プラトンが教える「完璧な形」とは?イデア論の核心を探る

哲学

西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【プラトン】 〜イデア論・善のイデア〜

こんにちは、読者の皆さん。古代ギリシャの哲学者たちは、今日の私たちが抱える多くの哲学的疑問や思考の原点を築き上げました。中でもプラトンは、西洋哲学の巨星として多大な影響を及ぼしてきました。

実は、ある哲学者によると「西洋哲学の歴史とはプラトンへの膨大な注釈である」と表現されています。これは、紀元前にプラトンが提示した様々な哲学について、後の世代がああでもない、こうでもないと議論を積み重ねてきた結果、西洋哲学史そのものが形成されたということを示しています。

そんな偉大なプラトンが具体的にどのような哲学思想を後世に残したのか、興味を持たれる方も多いのではないでしょうか? 今回は、プラトンの思想の中でも特に中心的な「イデア論」や「善のイデア」に焦点を当てて、かいつまんでご紹介します。

それでは、早速本編に進んでみましょう。皆さん、一緒に古代ギリシャの哲学の奥深さを探求してみませんか?

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プラトン

プラトンは、アテナイの高貴な一族として生を受け、実は彼の本名はアリストクレスでした。多くの人は彼のレスリングチャンピオンとしての経歴を知っていますが、興味深い事実として、”プラトン”という名前は彼のリングネームだったと言われています。

彼はもともと政治家を目指しており、当初はグラディスのもとで教育を受けていました。しかし、その当時の政治の酷い状況や、特にソクラテスが不当に処刑されたことにより、彼は民主制に対して批判的な立場を強めていきました。

プラトンは哲学の領域で多くの著作を残しました。彼の書いたテキストは、認識、正義、国家といった哲学の核心を扱っています。また、彼は「アカデメイア」という学派を創設し、そこで多岐にわたる学問、天文学や生物学、数学、政治学、哲学などを教えていました。アリストテレスもこの学派で学び、約20年間プラトンの下で学んだと言われています。

ソクラテスの思想を継承し、真理の探究に全力を注いだプラトン。しかし、その時代の主流は相対主義で、「真理や愛、正義などは時と場所、人によって異なる」との考えが支配的でした。しかし、プラトンは異なる視点を持っていました。彼は、「もし真理が人それぞれだとして、なぜ私たちが共有のイメージや理解を持てるのか?」と考えたのです。もし真の愛や真実が存在しないのなら、どうして私たちがそれについて話すことができるのか、と彼は疑問を持ったのです。

イデア論

プラトンの哲学の中心には「イデア論」という考え方があります。このイデア論を理解するための一つの例として、三角形を挙げることができます。

皆さんが紙に三角形を描こうとすると、それは近い形で三角形に見えるでしょう。しかし、それを顕微鏡で極端に拡大して見ると、細かな凹凸や切れ目が見え、完璧な三角形ではないことが分かります。つまり、我々の目の前にある物理的な三角形は完璧ではありません。

それでも、私たちは「完璧な三角形」という概念を持っています。どこかでそれを学んだわけではないのに、不完全な三角形を見ても、それが三角形であると認識できるのは、頭の中に「完璧な三角形」のイメージ、つまり「イデア」があるからです。

プラトンは、このような「完璧な形や概念」が存在する別の世界を「イデア界」と称しました。現実の三角形は、このイデア界に存在する完璧な三角形の影であり、真似であると考えられます。また、この理論は三角形だけでなく、動物、植物、さらには「正義」や「美」などの抽象的な概念にも適用されます。

また、プラトンは魂の存在についても考察しました。彼は、魂は過去の生命でイデア界に存在していたと考え、そこで真理やイデアを学んだとしたのです。そのため、学びとは新しい知識を獲得するのではなく、過去の魂が知っていたことを思い出す行為であるとされました。

そして、プラトンは「善のイデア」という、すべてのイデアの上に存在する最高の真理を説きました。これが人間の最終的な追求の目的であり、真の知識を得るための探求の旅であると考えられました。

簡単に言うと、プラトンの哲学は、「現実の世界の背後には、完璧な形や概念が存在するイデア界があり、私たちはその影をこの現実で感じ取り、認識している」という考え方に基づいています。

まとめ

「イデア」とは、私たちが日常の中で感じる物事や概念の背後に存在する真の形や本質を指すプラトンの哲学的な考え方です。

これは単なる抽象的な思考遊戯ではなく、私たちがどのように現実を知覚し、理解するかに大きく関わっています。私たちが日常で感じる美しさや正義、愛などの感覚は、すべてこの「イデア界」とのつながりを持っているのです。

最後に、プラトンの哲学は、私たちが世界をどのように理解し、またどのように生きるべきかという問いへのヒントを与えてくれる貴重なものです。

日々の生活の中で遭遇する疑問や問題、感動や喜びの瞬間すべてに、この哲学を背景として考えることで、より深い洞察や理解を得ることができるでしょう。

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