
職場の空気が重い、努力しても報われない――そんな悩みを抱えたことはありませんか?
実はその原因、特定の「人」ではなく、職場に根付いた”見えない害虫”かもしれません。
今回ご紹介するのは、岸良裕司さんの著書『組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門』。
この本では、職場の生産性を下げる「害虫(がいちゅう)」――つまり固定観念や悪習慣――を見抜き、退治するための具体的な方法が紹介されています。
実践すれば、職場の空気が変わり、生産性も劇的にアップ。
この記事では、本書のエッセンスをわかりやすく解説していきます!
![]() | 組織をダメにするのは誰か?職場の問題解決入門【電子書籍】[ 岸良裕司 ] 価格:1650円 |

1. ダメ上司の問題を解決する
職場の空気を悪化させ、組織全体の生産性を下げる「ダメ上司」。
その典型的な特徴が「マルチタスク虫」と「なぜなぜ虫」という、2つの問題行動に表れます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
■ マルチタスク虫とは?
◉ どんな問題か?
マルチタスク虫とは、**「あれもこれも全部最優先」**と考え、次々と仕事を押し付けてしまう上司のことを指します。
一見、業務に前向きなように見えますが、実は組織に深刻な悪循環を生み出します。
- 優先順位がないため、**すべての仕事が「最優先」**となる。
- 結果、現場では何を優先すべきかわからず、タスクが山積みに。
- ミスや手戻りが増え、効率が急激に低下する。
- ミス対応や後始末でさらに時間が取られ、残業が常態化する。
- 従業員の満足度・モチベーションが低下し、離職者が増える。
- 人手不足でさらに現場に負担がかかる――という悪循環に陥ります。
つまり、マルチタスク虫の職場では、「頑張っても頑張っても終わらない地獄」が生まれてしまうのです。
◉ なぜ起きるのか?
原因の多くは、上司自身が「全部重要」だと勘違いしていることにあります。
特に「顧客第一主義」「スピード重視」といったスローガンだけを鵜呑みにし、
具体的な優先順位のルール作りを怠っているケースが目立ちます。
また、現場に権限を与えず、上司だけで仕事の割り振りをしてしまうと、
現場が「指示待ち」になり、さらに混乱が広がります。
◉ 対策は?
現場主導で「優先順位ルール」を作ることがカギです!
- 上司が一方的に決めるのではなく、現場メンバーと一緒に優先基準を考える。
- 例えば、「お客様に迷惑がかかるものが最優先」「次に他部署に影響が出るもの」など、シンプルで現実的なルールにする。
- ルールを明文化し、誰もがすぐ判断できる状態にする。
これにより、タスクの混乱が収まり、生産性が飛躍的に向上します。
実際、ある企業ではこれを実践したところ、わずか1週間で生産性が2倍、
残業時間も大幅削減という結果が出たそうです。
![]() | 組織をダメにするのは誰か? 職場の問題解決入門 [ 岸良裕司 ] 価格:1738円 |

■ なぜなぜ虫とは?
◉ どんな問題か?
なぜなぜ虫とは、失敗や問題が発生した際に、執拗になぜ?なぜ?と原因追及を繰り返す上司のことを指します。
「なぜなぜ分析」自体は、本来、生産現場や品質管理では有効な手法です。
しかし、人に対して直接やると、パワハラのように受け止められる危険性があるのです。
- 失敗した本人を「なぜこんなミスを?」と追い詰める。
- 防衛本能が働き、言い訳や責任転嫁が発生する。
- 職場の雰囲気がピリピリし、メンタル不調者が続出する。
- 失敗を恐れて、誰も新しいチャレンジをしなくなる。
このように、間違ったなぜなぜアプローチは、組織の活力を根こそぎ奪ってしまうのです。
◉ なぜ起きるのか?
上司が「失敗=個人の責任」と短絡的に考えてしまうことが原因です。
また、「とにかく誰かに責任を取らせなければならない」という文化が根付いている組織ほど、なぜなぜ虫が蔓延しやすくなります。
◉ 対策は?
「人ではなく、思い込みを疑う」ことが重要です!
- 失敗を責めるのではなく、**「なぜこのような前提で行動したのか?」**という「思い込みの検証」にシフトする。
- 科学的なアプローチを取り入れ、失敗は仮説の修正材料ととらえる。
- 問題の本質を見つけるために、前提を一緒に見直す姿勢を持つ。
実際、ある企業では、上司が「なぜなぜ詰問型」から「思い込みを疑う型」に変えたところ、
- 生産工程でのミスが減少
- 開発期間が3か月短縮
- 大型受注にも成功
という素晴らしい成果が出ました。

🌟ポイントまとめ
- 「マルチタスク虫」は、優先順位を明確にするルール作りで退治。
- 「なぜなぜ虫」は、人を責めず思い込みを疑う視点で乗り越える。
ダメ上司問題は、正しい考え方と現場巻き込み型の改善策で、劇的に解決できるのです!

2. ダメプロジェクトの問題を解決する
どんなに立派なプロジェクトでも、進め方を間違えると逆効果になってしまいます。
ダメなプロジェクトに共通する大きな問題が、「寄せ虫」と「目的忘れ虫」という2つの現象です。
ここでは、それぞれの実態と対策を詳しく見ていきます。
■ シワヨセ虫(納期以外見えなくなる虫)
◉ どんな問題か?
寄せ虫とは、無理な納期に引きずられ、他の大事なもの(品質、安全性など)が見えなくなる現象のことです。
- 厳しい納期を守るために、現場が無理な作業スケジュールを組む。
- 時間に追われ、検討不足や確認ミスが起きやすくなる。
- その結果、品質の低下、不正、隠蔽工作などが発生する。
- 問題発覚後は、調査・謝罪・再発防止のプロジェクトが乱立し、現場の負担がさらに増加。
- 組織全体が疲弊し、信用を失い、悪循環に陥る。
つまり、寄せ虫に取りつかれると、「納期は守れたが会社はボロボロ」なんて本末転倒な事態になってしまうのです。
◉ なぜ起きるのか?
企業文化として、「納期厳守こそ最優先」という固定観念が強すぎる場合に発生します。
「多少問題があっても、とにかく間に合わせろ」という短期思考が根本原因です。
◉ 対策は?
「フルキット(Full Kit)」を徹底することです!
フルキットとは、
➡ 仕事をスタートする前に、必要な情報・資材・準備をすべて揃えること。
- 曖昧な仕様、未確定な要件のまま作業を開始しない。
- 必要な人・設備・資材・決定事項がすべて揃った状態で、初めて「よーいドン」とする。
これを徹底することで、
- 途中の手戻り・やり直しを激減できる
- スムーズな進行が可能になる
- 品質管理がしっかりできる
実際に、品質問題を起こしたある企業がフルキット導入を徹底した結果、
開発スピードが競合の4倍になり、取引先からの信頼も大きく回復した事例も紹介されています。
つまり、「走りながら考える」ではなく、**「考え尽くしてから走る」**姿勢に切り替えることが重要です。

■ 目的忘れ虫
◉ どんな問題か?
目的忘れ虫とは、本来達成すべき目的を忘れ、「手段(新技術、新ツールなど)」ばかりに夢中になる現象のことです。
- 新しい技術や手法が登場すると、目的を問わず飛びつく。
- 途中で本来のゴールを見失い、「やること自体」が目的化してしまう。
- 結果、本当に必要な成果が出ず、時間とコストだけが無駄に消費される。
つまり、目的を見失うと「本末転倒プロジェクト」になってしまい、
いくら頑張っても「何のためにやっていたのか分からない」という残念な結末を迎えます。
◉ なぜ起きるのか?
人間は「新しいもの」に目を奪われやすい性質があります。
また、経営者やマネジャーが「最先端の手法を取り入れている」という自己満足に陥るケースも多いです。
特に注意が必要なのは、手段が目的化する現象(例:ITシステム導入が目的になってしまう)が組織ぐるみで起こることです。
◉ 対策は?
常に「目的は何か?」を問い直すことです!
- プロジェクト開始時だけでなく、進行中にも何度も確認する。
- 新しい手段や提案が出たときには、必ず
「この手段は、本当に目的達成に役立つか?」
を自問自答する。 - 「手段と目的の区別」を明確にし、ブレたらすぐ修正する。
この問いかけを習慣化することで、
- 無駄な施策・投資を防げる
- チームの目線が常にゴールに向く
- 少ないリソースで最大成果を出すことができる
たった一つのシンプルな質問、「目的は何か?」が、
プロジェクトをダメにするリスクを大きく下げてくれるのです。

🌟ポイントまとめ
- 「寄せ虫」には、フルキット徹底で着実な進行を。
- 「目的忘れ虫」には、常に「目的は何か?」を問い直す習慣を。
ダメなプロジェクトは、「急げ!」「新しいものを使え!」ではなく、
地に足をつけた準備とゴール意識でこそ、確実に成功に導けます!

3. 自分をダメにする問題を解決する
問題は、職場や上司だけではありません。
実は、**自分自身の心の中にも成長を妨げる「害虫」**が潜んでいるのです。
ここでは、自分をダメにする3種類の「害虫」――「失敗怖い虫」「良い子の呪い虫」「イバサミ虫」――について詳しく見ていきます。
■ 失敗怖い虫
◉ どんな問題か?
失敗怖い虫とは、失敗を極度に恐れるあまり、新しいチャレンジができなくなってしまう心理状態を指します。
- 失敗して評価が下がるのが怖い
- ミスをしたくないから、新しいことに手を出せない
- うまくいきそうなことだけを選び、リスクを回避する
この状態に陥ると、
挑戦→成長→成功という自然なサイクルが断絶され、
個人も組織も、保守的で停滞したものになってしまいます。
◉ なぜ起きるのか?
背景には、過剰な成果主義や、失敗を「減点」する文化があります。
失敗=ダメなこと、という誤った価値観が、無意識のうちに根付いてしまうのです。
◉ 対策は?
「失敗から学ぶ文化」を育てることが大事です!
- 失敗を悪いことではなく、貴重な学びの機会と捉える。
- ミステリー分析を使って、失敗の「思い込み」や「仮説のズレ」を発見する。
- 失敗を責めず、「次にどう生かすか」を考える風土を作る。
「失敗→原因探し→次の改善」というポジティブなループを回すことで、
チャレンジする人が増え、組織に活気が戻ってきます。

■ 良い子の呪い虫
◉ どんな問題か?
良い子の呪い虫とは、「正解」を探すことに固執しすぎて、独自の答えを出せなくなる現象です。
- 学校教育で培った「正解を探す力」が社会では通用しない
- 過去の成功例にすがり、同じやり方を繰り返してしまう
- 「自分なりの答え」を考えることが怖くなる
この状態では、変化の激しいビジネス社会で成果を出すことは難しくなります。
◉ なぜ起きるのか?
学校では、テストに「正解」があり、
「正しい答えを出す人が偉い」と教えられてきました。
その延長線で、社会でも「正解探し」に固執してしまうのです。
◉ 対策は?
「正解を探す」のではなく、「正解を作る」思考に切り替えること!
- 問題に直面したら、既存の正解を探すより、自分で新しい解決策を考える。
- 小さなトライアル&エラーを繰り返し、自分の中に学びを蓄積する。
- 成功パターンに縛られず、オリジナルなアプローチを磨く。
これによって、現実世界での問題解決力が飛躍的に高まり、
自らのキャリアを切り開く力が身につきます。

■ 板挟み虫(ワークライフバランスのジレンマ)
◉ どんな問題か?
イバサミ虫とは、仕事とプライベート、どちらを優先するかで悩み続ける葛藤状態を指します。
- 「仕事も大事だけど、家族も大切」
- 「でもどちらかを選ばなきゃいけないの?」
- 「どっちを取っても、後悔しそう」
こうして、心が常に引き裂かれるような感覚に陥り、
ストレスと不安が高まっていきます。
◉ なぜ起きるのか?
ワークライフバランスを「仕事 vs プライベート」という二項対立の問題だと捉えてしまうからです。
本当は、二者択一ではなく、両方をうまく両立させる方法を探るべきなのに、
思考が「どちらかしかない」に狭まってしまうのです。
◉ 対策は?
「クラウド思考」で突破することが効果的です!
- クラウド思考とは、対立する目標を両立させるための思考法。
- まず、「仕事」と「プライベート」の背後にある本当のニーズを整理する。
- 仕事→「経済的安定」や「自己成長」
- プライベート→「心身の健康」や「家族との絆」
- 次に、両方のニーズを満たす共通目標(例:充実した人生)を設定する。
- その共通目標を達成するための新しい選択肢や工夫を考える。
これにより、「どちらかを捨てる」ではなく、
「両方を満たす第三の道」を見つけることができるのです。

🌟ポイントまとめ
- 「失敗怖い虫」には、失敗から学ぶ文化を育てる。
- 「良い子の呪い虫」には、正解を自分で作る思考を育む。
- 「イバサミ虫」には、クラウド思考で両立を目指す。
自分自身の中の「害虫」に気づき、適切に対処することで、
仕事も人生も、もっと自由に、力強く前に進めるようになります!

最後に
今回見てきたように、職場をダメにしてしまう本当の原因は、「特定の誰か」ではありません。
問題の根っこには、長年染みついた固定観念や、無意識の悪習慣――いわば「見えない害虫」が潜んでいたのです。
しかし、これらの害虫の正体を正しく見抜き、シンプルなルールや柔軟な視点でアプローチすれば、
職場の空気も、自分自身の成長も、驚くほど変えていくことができます。
岸良裕司さんの『組織をダメにするのは誰か?職場の問題解決入門』は、
職場にモヤモヤを感じているすべての人にとって、実践的で力強いヒントが詰まった一冊です。
ぜひ手に取って、今日から小さな改善を始めてみてください!
コメント