盟国とアメリカ合衆国との間で成立した協定によって確立されました。

新NISA導入に伴うアメリカの影響力と日本企業の資本構造変化に対する懸念

アメリカ人が日本の企業のオーナーになると、企業の剰余金を株主への配当として吐き出す方向に働きかける可能性があります。すると、企業が持つ大量の剰余金がアメリカ人の手に渡り、日本の労働者はアメリカ人オーナーの下で安い給与で働くことになり、日本人の生活が豊かにならないと考える人たちがいます。そうした人々は、新NISAを導入すべきではないと主張しています。

これが正しいかどうかは別として、一理ある部分もありますが、すべてにはメリットとデメリットがありますし、必ずしもこのシナリオ通りに進むとは限りません。

新NISAが普及すれば、日本人の多くがアメリカの株や債券を購入し、円安が進むことで外国人やアメリカ人が日本の株や土地を安く買い占めることができるようになるため、日本が植民地化される、あるいは売国行為だという意見が出ています。

アメリカは戦争で日本に勝利して以来、強い圧力で日本をコントロールしてきたという見解もあります。戦後、ブレトンウッズ体制のもとでアメリカドルが基軸通貨となり、金本位制が確立されました。

「ブレトンウッズ体制」とは、第二次世界大戦後に世界の経済を安定させるために作られた国際金融制度のことです。この体制では、アメリカドルを世界の主要通貨、つまり「基軸通貨」とすることが決められました。さらに、アメリカドルは金と交換できるように設定されたため、「金本位制」も取り入れられました。これにより、世界中の多くの国が自国の通貨をドルと結びつけるようになり、ドルを通じて国際取引がしやすくなりました。

戦後のドル覇権とアメリカの圧力:基軸通貨の変遷と日米貿易摩擦の歴史

第二次世界大戦後、イギリスの力が弱まり、アメリカが世界の覇権国となったため、国際取引の基軸通貨をアメリカドルにする方針が採用されました。基軸通貨を持つ国は世界の貿易において重要な権益を持つことになります。貿易する際にはアメリカドルが使用され、世界中の国がドルを求めるため、ドルの力が強まりました。さらに、アメリカは自国通貨であるドルを発行する権利があるため、大量に発行されたドルで世界中の資源や製品を手に入れることができました。

そのようなドルの支配的な力に他国が反発しないように、アメリカはドルを金と交換できるようにする「金本位制」を導入し、各国を納得させるために為替相場を固定しました。1ドル360円とする固定相場制を取り入れ、ドルの信頼性を高めました。

しかし、ベトナム戦争によるアメリカの出費がかさみ、1971年にニクソン大統領が金本位制を突然廃止し、変動相場制へと移行しました。それでもドルは基軸通貨の地位を保ち続け、石油取引でもドルが使われる「ペトロダラー」体制が維持されました。

その後、ドル高が続くとアメリカの輸出が伸び悩み、日米間で貿易摩擦が生じました。日本がアメリカへ大量の自動車や家電製品を輸出する一方で、アメリカの輸出は停滞したためです。これを解消するために「プラザ合意」が1985年に結ばれ、円高ドル安が進みました。これにより、日本の製品がアメリカで売れなくなり、日本経済に打撃を与えました。

こうして、アメリカは日本に圧力をかけ、都合の良いようにコントロールしてきたという歴史があります。

新NISA導入に対する反対派の主張と歴史的背景:プラザ合意からの影響と疑念

新NISAの導入に対して反対派の人たちは、これがアメリカに都合の良いように操作されていると主張しています。

1985年のプラザ合意以降、日本は輸出が減少し、内需を拡大して景気を維持しようとしました。銀行は大量に融資を行い、円高の影響もあり日本の景気は好転しました。これに伴い、日本企業がアメリカの資産(例:ロックフェラーセンター、コロンビアピクチャーズ)を購入し、アメリカの反発を招きました。

その結果、アメリカの圧力による総量規制が導入され、銀行が融資を控えることになりバブルが崩壊したとされます。反対派の主張では、バブル崩壊もアメリカの陰謀だとし、新NISAもアメリカの圧力によって始められたと疑っています。 確かに、歴史的にアメリカの圧力が日本に及んでいたことは事実です。敗戦国として日本の軍事力は制限され、朝鮮戦争の後、警察予備隊から自衛隊へと変化し、アメリカの影響力が続きました。

ですが、新NISA否定派の人々は、新NISAが将来の増税への布石であると主張しています。これが、新NISAに反対する理由の一つとして挙げられています。

新NISAの重要性と自己責任の原則

幹弥氏は、新NISAを間違った政策とは思いません。確かに、これから日本は増税が進んでいくでしょうし、社会保険料も上昇するはずです。それは少子高齢化が進行し、社会保障費が増加することから避けられない流れだと理解しています。

しかし、政府は「自己努力で資金を増やし、老後のために約2000万円を貯めてください」と指導しています。そのため、新NISAは老後資金を確保するための減税策なのです。非課税枠が1800万円もあり、これは増税が他の分野で行われる代わりに新NISAで減税することで、老後資金を蓄えるための自己努力を支援する制度です。私個人的には、これはぜひ利用すべきだと思っています。

確かに新NISAが政府の陰謀のように見えるかもしれませんが、この制度は国民にとって良い仕組みだと思います。楽天証券やSBI証券などの証券会社で、月100円から積立投資を始めることができるので、まずは少額からでもやってみる価値はあるでしょう。

私は政府からお金をもらっているわけでも、政府を支持するために言っているわけでもありません。ただ、純粋に新NISAを活用すべきだと考えているので、こうして発信しています。ただし、投資は自己責任で行うべきものです。ご自身の意思で始めることが重要で、私が話している内容に納得できた場合は始める、そうでなければ始めないのも自由です。

新NISAの重要性と格差、金融所得課税の見通し

今後、新NISAを活用する人としない人の間で格差が生じる可能性があるのではないかと私は考えています。そして、今後金融所得課税が上昇することは避けられないと思います。

一方で、新NISAから社会保険料を徴収するのではないかという懸念が一部であります。確かに先日、確定申告を行う人の金融所得から社会保険料を徴収する案について議論が始まっただけであり、これが不公平だという指摘はあります。ただ、個人的な意見としては、新NISAから社会保険料を徴収することはないのではないかと考えています。

新NISAは、非課税を謳って国民に広く推奨されている制度です。それにもかかわらず、突然社会保険料を徴収することになれば、多くの国民の反発を受けるでしょう。自民党も選挙で勝つ必要があるので、社会保険料徴収の導入は選挙に不利になるため現実的ではありません。

ただし、金融所得課税が増税されること自体は避けられないでしょう。日本の富裕層は、現在20.315%の税率である金融所得課税の対象となり、「1億円の壁」と呼ばれる現象も見られます。これは大量の収入を得ている富裕層が低い税率で優遇されている現象であり、不公平だという声もあります。したがって、金融所得課税の増税は時間の問題ですが、これは富裕層の中でも特に上位0.1%など、極めて高い金融所得を得ている人から段階的に始まるでしょう。

この増税によって自民党が選挙で不利になる可能性は低いでしょう。上位0.1%が反発しても、残りの人々には影響しません。また、新NISAの非課税枠が1800万円あるため、それを超える金融所得がある人は全体の人口から見ると限られています。

そのため、金融所得課税の増税は、極めて裕福な人々から順次行われることになると考えられます。

円安の影響とNISAの促進

NISAが促進されることに対し、円安の加速や日本がアメリカの意のままになること、そして日本が植民地化され、アメリカの株主の下で日本人が低賃金で働くようになると懸念する声が聞かれます。しかし、そもそも円安は国にとってプラスであることも考慮すべきです。

確かに、輸入価格が上昇して生活が苦しくなるなど、円安のデメリットもありますが、国全体で見ると、自国通貨安は経済成長に寄与するものです。過去のデータや他国の事例を見ても、自国通貨安のときにはその国のGDPが成長する傾向があります。日本の高度経済成長期でも、円安によってGDPが伸びた例があります。

円安が進むと輸出が増え、GDPが伸び、税収も増加します。そこで、増えた税収を利用して政府が公的資金を投入し、物価の上昇に対してプライスコントロールを行うことができます。特にエネルギーや小麦などの価格上昇に対しては、増えた税収を活用して公的資金を投入することで、国民が安価で購入できるような対策が可能です。こうした政策が成功すれば、円安による国全体への恩恵が期待できます。

また、外国為替特別会計にある大量の外貨準備を高く売却し、国民に還元する手法もあります。輸出企業は円安の恩恵で利益が出るため、従業員の給与を上げたり、下請け企業に適切な価格で物を買い取ったりすることで、中小企業にも利益が行き渡るようにすることが重要です。

このように、円安によって国全体で経済がプラスの影響を受ける可能性が高く、正しい政策を行えば、日本経済全体の成長につながるでしょう。

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