アニメや漫画をより楽しくなる!アーサー王伝説を分かりやすく解説!

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アーサー王伝説をわかりやすく解説 【円卓の騎士・聖杯・エクスカリバー】

“アーサー”という名前を聞いた瞬間、あなたの心にはどのようなイメージが浮かびますか?それは大昔のイギリスの王様、見事な政治手腕を持つ優れた人物、あるいは聖剣エクスカリバー、円卓の騎士、聖杯といった、一風変わったが魅力的なキーワードかもしれませんね。

しかし、アーサー王が具体的に何者だったのか、彼がどのように活躍したのかを具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか?

今日、あなたをアーサー王の世界へと案内します。何も知らないからこそ、楽しみながら学ぶことができます。彼がどのような人物だったのか、何を成し遂げたのか、そして彼の名を永遠に語り継ぐ伝説は何だったのか。

さあ!一緒にアーサー王の全貌を明らかにしていきましょう。

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アーサー王伝説の背景

「アーサー王」について考えるとき、真実と伝説が織り交ぜられていることに気づきます。アーサー王は本当に存在した人物なのでしょうか?歴史学者にとってこの問いは難解で、一般的には、アーサー王はおそらく実在した人物を元にした架空の人物であると考えられています。約1500年前のイギリスにモデルとなった人物がいたとされていますが、その詳細はほとんど判明していません。

しかし、アーサー王の物語は単なるフィクションとして一人の作家が創造したものではなく、多くの人々が長い時間をかけて語り継ぎ、異なるエピソードを組み合わせて作り上げたものです。この点で、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスや日本の桃太郎や牛若丸といった伝説の英雄と類似しています。

そこで、「アーサー王伝説」という名のもとに集められたこれらの物語群は、単なる創作を超え、神話や伝説の領域に踏み込んでいます。その舞台となるのは、現代のイギリスの大部分を占めるブリテン島です。

また、アーサー王の民族的な背景についても、一見すると混乱を招くかもしれません。彼はイギリスの王であるからにはイギリス人だと思われがちですが、それは必ずしも正確ではありません。

ブリテン島の原住民はケルト人で、アーサー王の時代には、この島は異民族の攻撃にさらされていました。アーサー王は、侵入する異民族と戦うケルト人の英雄とされています。しかし、彼の時代には、ケルト人は外来の民族に敗れて島の南西部ウェールズへと追いやられ、または隣の島アイルランドへと逃れました。

実は、ケルト人を追い出したこれらの民族が現代のイギリス人の祖先です。

だからこそ、アーサー王は正確にはイギリス人の英雄というより、ケルト人の英雄と言えるでしょう。

それにもかかわらず、彼がイギリスの英雄として広く認識されている理由は、アーサー王伝説の成り立ちに関係しています。

アーサー王のモデルとなったと推測される人物は、約1500年前の6世紀に活躍したと考えられていますが、その後の1000年にわたってさまざまなエピソードが伝説に追加されてきました。

現代のアーサー王伝説の基盤となったのは、15世紀にフランスで書かれた「アーサー王の死」というタイトルの書籍です。これはそれまでに書かれた物語や詩、口承伝説を基にした本で、アーサー王の物語が時間を経て拡大し、理想的な英雄の姿が詰め込まれています。

この「アーサー王の死」は印刷と出版によりヨーロッパ中で大ヒットしました。

そのため、アーサー王は人々の理想を体現した王となり、一部ではケルトの英雄だけでなく、騎士道精神を体現する勇士、キリスト教の偉大な王、美しい王妃と騎士によるロマンティックな物語など、ヨーロッパ貴族の流行を反映した要素も取り入れられるようになりました。

アーサー王誕生

アーサー王はブリテン全体を統治したとされるウーサー・ペンドラゴンの息子として生まれました。しかし、彼が幼い頃は王子として育てられたわけではありませんでした。

それは彼の父ウーサーが、イギリスの地方領主の妻、イグレーヌに一目惚れし、彼女を手に入れたいという欲望が影響しています。

ウーサーは、王としての地位を利用してイグレーヌに迫りますが、これが地方の領主たちとの関係を悪化させ、戦争を引き起こします。

ウーサーは、諦めきれずに魔術師マーリンに相談します。マーリンは、神々や精霊と交信できる力を持つドルイド(ケルトの神官)とされています。

彼は、人間ではなく悪魔の子とも言われていますが、これはキリスト教がヨーロッパに布教され、以前信仰されていた土地の神々が悪魔と見なされたためです。

メルリンは、ウーサーとイグレーヌの間に生まれる子供が、彼が予言した大英雄になると確信します。そのため、ウーサーに、自分の魔法でイグレーヌと一夜を共にするように手配することを約束します。

しかし、その見返りとして、その子供を自分に預けるようウーサーに要求します。恋に狂っているウーサーはこの要求に即座に同意します。

そこで、は魔法を使ってウーサーの姿をイグレーヌの夫にそっくりに変え、ウーサーはイグレーヌと一夜を共にします。

その日に、イグレーヌのお腹には赤ん坊が宿り、その子がアーサーです。実はその頃、イグレーヌの夫は戦争で戦死しており、イグレーヌは未亡人となっていたので、アーサーは不倫によって生まれた子供ではない、と言えます。

そして、アーサーが生まれたとき、彼はすぐにメルリンに預けられました。その後、メルリンは誠実な騎士として知られるエクターのもとへ赤ん坊のアーサーを連れて行き、自分の子として育てるようエクターに頼みます。

エクターはそれに同意し、アーサーは誰にも知られずにエクターに育てられることになります。そのため、アーサーは自分が王の子であることすら知らないまま育ちました。

アーサー王

アーサーが15歳の時、兄が馬上槍試合(ジョスティング)に参加するために街へ向かいました。アーサーはその旅のお供として同行したのです。

街の広場の中心には、大きな岩に刺さった一本の剣があり、岩には「この剣を抜ける者がブリテンの新たなる王になる」という言葉が刻まれていました。

当時、先代の王であるウーサーは病気で亡くなっており、王位は息子アーサーに譲られる遺言が残されていました。しかしこの息子の存在は、ほとんどの人々には知られていませんでした。

街に集まっていた騎士たちは、その岩から剣を抜こうと試みましたが、成功する者は誰もいませんでした。その時、アーサーの兄が試合用の剣を家に忘れてきたことに気がつき、アーサーに取りに行くように頼みました。アーサーが家に向かう途中で、岩に刺さった剣を見つけ、それを取ってくれば兄の剣として使えると考えました。

彼はその剣を躊躇うことなく抜き、人々が抜けなかったはずの剣をあっさりと手に取りました。

アーサーが岩から剣を抜いたことに最初に気がついたのは、彼の育ての父であるエクターでした。彼は慌ててアーサーにひざまずき、アーサーに自分がウーサーの遺言によって王位の継承者であることを告げました。

その後、アーサーは皆の前で再び剣を抜き、わずか15歳でブリテンの国王となったのです。

アーサーはその後、キャメロットという場所に王宮を建設しました。彼の王としての名前はアーサー・ペンドラゴンとなりました。”ペンドラゴン”という名前は、父ウーサーが王になった時に見た巨大なドラゴンのように見える明るい彗星に由来します。

しかし、アーサーが王になったことを良く思わない貴族たちがいて、すぐに反乱が起こりました。アーサーは反乱を鎮圧するため、自らが先陣を切り、その勇敢さと高い戦闘能力を見せつけました。しかし、激しく戦いすぎたため、アーサーの剣は折れてしまいました。

ゲームで遊べるアーサー王

聖剣エクスカリバー

周りの人々に相談した結果、魔術師マーリンがアーサーを美しい湖のある場所に連れて行くことになりました。剣を求めて旅に出たアーサーは、なぜ湖に来たのか理解できませんでした。しかし、マーリンは湖の中心に注意を向けさせました。驚くことに、湖の中から一本の腕が突き出てきて、その手には剣が握られていました。

アーサーが驚きのあまり呆然としていると、美しい乙女が小舟に乗って湖を渡ってきました。

彼女は「その剣は私、湖の乙女のものです。私の願いを必ず叶えると約束するなら、その剣を差し上げましょう」とアーサーに告げました。新しい剣を必要としていたアーサーはすぐに約束し、剣を手に入れるために湖に近づきました。

剣を手に取ると、突然湖中から出ていた腕は消え去りました。

この剣は後に有名なアーサー王の剣、エクスカリバーとして知られるものでした。エクスカリバーは驚異的な切れ味を持つ魔法の剣であり、剣を抜くとまぶしく光ると言われています。

また、その鞘は特別な能力を持ち、持ち主には傷がすぐに治るという不死性を与えるとされていました。

エクスカリバーを手に入れたアーサーは戦場に戻り、反乱軍を容易に撃退しました。その勢いを持ってブリテン島に侵入してきた異民族をも滅ぼし、名実ともにブリテン全体の支配者となりました。物語では、アーサーは戦いを続け、アイルランド、さらにはフランスまで征服したとされています。

このアーサー王伝説はフランスの貴族たちの間で大変な人気を博し、フランスの文学者や吟遊詩人たちは自身もアーサー王伝説の一部であると感じ、それがフランスにおけるアーサー王伝説の発展につながったのかもしれません。

漫画でわかるアーサー王伝説

円卓の騎士

アーサー王伝説においては、エクスカリバーと並ぶもう一つの重要な要素として、円卓の騎士たちが存在します。円卓の騎士という名前はそのままに、彼らが集まる際には、文字通り丸いテーブル、すなわち「円卓」を囲んで議論を行うことからきています。

この円卓は、アーサーが王妃と結婚した際の持参金として王妃の実家から送られたもので、その大きさはなんと150人もが座れるほどです。さらに驚くべきことに、円卓そのものだけでなく、その周りに座るべき100人の騎士たちも一緒にアーサーに献上されたのです。

それらの騎士たちと、魔術師マーリンが見つけ出してきたさらなる50人の騎士たちが合流し、その全てがアーサーに忠誠を誓ったことで、150人の円卓の騎士が結成されました。しかし、物語において名前が具体的に記されているのはそのうちの十数人程度で、彼らが円卓の騎士たちの中でも特に有名な存在となっています。

この円卓の騎士たちは、ゲームやアニメなど、さまざまなメディアで取り上げられています。そのため、彼らの名前を聞いたことがある人も多いかもしれません。ここでは、その中でも特に知名度が高い4人の騎士について紹介します。

ランスロット

円卓の騎士たちの中でも最も有名なのがランスロットです。ランスロットは、武器を手にして戦場に立てば誰にも負けないとされ、見目麗しく、気品に満ちた高潔な性格で、誰に対しても親切な人物として描かれています。これはまさに理想的なキャラクターであり、その上、彼の出生もまた通常の騎士とは一線を画しています。

彼は、フランスのある地方を治める王の一人息子として生まれましたが、幼い頃に自身が住んでいた城が攻撃を受けて炎上し、その中から湖の乙女によって救われたという経歴を持っています。湖の乙女とは、アーサー王にエクスカリバーを与えた妖精のような存在で、湖底にある城に住んでいました。つまり、ランスロットはその湖の乙女によって育てられた王子という設定になっています。

アーサー王伝説の中でも、ランスロットの活躍は数多く、巨人を倒したり、魔女の誘惑に打ち勝つなど、まるで物語の主人公のように描かれています。また、アーサー王からは絶大な信頼を受けており、王自身がランスロットを世界最高の騎士と讃えるほどでした。

しかしながら、ランスロットは「悲劇の騎士」とも称されています。その悲劇の原因は、彼が主君であるアーサーの王妃、ギネヴィアと禁断の恋に落ちたからです。ランスロットとギネヴィアはお互いに強く引かれ合い、その禁断の愛に身を任せてしまいます。現代でさえ不倫は大きな社会的問題となりますが、当時の社会でも王妃の不倫は大きなスキャンダルとなったでしょう。特に、忠誠を誓うべき王妃と関係を持つ騎士が、円卓の騎士の中でも最も人気のあるランスロットであったため、この問題は大きな影響を及ぼしました。

英雄としての彼の忠誠心と、禁断の恋に身を焦がす彼の姿という、二つの対照的な面を持っています。

一方で彼は王に対する忠誠を誓い、祖国のために戦う英雄として見られています。彼の武勇と忠義はアーサー王伝説の中でもずば抜けており、その英雄としての姿は多くの人々に敬愛されていました。しかし、その一方で彼は王妃ギネヴィアに恋焦がれ、その禁断の愛に身を焦がす姿を持っています。王妃に対する彼の愛情は彼自身の忠誠心と直接的に衝突するもので、それは彼自身が抱える大きな悲劇とも言えます。

この二つの相反する姿を持つランスロットの存在は、円卓の騎士たちの中でも最も有名な存在として、アーサー王伝説の中で非常に大きな役割を果たしています。その複雑な内面と矛盾する行動は、読者や聞き手に深い共感や思索を促す存在であり、その存在がアーサー王伝説を一層鮮やかなものにしています。

ガウェイン

次に登場するのはガウェインで、彼は結局、ランスロットの最大の敵となります。ガウェインはアーサー王の甥で、彼自身も3人の弟がおり、彼ら全員が円卓の騎士となりました。ガウェインは非常に忠誠心が強く、勇敢な騎士でした。しかし、彼の性格には短気で頑固な一面もありました。

特に彼は家族や兄弟への愛情が人一倍強く、血縁を大切にする人物でした。アーサー王からも深い信頼を受けていたガウェインでしたが、家族を傷つけられた場合、決して許さないという強い意志を持っていました。物語の後半部分では、ギネヴィア王妃の逃亡がきっかけとなり、ランスロットがアーサー王と戦うことになります。

その戦闘中にランスロットは、誤ってガウェインの3人の弟を殺してしまいます。そのうちの2人はランスロットを深く尊敬しており、彼に敵意を持っていないことを示すために意図的に武装せずにいたのです。

しかし、ランスロットはその事実に気づかず、彼らを殺してしまいます。この出来事を知ったガウェインは怒りに燃え、ランスロットへの復讐を誓います。

ランスロットの功績を評価していたアーサー王は、本来ならば彼と戦うことを望んではいませんでした。それゆえに、彼は何度もランスロットとの和解を試みます。

しかし、ガウェインはその度に激しく反対し、戦闘を続けるように迫りました。その結果、ガウェインは円卓の騎士団の崩壊を引き起こした人物として、アーサー王伝説の中で描かれています。

ガレス

次に紹介するのはガウェインの弟、ガレスです。彼の物語は非常にユニークです。ある時、ガレスはアーサー王の円卓の騎士が集う王宮に現れ、自身の名前を明かさず、1年間だけここで仕えさせてほしいと頼みます。アーサー王はこれを許可しますが、ガレスは未だ名前を名乗らず、身分を隠していたため、人々からは低い身分の者と見下され、台所での労働に従事することになります。

しかしガレスは、どんな仕事でも不満を言わずに一生懸命に勤め上げます。その間も彼は頑として名前を明かしませんでしたが、彼の手は美しく白かったため、”美しい手”を意味する”ボーマン”というニックネームで呼ばれるようになります。ある日、王宮に一人の乙女が訪れ、邪悪な騎士に困っていると訴えて助けを求めます。その時、台所から現れたガレスが、自分がその任務を果たすと名乗りを上げます。

その姿を見抜いていたランスロットはガレスに賛同し、彼を騎士にするための儀式を行います。この儀式の際、ガレスはランスロットだけに自分の正体を明かします。彼こそが、アーサー王の甥であり、ガウェインの弟である高貴な騎士ガレスだったのです。

ガレスはランスロットに匹敵するほどの武芸の達人でした。彼は依頼された邪悪な騎士を見事に打ち倒し、困っていた乙女を助け出します。そして王宮に戻ったガレスは、自分がガウェインの弟ガレスであることを明かし、改めて円卓の騎士として認められます。彼は助け出した乙女と結婚することとなりました。

なぜガレスが最初に名前や身分を隠して宮廷に現れたのかは一部不明のままですが、高貴な身分を隠して、決定的な瞬間で活躍するというのは、現代の物語でも引き続き興奮を引き立てる展開と言えるでしょう。

ガラハッド

最後に紹介するのはガラハッド、聖杯探索の英雄として知られています。この聖杯とは、イエス・キリストが最後の晩餐で使ったとされる杯で、キリストの血を受け止めたとも言われる聖なる杯のことです。この聖杯は不思議な力を持ち、持つ者には平和と繁栄が約束されるとされています。

アーサー王伝説が流行った中世ヨーロッパでは、イエス・キリストに関連した聖遺物として、聖杯は奇跡を起こすアイテムとして注目を浴びていました。その当時の風潮を反映し、キリスト教の信仰深い英雄物語において、円卓の騎士たちが聖杯を追い求める物語が描かれています。

ガラハッドは、聖杯探索で知られるランスロットの息子です。ランスロットはギネヴィアへの愛で苦しんでいましたが、一度だけ魔術を使って王妃に変身した女性と一夜を過ごし、その結果生まれたのがガラハッドです。ランスロットの息子として生まれたガラハッドは、円卓の騎士の中でも特別でした。

ある日、宮廷の近くに剣が大理石に刺さって現れます。剣には「この世で最も高貴な騎士だけがこの剣を抜くことができる」と書かれています。父ランスロットでさえ剣を抜くことができなかったが、ガラハッドがあっさりと剣を抜いてしまいます。これはアーサーが国王になった時のエピソードと非常に似ています。円卓の騎士、ガラハッドはアーサー王と同じく、特別な存在であるということがわかります。

円卓の騎士たちは、聖杯を探すために宮廷を離れ、旅に出ます。聖杯を手に入れられるのは神に選ばれた特別な人物だけとされているため、多くの騎士たちは途中で旅を断念します。罪深い恋愛のために罪を犯したランスロットでさえ、聖杯を見つける一歩手前で罪により挫折します。

旅の最後に残ったのはガラハッドと他の二人の騎士です。彼らは遠い地でついに聖杯を見つけ、イエス・キリストの姿を見て、彼の声を聞きます。その瞬間、ガラハッドは天に昇りたいと願い、その願いが叶えられて天使に迎えられ、聖杯とともに天に昇っていったのでした。

ランスロットの禁断の恋

アーサー王伝説の数々のエピソードの中から、特に重要な一つであるランスロットの禁断の恋について詳しく紹介します。前述の通り、ランスロットは円卓の騎士の中でも最も有名で、その技は圧倒的に優れていました。しかし、彼は自らの主君であるアーサー王の王妃、ギネヴィアと深い恋に落ちてしまうのです。

この背景には、中世ヨーロッパの文化が深く影響しています。当時、自分よりも身分の高い貴婦人に騎士が恋をし、そのために全てを捧げるという物語、すなわち騎士道物語や宮廷恋愛というジャンルの文学作品が、貴族社会で大変流行していました。その流行を反映して、アーサー王伝説にもこのエピソードが加えられたのです。ランスロットとギネヴィアの恋物語は、その当時の社会情勢を象徴するエピソードとも言えます。

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ランスロットとギネヴィアの恋物語

ランスロットは元来忠義に厚い騎士でしたが、自分が王妃ギネヴィアを愛してしまったことに対する罪の意識に苦しむ日々を送っていました。しかしその一方で、ギネヴィアもまたランスロットを深く愛しており、彼が罪悪感から距離を置こうとすると、彼女は悲しみや怒りを露わにしてしまいます。そのため、ランスロットも彼女から離れることができませんでした。

このような状況の中で、ランスロットに対して敵意を抱いているアーサー王の騎士たちが陰謀を企て始めます。その陰謀の首謀者はアーサー王の息子であるモードレッドです。彼はランスロットが王妃の寝室に忍び込むところを待ち伏せし、そこで彼を捕らえようとします。ランスロットはモードレッドたちを撃退しますが、モードレッドだけは逃してしまいます。そしてモードレッドは、このことをアーサー王に告げ、王妃とランスロットの不倫を直接アーサー王に訴えます。

実は、アーサー王はすでにランスロットと王妃の関係を知っていました。しかし彼はランスロットを信頼していたため、この事実を見ないふりをしていました。しかし、モードレッドから直接告発されると、もはや見ないふりを続けるわけにはいきません。そこで、彼は不本意ながらもランスロットを捕らえ、王妃ギネヴィアを不貞の罪で火あぶりにする命令を下します。

刑の執行日、王妃は広場で縛り付けられ、火あぶりの刑にされることになります。しかし刑が執行される直前、隠れていたランスロットが飛び出し、護衛の騎士たちを撃退し、王妃を救い出します。この時、王妃の周りにいた騎士たちは敬意を表して武器や鎧を身につけずに立っていたのですが、興奮したランスロットはその事実に気付かず、その場にいた騎士

たちを次々と斬り倒してしまいます。その中にはアーサー王の弟であり、ランスロットを尊敬していたガレスも含まれていました。無防備なままガレスは殺されてしまいます。

この悲劇に激怒したガウェインは、ランスロットに対する戦争をアーサー王に訴えます。アーサー王は信頼していたガウェインの意見を無視することはできず、ついにランスロットとの内戦が始まることとなります。

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ランスロットとの戦い

ランスロットは、フランスに戻り、彼が育った地である城に立てこもります。円卓の騎士たちは、アーサー王側とランスロット側に分裂し、これにより円卓の騎士団は事実上崩壊します。アーサー王との戦闘を望まないランスロットは、王妃ギネヴィアを丁重に王へ返し、和解を求めます。しかし、ランスロットを絶対に許せないガウェインの反対により、戦争は続けられることとなります。

戦争は進行し、アーサー王はランスロットが立てこもった城を攻めるために軍隊を率いて海を渡ります。この間、王宮を留守にしなければならず、その代理としてモードレッドを任命します。

モードレッドはアーサー王の息子であり、重要なキャラクターではありますが、正嫡の子供ではありません。なぜならモードレッドはアーサー王が正式に結婚した前の子供ではなく、その母親はアーサー王の実の姉だったからです。キリスト教の教義では、血縁者との関係を持つことは許されないため、モードレッドは不義の子とされていました。

モードレッドは騎士となり、アーサー王に仕えるものの、彼自身は父であるアーサー王に対して複雑な感情を抱いていました。彼とランスロットが不仲だったのは、自分こそが父から愛されたいという思いから来ていた可能性があります。

アーサー王が戦争に出かけ、王国をモードレッドに預けると、モードレッドはすかさずクーデターを起こします。彼はアーサー王がランスロットと戦っている間に、自分こそが正当な王だと主張し、王位を奪います。さらに、王宮にいた王妃に対して自分と結婚するよう迫ります。これを知ったアーサー王は激怒し、すぐにイギリスに戻ります。そしてアーサー王とモードレッドとの全面戦争が始まります。

その間に、ガウェインはランスロットとの戦いで命を落とし、これがきっかけでアーサー王はランスロットと和解していました。しかし、モードレッドとの戦いはアーサー王の最後の戦いとなりました。

アーサーの死

戦争の最終局面で、アーサー王とモードレッドは一騎打ちとなります。アーサー王の槍はモードレッドの体を貫きますが、瀕死のモードレッドは最後の力を振り絞ってアーサー王の元へと這い寄り、手にした剣で王に致命傷を負わせます。この傷はあまりにも深く、治癒の力を持つエクスカリバーでも追いつくことはできません。

アーサー王は自分の死を悟り、生き残った円卓の騎士に頼んで自分を湖の近くに運ばせます。その湖は、かつて湖の乙女からエクスカリバーを授けられた場所でした。湖には小舟があり、その中には魔法の力を持つとされる3人の乙女が乗っていました。

アーサー王はエクスカリバーを湖に投げ込むように円卓の騎士に命じ、自分を小舟に乗せるように指示します。円卓の騎士が言われた通りにすると、アーサー王と3人の乙女が乗った小舟はゆっくりと湖の彼方へと流れて行き、やがては視界から消えます。

哀悼の涙を流す円卓の騎士たちに対し、アーサー王はこう言い残します。「私はここから、霊的な楽園であるアヴァロンへ向かう。そこでゆっくりと傷を癒す。私がいなくなったら、私の魂のために祈ってくれ」と。ここでアーサー王伝説は一旦幕を閉じます。

しかし、アーサー王が向かったとされるアヴァロンとは、神々が暮らすとされる異世界、ティルナノーグとも一部では同一視されています。そしてアーサー王はそこで今も生きていて、いつか国に大事が起こった時には、再び現れて国を救うとも言われています。

終わりに

今日は、世界的な英雄であるアーサー王の伝説について深堀りしました。この伝説は、人々の憧れや尊敬の念を映し出す明確な英雄像を通じて、世代を超えて息づいています。アーサー王が影響を与えた物語や作品は、我々が普段何気なく楽しんでいるエンターテイメントに数多く見られます。

もっとアーサー王伝説について知りたい方はまた実際手に取って読んでみてください、アニメやゲームで聞いたことのある武器や人物が多く登場します。より物語が楽しく面白く感じられると思います。

ではまた!

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