人生の岐路に立ったとき、あなたが大切にすべきこと
今回はブルース・ファイラーさんが書かれた「人生の岐路に立った時、あなたが大切にすべきこと」という本を解説します。今回の目次は以下の通りです。
- 人生の形
- 意味を示すABC
という順番で解説していきます。この動画を見ている方の中には、人生において大きな壁にぶつかっているという方もいるかもしれません。中には、「なぜ自分だけこんなに困難なことが起こるのか」と思っている方もいるかもしれません。ですが、本書の著者は、人生における大きな変化は実は想像以上に頻繁に体験するものだと言っています。本書は225人のリアルな人生の物語を分析して、人生の変化に対する知見と、それにどう向き合っていくかを教えてくれる本です。それでは紹介していきます。
人生の岐路に立ったとき、あなたが大切にすべきこと [ ブルース・ファイラー ] 価格:2178円 |
1. 人生の形
ではまず、1. 人生の形。この章では3つのポイント「非線形の人生を受け入れる」「破壊的要因」「ワンセットいくつの破壊的要因に直面するのか」というポイントを解説します。
非線形の人生を受け入れる
まず1つ目のポイント「非線形の人生を受け入れる」。私たちが生きている時代の特徴は、自らの人生が予測できないことにあるのだと著者は言います。予測できないということに関しては、納得できる方も多いのではないでしょうか。この予測できないということを本書では「非線形」と表現しています。まっすぐではない、複雑な進み方をするものが人生だということです。そして日を追うごとにますますその傾向は強まっているのだと著者は言います。ただ、そうして人生に右往左往が生じても、それを乗り越える方法さえ知っていれば、対応がより容易になり、さらに失敗に対してもその失敗を受け入れることができ、個人の問題として捉えやすくなるはずです。一旦人生が非線形であると理解してみると、皆さんも至るところでその具体例を目にすると思います。本書でもいくつかの例が紹介されています。
マンハッタンの本屋で人々に忘れ去られた建国の父アレクサンダー・ハミルトンの伝記を偶然手に取り、これを題材にミュージカル『ハミルトン』を制作し、それが代表作となったリン=マニュエル・ミランダ。サンセットブルーバードの食堂にいたところを見出され、そこからスターダムにのし上がったラナ・ターナー。登場予定だったチャーター機の席を直前で譲り、その後チャーター機は墜落、九死に一生を得たミュージシャンのウェイロン・ジェニングス。仕事、家族、教会、政治的信条、育児スタイルのすべてを3年の間に変えたJR・マクレイン。人生が非線形であることを著者は、その不確実性に怯えるのではなく、それらを受容すべきだと言っています。そうした不可解な道をたどるかのような人生を、誰もが送るようになるからです。
n破壊的要因ワンセット
では続いて、2つ目のポイント「破壊的要因ワンセット」。人生が非線形になる要因として、破壊的要因があります。破壊的要因とは、人生における日々の流れを阻害する出来事や経験を指します。例えば、ストレス要因、危機、問題などです。これらは一見悪いもののように思えますが、著者はあえて「破壊的要因」という言葉を選び、それ自体は善でも悪でもないのだと主張しています。例えば、養子を迎えたり、新たな仕事を始めたりすることも破壊的要因となりますが、これまで否定的に定義されてこなかったかもしれません。それでも、これは間違いなく破壊的であることに変わりはありません。配偶者を失ったり、解雇されたりするなど、関連的に最もネガティブとされる人生の出来事でさえ、時には再出発のきっかけとなり、ポジティブな影響をもたらすことがあります。破壊的要因はそれ自体は善でも悪でもなく、単なる日常生活からの逸脱なのです。
著者は、調査した225人分の人生の物語を細かく調べ、人々の人生を有意な方向に転換させた出来事のリストを作成しました。それらの出来事は、結婚、年老いた親の介護、解雇、セクシャルハラスメント、一度にしていた明星、公共の場での屈辱など多岐にわたり、破壊的要因の数は全部で52に上りました。これは52枚のトランプカードを1組連想させるので、著者はこのリストを「人生の破壊的要因ワンセット」と呼ぶことにしました。
破壊的要因には、実に様々なものがあることが分かります。著者はこのリストを、会話の中で明確になった5つのストーリー展開ごとに分類しました。すると、破壊的要因が多いのは「愛」「アイデンティティ」「信念」「仕事」「身体」という順番になったそうです。家族や人間関係といった大きな領域として定義される「愛」は、全体の35%を占めており、そこには明らかに複数の破壊的要素が見られました。残りの要素はすべて10%台にまとまっています。
いくつの破壊的要因に直面するのか
では続いて、3つ目のポイント「いくつの破壊的要因に直面するのか」。破壊的要因がたくさんあるということは分かりましたが、それでは私たちは一体いくつの破壊的要因に直面するのでしょうか?一言で言えば、想像する以上の数となります。
この数値を算出するにあたり、著者は2つの手法を用いました。まず、公的に入手可能なデータを集計しました。具体的には、世間一般の人が平均的に就く仕事の数は13、引っ越しの回数は11.7、事故の回数は3などです。また、結婚は10人中7人、浮気は5人中1人、離婚は5人中1人という割合も明らかになりました。こうしたことを考慮して総合すると、平均的な成人が一生のうちに破壊的要因に直面する回数は、30回から40回の間という結論に至りました。
次に著者は、自分のインタビューを調べ、対象者が破壊的要因について語った頻度を数えてみました。やはり、そこからも同じ傾向が見え、人は成人期に平均30回以上破壊的要因を経験するということが分かりました。この2種類の数値を重ね合わせると、明白かつとんでもない経験則が浮かび上がります。それは、人は平均しておよそ1年から1年半ごとに1つの破壊的要因に遭遇するということです。そんなことを言われると、一瞬疑ってしまいますが、思い返してみると心当たりがある人も多いのではないでしょうか。私たちは非常に頻繁に破壊的要因に直面することになるのです。
意味を示すABC
では続いて、2. 「意味を示すABC」。この章では2つのポイント、「私はどんな人間になりたいのか」「バランスの取れた生活に必要な3つの要素」について解説していきます。
私はどんな人間になりたいのか
まず1つ目のポイント「私はどんな人間になりたいのか」。私たちの人生は非線形です。あらかじめ決められた人生の一連の出来事を順番に体験していくわけではありません。好調と不調、思いがけない幸運や人生の回り道など、さまざまな変化球に翻弄されることになります。私たちはこうした状況に対して、仕事やお酒、食べ物、運動などに解決策を求めようとします。これらは一時的に事態を収めるものもありますが、根本的な解決策にはならない場合が多いです。人生における大きな危機に直面すると、遅かれ早かれ、私たちは「私はどんな人間になりたいのか」という究極の問いに対する答えを探す必要が出てきます。
幸いにも、これらの問いに対する答えを探るための知識は増え続けています。人生の意味の探求が現代思想の中で注目されるようになってから、約1世紀が経過しました。私たちが最も重要と考えるものを明確に定義する手助けとなる知識も、現代心理学の進展とともに増えています。物語によるアイデンティティの概念が発展し、私たちはそれぞれが個人的な物語を持つようになったのです。
バランスの取れた生活に必要な3つの要素
次に、2つ目のポイント「バランスの取れた生活に必要な3つの要素」です。前述のように、人は複数の物語を持ちます。最終的には、バランスの取れた生活には3つの要素が必要になります。これを意味を示すABCと呼びます。
まず、Aは「エージェンシー」(行為主体性)です。自発性や独立性、創造性、習熟性を指し、自分が世界に影響を与えているという感覚です。
次に、Bは「ビロング」(帰属意識)です。婚姻関係やコミュニティ、友人、家族といった私たちを取り巻く人々とのつながりを指します。
そして、Cは「コーズ」(大義)です。使命感や目的意識を指し、私たちの人生を超えた何かに対する献身です。
この3つが私たちの物語的アイデンティティを形成する要素です。
まず、1つ目は自分個人の物語で、これはAに当たります。自分が主人公であり、行為者であり、創造者であるという感覚です。次に、Bに当たる私たちの物語は、コミュニティや家族、チームの一部としての帰属感です。そして、Cに当たる「あなた方の物語」では、私たちは大義に奉仕し、自分を他者に捧げ、より大きな何かの一部としての存在を感じます。
このようにして、私たちは「意味を示すABC」という3つの物語的アイデンティティを形成していきます。さらに、これらの要素がバランスを保っていると、人生のバランスも保たれますが、一方でその均衡が崩れると、人生も不安定になります。誰もが人生の出来事に直面するたびに、これらの要素の重みを何度も繰り返し測り直すのです。また、人には1つの要素を他の要素に優先させる傾向があります。バランスを取る必要はあるものの、誰もがそれぞれのホームベース、つまり心地よい場所を持っているのです。
最後に、私たちには「A」の行為主体性を第一に考える人、「B」の帰属意識を第一に考える人、「C」の大義を第一に考える人の3種類が存在します。さらに、2番目、3番目の優先順位もそれぞれ異なります。
まとめ
本書「人生の岐路に立った時、あなたが大切にすべきこと」では、人生が予測不能な「非線形」であり、その中でどのように変化に対応し、意味を見出していくかが語られています。著者は、誰もが人生の中で多くの「破壊的要因」に直面すると強調し、それらをネガティブに捉えるのではなく、成長や新たな道を切り開くきっかけとして受け入れるべきだと示しています。
さらに、バランスの取れた人生を送るために必要な3つの要素、「エージェンシー(行為主体性)」「ビロング(帰属意識)」「コーズ(大義)」を解説しています。これらは、私たちがどのように自分の人生に意味を見出し、成長していくかを支える基本的な構成要素です。行動し、つながり、そして目的を持つことが、充実した人生を築くカギとなります。
本書を通じて、予測不能な人生に直面しても、適切に対処し、自分の物語を積極的に作り上げていくためのヒントが得られるはずです。
今回紹介した本「人生の岐路に立った時、あなたが大切にすべきこと」には、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。
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