
2025年4月、世界中の株式市場に激震が走りました。
きっかけは、アメリカのトランプ前大統領が打ち出した「相互関税」政策。これにより、アメリカだけでなく日本や世界中の株価が大きく下がり、円高も一気に進んでいます。
ニュースでは「貿易戦争か?」という言葉も飛び交い、不安が広がる中で、
「この下げは一時的なのか?」
「これからもっと下がるのか?」
「円高は続くの?」
…と、先が読めない状況です。
この記事では、楽天証券の土田正幸さんによる最新の解説をもとに、
今の株価急落の原因と、これからの注目ポイントを、まとめました。

1. 🌍 何が起きたの? 〜世界の株が一気に下がった理由〜
2025年4月はじめ、世界中の株式市場で株価が急に下がるという大きな出来事が起きました。
アメリカ、日本、ヨーロッパなど、ほぼすべての国の株が下がったため、多くの投資家や経済関係者が驚きと不安を感じています。
この株価の急落を引き起こしたきっかけは、アメリカのトランプ前大統領が突然発表した**「相互関税(そうごかんぜい)」**という新しい政策です。
👉 相互関税ってなに?
「相互関税」とは、簡単に言うとこういうルールです:
もし他の国がアメリカの商品に税金(=関税)をかけてきたら、
アメリカもその国の商品に同じように税金をかけ返すという仕組み。
たとえば日本がアメリカの牛肉に10%の関税をかけていたら、
アメリカも「じゃあ、日本の車にも10%の関税をかけます」とやり返す、ということです。
📦 なぜこの政策が問題なの?
この「やり返しの関税合戦」が始まると、貿易(海外とのモノのやりとり)にブレーキがかかります。
モノを売り買いするたびに高い税金がかかるので、企業のコストが増えたり、輸出が減ったりして、経済全体が冷え込む可能性があるのです。
つまり、「相互関税」が本格的に始まると、
- 商品の値段が上がる(インフレ)
- 企業の利益が減る
- 経済が悪くなる
といった悪い流れが連鎖的に起きかねません。
こうした未来を心配した投資家たちが、「今のうちに株を売ろう」と動いた結果、株価が一気に下がったというわけです。

2. 📉 なぜ株が下がったの? 〜投資家たちの「不安」が引き金〜
トランプ前大統領の「相互関税」発表のあと、株を持っている人たち(投資家)はこう思いました。
「これって、アメリカや世界の経済に悪い影響が出るんじゃないの?」
「企業のもうけも減ってしまうかも……」
「だったら今のうちに株を売っておこう」
このように、先に“悪い未来”を予想して動くのが投資家の特徴です。
たとえまだ実際に景気が悪くなっていなくても、「悪くなるかも」と思った時点で、株を売る動きが一気に広がることがあります。
その結果、世界中で株価が急落しました。
📉 特に大きく下がったのは?
✅ アメリカ:ナスダック(NASDAQ)
- ナスダックは、AppleやGoogle、AmazonなどのIT・テクノロジー企業が多く集まっている株のグループです。
- 今回の発表で約 6%も急落しました。
✅ 日本:日経平均株価
- 日本の代表的な株価指数「日経平均」も大きく下がり、34,000円のラインを割り込むまで落ち込みました。
💡 なぜ特にIT企業が売られたの?
テクノロジー企業は、
- 成長が期待されている=株価が高くなりやすい
- 海外とのつながりが深く、関税の影響を受けやすい
という特徴があります。
たとえばAppleは、iPhoneをアメリカで売っていますが、部品の多くは海外で作られていて、組み立ても海外の工場に頼っています。
そこに関税がかかると、コストが増えて利益が減る→株が売られる、というわけです。
つまり、「これから経済が悪くなるかも…」という“不安”がきっかけで、株価が大きく動いたというのが今回のポイントです。

3. 📦 テクノロジー企業が大きく下がった理由 〜アップルが関税の影響を受けるワケ〜
今回の株価の下落では、特にテクノロジー企業(IT企業)の株が大きく下がりました。
たとえば、Apple(アップル)・Google・Amazonなどが多く入っているナスダック市場では、株価が約6%も下落しています。
では、なぜテクノロジー企業が真っ先に売られたのでしょうか?
🏭 Appleを例にすると、こんな仕組みになっています:
Appleは、iPhoneやApple Watchなどの製品をアメリカで売っていますが、
実は、自分たちの工場では作っていません。
- 部品は、日本・韓国・中国など、世界中の企業から買っています。
- 組み立ても、主に中国や他のアジアの工場にお願いしています。
つまり、Appleの製品は世界中のパーツと工場でできているのです。
💸 関税が上がるとどうなる?
関税がかかると、その部品を海外から買うときに税金を払わなければならなくなるので、
1つの製品を作るのに今までよりお金がかかる=コストが増えることになります。
コストが増えると、当然利益が少なくなるかもしれません。
そうなると、投資家は「Appleのもうけが減るかも。じゃあ株を売ろう」と判断します。
📉 その結果どうなる?
Appleのような会社の株が売られ始めると、同じように海外と関わりのあるテクノロジー企業の株も一緒に売られやすくなります。
そのため、テック株(IT関連の株)全体が下がるという流れになるのです。
つまり、今回の「相互関税」はただのルール変更ではなく、
グローバルに活動する企業にとっては「利益が減るかも」という直接的な打撃になりうるため、
その分、テクノロジー企業の株が真っ先に売られたのです。

4. 💱 円高(えんだか)になった理由 〜ドルが安くなって円が高くなったワケ〜
今回の株価下落にともなって、円高(円の価値が上がること)も進みました。
具体的には、1ドル=145円台まで円高が進んでいます。
💰 なぜ円高になったの?
ポイントは「アメリカの金利」と「景気の見通し」です。
今回のように、「アメリカの景気が悪くなりそうだ」と思われたとき、
投資家たちは「これからアメリカの金利が下がるかもしれない」と予想します。
➡ アメリカの金利が下がると、ドルの魅力が減ります(=ドルを持ってても得をしにくくなる)
➡ その結果、ドルを売って円を買う人が増え、円高になるのです。
💡 金利ってなに?なぜ重要なの?
金利とは、お金を貸したときや預けたときに得られる「利息(りそく)」のこと。
- 金利が高い国の通貨は「持っているだけで得しやすい」ので人気があります。
- 金利が低くなると「もう魅力ないな」と思われて、その国の通貨が売られやすくなります。
だからこそ、アメリカの金利が下がるかも=ドル安、円高という流れになるんです。
🌀 でも…円高は続くの?
ただし、専門家の中には「この円高は長く続かないかもしれない」という意見もあります。
なぜなら、トランプ前大統領の相互関税によって、
アメリカでは輸入品の値段が上がりやすくなる=インフレになる可能性があるからです。
もしインフレ(物価上昇)が続くと、
➡ アメリカは「金利を下げにくくなる」
➡ 結果として、金利は思ったより下がらない → 円高も止まる、または円安になるかもしれないというわけです。
✔ ポイント
今回の円高は「アメリカの景気が悪くなりそう=金利が下がるかも」と思われたことで起きました。
でも、関税の影響で物価が上がる(インフレ)可能性もあり、
そうなるとアメリカの金利は下がりにくくなって、円高は続かないかもしれないという見方も出てきています。

5. 🔮 これからどうなるの? 〜下げ止まる?もっと下がる?判断はこれから〜
今、世界中の投資家たちは「もしかしたら景気が悪くなるかも…」という不安から、先に株を売っておこうと動いています。
つまり、**「まだ何も起きていないけど、起こりそうだから売る」という“予防的な売り”**が広がっているのです。
でも、本当に景気が悪くなるかどうかは、まだはっきりしていません。
これから発表されるいろいろな**経済のデータ(数字)**を見て、それをもとに判断する必要があります。
📊 これからの注目ポイントは?
これからの経済の流れを見きわめるために、大事な**指標(しひょう)**がいくつかあります:
✅ アメリカの雇用統計
- 「仕事についている人がどれだけいるか」などを調べたデータ。
- もし働く人が減っていれば、景気が悪くなってきているサインかもしれません。
✅ CPI(消費者物価指数)
- 「スーパーやお店の商品の値段がどれくらい変わったか(=インフレ)」を見るデータ。
- 急に値段が上がっていたら、物価が不安定になってきたということ。
✅ 企業の決算発表
- 会社が「この3か月でどれくらいもうけがあったか」を発表するもの。
- 多くの会社が「利益が出ていません」となると、景気が悪くなってきている証拠になります。
🔍 この先は「答え合わせ」の時期
今の株価の下落は「予想」によるものですが、これからは**実際にどうなるか=“答え合わせ”**のタイミングに入ります。
- データが悪ければ → 「やっぱり景気悪いじゃん」と、さらに株が下がる可能性。
- データが意外と良ければ → 「そんなに悪くないかも」と、株が回復するかもしれません。
✔ ポイント
今は「不安」だけで株が売られている状態ですが、
本当に景気が悪いのか、それとも大丈夫なのかは、これから出てくる経済データや企業の数字で明らかになっていきます。
この「答え合わせ」を経て、株価がどう動くかが決まっていくのです。

6. 📊 株価がどれくらい下がると「やばい」の? 〜“調整”と“本格的な下落”の境界線〜
「最近ニュースで“株が下がった”ってよく聞くけど、どれくらい下がったら本当にやばいの?」
そう疑問に思っている人も多いかもしれません。
実は、株価の下落には“目安”があるんです。
📉 よく言われる基準はこの2つ:
下落率 | 状況の説明 |
---|---|
✅ 10%下がる | 「調整局面(ちょうせいきょくめん)」と言われる。一時的に下がるけど、また回復する可能性もある。 |
⚠️ 20%下がる | 「弱気相場(よわきそうば)」と呼ばれる本格的な下落。景気悪化が続くかもしれないと、みんなが思っている状態。 |
💻 今の状況はどうなってるの?
✅ ナスダック(アメリカのテクノロジー株)
→ すでに20%近く下がっていて、弱気相場に入りそうな危険ゾーンに突入しています。
とくにAppleやGoogleなど、海外の影響を受けやすい企業が多いため、今後も注目が必要です。
✅ 日経平均(日本の代表的な株価指数)
→ 今のところ**34,000円が“ふんばりライン”**になっています。
ここをしっかりキープできれば安心感がありますが、もし割り込んでしまうと、
➡ 次は32,000円くらいまで下がるかもしれないという予想も出ています。
✔ ポイント
- 10%の下落=ちょっと注意
- 20%の下落=本格的な「やばい」サイン
今の株式市場は、そのギリギリのラインでふんばっているような状態です。
この先、景気の悪化が現実になれば、本格的な下落に突入する可能性も出てきます。
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✅ まとめ:今は「不安の先取り」、これからが本番
今回の株価の下落は、まだ景気が実際に悪くなったわけではなく、
「これから悪くなるかもしれない」という予想や不安が先に広がったことが原因です。
つまり、いまはまだ「未来への心配」による動きであって、
本当に景気が悪くなるかどうかは、これからのデータ次第なんです。
これから発表される、
- アメリカの雇用統計(働いている人の数)
- 物価の動き(CPI)
- 企業の利益(決算発表)などを見て、
投資家たちは、「やっぱり景気は悪くなっている」と判断するのか、
「思ったほど悪くないじゃん」と安心するのかを決めていきます。
株価は、ただの噂や予想で動くときもあれば、実際の数字を見て動き直すときもあるもの。
今はまさに、「不安先行モード」から「答え合わせモード」に切り替わっていく途中です。
これからの経済指標や企業の数字に注目していきましょう!
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