本要約:読書『損する結婚 儲かる離婚』

本要約

身も蓋もない結婚と離婚のマネーゲームの真相を全て解き明かそうというのが、この本の一つの目的です。今回は藤沢一樹さんが書かれた『損する結婚、儲かる離婚』という本を解説します。この本は、こんなあなたにおすすめです。離婚の際のお金の動きの本当のところを知りたい方にぴったりの一冊です。

離婚すると「慰謝料」が問題になるというイメージを持っている方が多いかと思います。しかし、実は離婚の際に払う必要があるお金は慰謝料だけではありません。しかも、慰謝料以外の金額が非常に大きく、場合によっては全財産に相当するほどの金額を支払わなければならないケースもあるのです。一体どういったカラクリなのか気になりますよね。それでは、早速紹介していきます。

というわけで、最初にこのブログの結論をお伝えしておきます。

結論: 結婚とは「所得連動型の債権」という金融商品である。

結婚債権の価値 = 離婚成立までの婚姻費用の総額 + 離婚時の財産分与額 + 慰謝料です。

このブログでは、以下の2つの観点から解説していきます。

  1. 金融商品の取引としての結婚
  2. 経済的に見た結婚相手の選び方

ぜひお楽しみください。

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感想(7件)

1. 金融商品の取引としての結婚

この章では、金融商品の取引としての結婚というテーマについて、本書から3つのポイントをピックアップして解説していきます。解説するのは、結婚と離婚で動く3つのお金、コンピ地獄、そして「結婚=所得連動型の債権」という3つのポイントです。それでは、それぞれ説明していきます。

1. 結婚と離婚で動く3つのお金

結婚と離婚で動くお金には基本的に「慰謝料」「財産分与」「婚姻費用」の3つがあります。子どもがいれば養育費が加わりますが、養育費は離婚成立後の話となります。離婚が成立するまでの間に、子どもに関わるお金は婚姻費用に含まれています。

まず初めに慰謝料について簡単に説明します。慰謝料とは、精神的な苦痛に対する損害賠償金であり、浮気など離婚の原因を作った側が支払うものです。ただし、日本では慰謝料の相場はある程度予測可能で、アメリカのようにべらぼうな金額になることはあまりありません。日本では、浮気などの慰謝料は100万円から200万円ほどです。片方が一方的に悪く、裁判官に嫌われると高くなることもありますが、通常は明確な根拠が出てくることは稀です。

著者によれば、数千万円以上のお金が動く離婚においては、慰謝料は無視できる程度の金額だと言います。実際、慰謝料以外の2つの要素、婚姻費用と財産分与では、どちらが悪いかは全く関係ありません。つまり、離婚で支払われるお金の大部分は、実は所得で決まる婚姻費用と財産分与がほとんどであり、どちらが浮気したかや暴力を振るったかは関係ないのです。

2. 財産分与について

財産分与を理解するためには、まず「共有財産」という概念を理解する必要があります。財産分与は、離婚する際に二人で築いた財産を分割するのが目的で、対象となるのは結婚後に形成された「共有財産」だけです。結婚前に持っていた財産やお金は財産分与の対象にならないという点が重要です。

例えば、結婚前に大金を持っていたスポーツ選手と結婚しても、その後に稼ぎがなければ、離婚時に妻が受け取る財産分与はゼロになるわけです。また、親が裕福な人と結婚しても、その親の財産は結婚前から存在するため、奥さんはそこから1円も受け取れないことになります。

3. コンピ地獄(婚姻費用地獄)

次に重要なポイントが「婚姻費用」です。民法の規定では、夫婦は相手の生活を自分と同じレベルで維持する義務があり、そのために婚姻費用を分担しなければなりません。具体的には、夫婦間でより多く稼いでいる方が、そうでない方に毎月一定の金額を支払う義務があります。弁護士の間では、この婚姻費用を略して「コンピ」と呼んでいます。

例えば、年収700万円のサラリーマンと専業主婦、15歳以上の子供2人がいる場合、月々14万円~16万円の婚姻費用が発生します。また、年収1000万円の場合、専業主婦と14歳以下の子供2人なら、月々18万円~20万円の婚姻費用が必要です。これだけ大きな金額を、離婚が成立するまで支払い続けなければなりません。

離婚裁判は長期化しやすく、妻が時間を稼ぐことで、夫はこの「コンピ」を長期間支払い続けることになります。妻の住所を夫に知らせる必要もなく、裁判所がプライバシーを保護するため、夫は妻の居場所を知ることができない場合もあります。

浮気の証拠があったとしても、裁判が長引くと、2~3年はかかることがあります。その間、婚姻費用がかさみ、和解をせざるを得ない状況に追い込まれることも少なくありません。

4. 結婚=所得連動型の債権

結婚と離婚によってどれだけのお金が動くのかを、「慰謝料」「財産分与」「婚姻費用」の3つの要素で説明してきました。これらの要素から見て、結婚とは将来のお金の受け取りや支払いに関する権利と義務を取り決める、ある種の金融商品取引であると考えられます。結婚は毎月分配型の債権であり、将来のキャッシュフローを見込んだ金融商品と言えるのです。

例えば、専業主婦の妻と離婚し、毎月37万円の婚姻費用を支払った夫の例を挙げると、妻は結婚している限り毎月37万円を受け取り、離婚が成立すると財産分与も受け取れます。この婚姻費用は浮気や暴力などの理由には関係なく支払われ続け、結婚という「債権」の価値は非常に高いものになるのです。

2. 経済的に見た結婚相手の選び方

この章では、経済的な視点から見た結婚相手の選び方について、次の3つのポイントを解説します。

  1. ストックよりもフロー
  2. スポーツ選手もボンボンも美味しくない
  3. 有料銘柄は大企業の正社員、弁護士、医師

1. ストックよりもフロー

結婚と離婚に関わるお金の動きを理解すると、女性が経済的にどのような男性を結婚相手として選ぶべきかが見えてきます。多くの女性が誤解しているのは、金持ちと結婚しても、それだけでは法的に守られた利益は手に入らないという点です。

離婚で動く大きなお金は「婚姻費用」と「財産分与」であり、これらは結婚後に稼いだお金に基づいて決まります。結婚前の財産は関係ありません。つまり、結婚相手に選ぶべきなのは「これから安定的に収入を得られる人」であり、今の財産よりも将来の収入を重視すべきなのです。

2. スポーツ選手もボンボンも美味しくない

若い頃に大金を稼ぎ、現在は引退しているスポーツ選手や裕福な家庭に生まれた「ボンボン」と結婚しても、実はそれほど経済的に有利ではありません。なぜなら、結婚前に得た財産は財産分与の対象にならず、離婚時に分けることができないからです。

例えば、無職の元スポーツ選手と年収400万円のOLが結婚すると、法律的にはOLが婚姻費用を払う側になります。元スポーツ選手の所得がゼロだからです。結婚後にOLが貯めたお金も、離婚時に分割して元スポーツ選手に渡さなければならないというケースもあります。

3. 有料銘柄は大企業の正社員、弁護士、医師

経済的な安定性を考えると、大企業の正社員、公務員、会計士、弁護士、医師などの安定した職業に就いている男性は、非常に価値の高い結婚相手です。将来的に安定したキャッシュフローが見込め、離婚した際にも婚姻費用や養育費などの支払いが滞ることはありません。

裁判所が発行する支払い命令を無視できない職業に就いている男性であれば、婚姻費用の支払いも確実に行われるため、離婚後も安心です。

まとめ

  1. 金融商品の取引としての結婚:結婚と離婚で動く3つのお金、コンピ地獄、結婚=所得連動型の債権という3つのポイントを解説しました。
  2. 経済的に見た結婚相手の選び方:ストックよりもフローを重視し、スポーツ選手やボンボンよりも安定した職業の男性が良いというポイントを解説しました。

今回紹介した『損する結婚、儲かる離婚』には、まだまだ紹介できていない部分が多くあります。非常におすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。

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