
今回は、心理学者クラウディア・ハモンドさんが書かれた『マインド・オーバー・マネー 193の心理研究で分かったお金に支配されない13の真実』という本を解説します。
この本は、以下のような方におすすめです。
- お金のことで損をしたくない
- お金の賢い使い方を知りたい
- 心理学や脳科学に興味がある
本書では、心理学や脳科学の知識の中でも特に「お金」に関するものが取り扱われています。「これを知らなかったら人生めちゃくちゃ損してた!危なかった!」と思わされるような有益な学びがたくさん詰まった一冊です。
お金に関する心理学や脳科学の知識がないと人生で損をします。
例えば、
- 貯金がないと頭が悪くなる
- 通販サイトを見すぎる人は損をしている
- 賢いお金の使い方の結論はすでに出ている
それを踏まえて、このブログでは
- 貯金がないと頭が悪くなる
- 私たちは呆れるほど不合理
- 賢いお金の使い方
という順番で解説していきます
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1. 貯金がないと頭が悪くなる
貯金がないと、脳の機能が低下し、思考力や判断力が鈍る可能性があります。その理由は、お金がないことによる慢性的な不安やストレスが、脳の前頭前野の働きを抑制してしまうからです。
これは多くの研究によって示されており、具体的には以下のような影響が出ます。
- IQの低下: 認知機能が低下し、複雑な問題を解決する能力が衰える。
- 判断力の低下: 物事を冷静に分析し、適切な決断を下す力が弱くなる。
- 衝動的な行動の増加: 計画的な思考が難しくなり、短絡的な選択をしやすくなる。

前頭前野の重要な役割
これらの影響が生じるのは、前頭前野が本来持っている以下のような重要な機能が低下するからです。
- やる気の維持: 目標に向かって努力し続ける力。
- 集中力: 一つの課題に長時間取り組む力。
- 記憶力: 新しい情報を効率的に覚え、活用する力。
- 論理的思考: 物事を整理し、適切な結論を導き出す力。
- 客観的思考: 主観に流されずに冷静に物事を捉える力。
- 行動や感情のコントロール: 衝動的な行動を抑え、冷静な対応を取る力。
- コミュニケーション能力: 他者と円滑に意思疎通を図る力。
このように、前頭前野は私たちの知的活動や社会生活に不可欠な役割を担っています。しかし、お金がないことによる不安やストレスがこれらの機能を大きく損なうのです。
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慢性的なストレスが脳に与える影響
さらに、長期的なストレスや不安は、脳の扁桃体の活動を過剰に活発化させる要因となります。
扁桃体とは?
扁桃体は、緊急事態を察知し、体を「戦闘モード」に切り替える役割を果たします。
例えば、締め切りが迫った仕事があると、扁桃体がアラームを鳴らし、交感神経を活性化させます。その結果、一時的に集中力が高まり、目の前のタスクに全力を注ぐことができます。
しかし、この状態が慢性化すると問題が発生します。脳が常に緊張状態に置かれることで、
- 過剰なストレス反応が続く
- 前頭前野の機能が低下する
- 認知能力や思考力が大きく衰える
つまり、お金がないという状況は、慢性的なストレスを生み出し、結果として脳のパフォーマンスを大幅に低下させてしまうのです。

貯金額の目安は?
では、どのくらいの貯金があれば、こうした悪影響を避けることができるのでしょうか?
この問いに対する明確な答えはありません。なぜなら、安心できる貯金額は人によって異なるからです。
- 生活費の何か月分を確保すれば安心できるか
- 突発的な出費(病気や失業)に対応できるか
- 精神的な余裕を持てるか
これらを考慮しながら、自分にとって適切な貯金額のラインを見極めることが大切です。

貯金と同じくらい大切なのは「生活費の最適化」
貯金を増やすことと同じくらい重要なのが、生活費を低く抑えることです。生活費が低い人は、お金に関する不安が小さくなるため、ストレスの影響を受けにくくなります。
特に、**固定費(家賃・水道光熱費・通信費など)**は一度設定すると簡単に削減できないため、できるだけ低く抑えておくことが重要です。
- 家賃:無理のない範囲で安めの物件を選ぶ
- 通信費:格安SIMやWi-Fiのプランを見直す
- 水道光熱費:電気・ガス会社のプランを比較し、安いものに変更する
生活費を最適化すれば、少ない貯金でも精神的な安定を得やすくなり、結果として脳のパフォーマンスも向上するでしょう。
貯金をしっかり確保し、生活費を見直すことで、お金の不安を減らし、脳の健康を維持することができます。

2. 私たちは呆れるほどに不合理
人はお金に関する判断を合理的に行うことができません。その理由は、心理的なバイアスが判断に大きな影響を与えるからです。特に、「損をすることに対する強い嫌悪感」が、不合理な行動を引き起こす最大の原因となります。
人間の金銭感覚は状況によって変化する
私たちの金銭感覚は、金額の大きさや状況に応じて大きく変わります。そのため、一見合理的に思える選択も、実際には心理の影響を受けていることが多いのです。
具体例:
- 小さな金額には細かく、大きな金額には無頓着
- 電気代や水道代の節約には敏感なのに、コンビニで不要なお菓子をつい買ってしまう。
- 2万円のカーナビは高く感じるのに、100万円の新車を買う際には2万円のカーナビが安く感じる。
- 外食時に数百円の値上がりを気にするのに、旅行の予約では数千円の追加料金を気にしない。
- 「損をしたくない」という気持ちが非合理な判断を招く
- 通販サイトで何時間も価格比較をして、わずか数百円を節約しようとする。
- 「割引価格」や「期間限定セール」に惹かれ、必要ないものを買ってしまう。
- すでにお金を払った映画がつまらなくても、途中で退出せずに最後まで観てしまう(サンクコスト効果)。
損失回避バイアスとその影響
私たちが非合理な判断をしてしまう最大の要因は、「損を極端に嫌う心理(損失回避バイアス)」にあります。
行動経済学者のエイモス・トヴェルスキーとダニエル・カーネマンの研究によると、
- 人は「損をしたくない」という気持ちが、「得をしたい」という気持ちの2倍以上強い。
- そのため、1000円を失う痛みは、1000円を得る喜びよりも大きく感じる。
この心理が働くことで、合理的な選択をすることが難しくなります。

損失回避バイアスの具体例
- 「損をしたくない」ために無駄な時間を使う
- ポイントを貯めるために、不要な買い物をしてしまう。
- 安いガソリンを求めて、遠くのガソリンスタンドまで行く(移動コストを考慮しない)。
- 「今あるものを失いたくない」ために間違った選択をする
- 含み損を抱えた株を売らずに持ち続け、さらに損を拡大させる。
- すでに購入した高額なジムの会員権を、行かなくなった後も解約せずに払い続ける。
どうすれば合理的なお金の使い方ができるのか?
- 金額の大小ではなく「価値」に注目する
- 小さな節約を気にするよりも、大きな支出(家賃や固定費)を見直す。
- 安さではなく、長期的なコストパフォーマンスで選ぶ。
- 「損失回避バイアス」が働いていないか考える
- 「損したくないから」という理由だけで判断していないか?
- その買い物や決断は、本当に必要なものか?
- 時間のコストを意識する
- 価格比較に時間をかけすぎない。
- 数百円を節約するために何時間も労力をかけるのは、本当に得なのか?
お金に関する心理のクセを知ることで、より賢い選択ができるようになります。

3. 賢いお金の使い方
賢いお金の使い方とは、「経験にお金を使うこと」です。
理由
物を購入した際の満足度は時間とともに減少する傾向がありますが、経験に投資した際の満足度はむしろ時間とともに美化されることが多いからです。
具体例:
- 旅行やイベント:新しい場所へ行くことや特別なイベントに参加することで得られる体験は、一生の記憶に残る。
- 教育やスキルアップ:新しいスキルを学ぶことは、自分の成長や将来のキャリアにもプラスになる。
- 人との交流や特別な時間:家族や友人と過ごす時間は、物質的なもの以上に価値がある。
例えば、学生時代の部活のように、当時はつらかった経験であっても、後になって振り返ると良い思い出になっていることが多いのです。

物質主義の2種類
本書では、物質主義には大きく分けて「手段としての物質主義」と「最終物質主義」の2種類があると述べられています。
1. 手段としての物質主義
目的を達成するための手段として物を利用する考え方。
- 例:乾燥機付き洗濯機、電動歯ブラシ、ノイズキャンセリングイヤホン
- これらの物は、時間や労力を節約し、生活の質を向上させることが目的であり、その結果、人生の充実度が高まる。
2. 最終物質主義
物を持つこと自体が目的になっている考え方。
- 例:ブランド品、高級車、高価な時計
- これらの物は、見栄やステータスのために所有されることが多く、購入後の満足度は長続きしにくい。
研究によると、「手段としての物質主義」を重視する人の方が幸福度が高い傾向にあります。なぜなら、それらの物は単なる所有欲を満たすのではなく、実際に生活の質を向上させる効果があるからです。

ミニマリスト的なライフスタイルの有効性
この考えを踏まえると、ミニマリスト的なライフスタイルは合理的な選択であると言えます。
ミニマリストとは、本当に必要なものだけを所有し、不要なものを手放すライフスタイルのことです。
ミニマリストのメリット
- 不要な支出を減らせる:本当に価値のあるものだけを購入することで、お金の浪費を防ぐ。
- 時間やエネルギーを節約できる:物が少ないことで、管理や片付けの手間が減る。
- 精神的な余裕が生まれる:物を持ちすぎることによるストレスが減り、心が軽くなる。
例えば、高級なブランドバッグをいくつも所有するよりも、
- 自分にとって本当に使いやすいバッグを1つ選ぶ
- その分の余剰資金を旅行や新しいスキルの習得に使う といった選択の方が、長期的に見て幸福度が高くなる可能性があるのです。
以上のことを意識すると、お金の使い方がより賢くなり、より充実した人生を送ることができるでしょう。
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まとめ
- 貯金がないと頭が悪くなる:お金がないことによる不安やストレスが脳の機能を低下させる。
- 私たちは呆れるほど不合理:人は心理的な影響でお金に関する判断を誤りやすい。
- 賢いお金の使い方:物よりも経験にお金を使う方が、長期的に満足度が高い。
ぜひ、これらの知識を活かして、より賢くお金を使いましょう!
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