
日本の航空業界は、今、大きな節目を迎えています。
そのきっかけが、国産の次世代航空燃料「SAF(持続可能な航空燃料)」が本格的に作られ始めたことです。
2024年、コスモ石油が日本で初めてとなるSAFの量産プラントを完成させました。
そして2025年からは、JALやANAの航空機で実際に使われるようになります。
日本の空を飛ぶ飛行機が、環境にやさしい燃料で飛ぶ時代が、いよいよ現実になったのです。
飛行機は電気で動かすことが難しいため、CO₂を減らす方法が長く課題でした。
その中でSAFは、CO₂排出を大きく減らせる、今のところ最も現実的な方法として、世界中から注目されています。
将来の市場規模は、2050年に約22兆円にまで成長すると見込まれています。
この記事では、
・SAFとはどんな燃料なのか
・なぜ今、日本の取り組みが世界から注目されているのか
・国産SAFが航空やエネルギー、経済にもたらす未来
について、できるだけわかりやすく解説していきます。
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日本で何が起きているの?
日本はついに、
「環境にやさしい飛行機用の燃料」を国内で大量に作れる段階に入りました。
その燃料が SAF(サフ) と呼ばれるものです。
これまで日本は、こうした新しい燃料をほとんど海外に頼っていました。
しかし今回、コスモ石油が日本で初めて量産できる工場を動かし始めたことで、
JALやANAの飛行機に、日本で作ったクリーン燃料を使えるようになったのです。
これは単に「新しい燃料ができた」という話ではありません。
- 地球温暖化を防ぐ(脱炭素)
- 燃料を海外に頼りすぎない(エネルギー安全保障)
この2つを同時に進められるという点で、
日本の航空業界にとってとても大きな転換点になっています。
将来、日本はアジアの中心になれる?
SAFは、これから世界中で必要とされる燃料です。
特にアジアでは、飛行機の利用が今後さらに増えると予想されています。
そのため、
2050年にはアジアのSAF市場が約22兆円規模になるとも言われています。
もし日本が、
- SAFを安定して作れる
- 技術力でも信頼される
ようになれば、
アジア全体に燃料を供給する「中心的な国」になる可能性も見えてきました。
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① SAFって、そもそも何?
SAFとは、
**飛行機のための「環境にやさしい新しい燃料」**です。
普通のジェット燃料は石油から作られますが、
SAFは、
- 使い終わった食用油(廃食油)
- 植物
- 木や藻などのバイオマス資源
といった、もともと自然に由来するものを材料にして作られます。
なぜ、今こんなに注目されているの?
理由は、とてもシンプルです。
① 飛行機は電気で動かしにくい
車や電車は電気で動かせますが、
飛行機は重くなると飛べなくなるため、電動化がほぼ不可能です。
つまり、
「燃料そのものを変える」しか、CO₂を減らす方法がありません。
② SAFは“今すぐ使える”数少ない解決策
SAFは、
今使っているジェット燃料の代わりとして、そのまま使えます。
- 飛行機のエンジンを作り直す必要なし
- 空港の給油設備もそのままでOK
これはとても大きなメリットです。
③ CO₂を大きく減らせる仕組み
SAFの材料になる植物などは、
育つときに空気中のCO₂を吸収しています。
そのため、
燃やしたときにCO₂は出ますが、
最初から差し引きすると、全体では大幅に少ないと考えられています。
これを
「ライフサイクル全体でCO₂が少ない」
と言います。
④ 導入コストが低い
新しい技術というと、
「お金がものすごくかかりそう」と思いますよね。
でもSAFは、
- 飛行機も
- 空港も
ほとんど変えずに使えるため、
他の方法に比べて導入しやすいのです。
航空業界の脱炭素を現実的に進められる「切り札」と呼ばれているのです。
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② 日本初の国産SAF量産プロジェクトとは?
コスモ石油は何をしたの?
コスモ石油は、
大阪府堺市に「SAFを大量に作れる工場(量産プラント)」を日本で初めて建設しました。
- 2024年12月:工場完成
- 2025年4月:本格的な生産と供給を開始
これにより、日本は
「実験」ではなく「実際に使う燃料を作れる国」になったのです。
生産体制のすごいポイント
このプロジェクトが特に評価されている理由は、
すべてが日本国内で完結している点です。
生産量
- 年間 約3万キロリットル
(飛行機が実際に使える量)
原料
- レストランや家庭から出た廃食油のみ
流れ
廃食油を集める
→ 日本で燃料に加工
→ 日本国内を輸送
→ 航空会社に供給
この**「最初から最後まで国内」**という仕組みは、日本初です。
どこで使われるの?
- 日本航空(JAL)
- 全日本空輸(ANA)
つまり、
日本の旅客機が、実際に国産SAFで空を飛ぶ段階に入った
ということです。
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③ なぜSAFはCO₂を減らせるの?
ここは少し分かりにくいので、たとえで説明します。
ポイントは「もともと空気から取ったCO₂」
SAFの原料である、
- 植物
- 廃食油(もとは植物油)
は、育つときに空気中のCO₂を吸収しています。
つまり、
- 燃やすとCO₂は出る
- でも、そのCO₂は
以前に空気から吸ったもの
という関係になります。
これを「差し引き」で考えると、
地球全体で増えるCO₂はかなり少ない、というわけです。
ライフサイクル全体で見ると?
- 作る
- 運ぶ
- 使う
この一連の流れ(ライフサイクル)全体で見ても、
従来のジェット燃料よりCO₂排出が大幅に少ない
とされています。
👉 電気で飛べない航空分野では、
これが非常に重要な特性なのです。
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④ SAFは「環境」だけの話じゃない
SAFが評価されている理由は、
環境以外のメリットがとても大きいからです。
エネルギー安全保障の面
日本は、
- 石油
- 天然ガス
のほとんどを海外から輸入しています。
そのため、
- 戦争
- 国際情勢
- 為替変動
の影響を強く受けます。
国産SAFがあれば、
- 海外依存を減らせる
- 燃料価格が安定しやすい
- 供給が止まるリスクも下がる
という国の安全につながる効果があります。
経済への効果
SAFは、
- 廃食油を集める
- 日本で燃料を作る
- 国内で使う
というお金が国内で回る仕組みです。
その結果、
- 新しい仕事が生まれる
- 地域経済が活性化する
- ゴミだったものが資源になる
➡ SAFは
「環境対策」+「産業政策」
という二つの役割を持っています。
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⑤ それでも残る大きな課題
良いことばかりに見えるSAFですが、
大きな壁もあります。
最大の問題は2つ
① 作るのにお金がかかる
- 高度な設備
- 複雑な製造工程
そのため、
普通のジェット燃料より高価です。
② 原料が足りない
- 廃食油は世界中で取り合い
- 数に限界がある
現状の厳しい数字
- 2022年の世界SAF生産量:約30万kl
- これは世界の航空燃料の
0.1%にも満たない量
👉 まだ「主役」になるには遠い状況です。
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⑥ 次世代原料と技術革新に期待
この問題を解決するため、
世界中で研究が進んでいます。
注目される新しい原料
- 食べられない植物(ボンガミアなど)
- 藻類バイオマス
- 木くず・廃材
👉 食料と競合しないのが大きなポイント。
技術の進化
- アルコールを燃料に変える技術
- 水素とCO₂から人工的に作る「合成燃料」
予測では、
2050年にはSAF原料の約半分が合成燃料になる
とも言われています。
➡ 原料不足を根本から解決できる可能性があります。
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⑦ 日本とアジア市場の未来
日本の目標
コスモ石油は、
- 2030年までに
年間30万klの国産SAF供給
を目指しています。
これは、
- 国内航空を支え
- 将来は海外にも売る
という戦略です。
アジア市場は巨大
- 2050年:約22兆円規模
- 飛行機利用が急増
- 生産体制はまだ発展途上
つまり、
日本が主導権を取れるチャンスがあるということ。
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まとめ
SAFは、
- 地球にやさしく
- 国を守り
- 産業を育てる
未来の航空を支える新しい基盤です。
日本がここで一歩先に進めば、
アジア、そして世界の空の未来を支える国になれる可能性があります。

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