人間関係に悩み・辛いと思っている人に、是非読んで欲しい本「嫌われる勇気」アドラー心理学

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この度は、2013年に発売され、売れ行きが低迷する時代にも関わらず200万部以上も売れているベストセラー、”嫌われる勇気”について説明したいと思います。本書は、自己啓発の父と称される心理学者アルフレッド・アドラーの提唱するアドラー心理学を分かりやすくまとめたもので、ホリエモンにも絶賛された作品です。私自身、発売されたばかりのこの本を読んだときは、思い切り頭を打つような衝撃があったのを覚えています。人生観が変わるという言葉が軽々しく使われることがありますが、本書は、その本質的な意味を理解することで、本当に視野が広がると思います。

まず、本書の結論からお伝えすると、我々の悩みの根本はすべて人間関係から生じるという前提があります。そして、その悩みから逃れるためには、我々が抱いている強烈な承認欲求を捨てる必要があると説いています。これが本書の主要なテーゼで、人間関係の本質を理解することが難しい方、またはどれだけ努力しても劣等感が消えない方にとって特に有益な内容となっています。本書は内容も構成も非常に興味深いものなので、ぜひ時間を作って読んでいただきたいと思います。

さて、今回はこの推奨する本 “嫌われる勇気”の中から、特に衝撃的だったポイントを厳選して3つご紹介したいと思います。

全ては原因論ではなく目的論

まず一つ目のポイントは、「全ては原因論ではなく目的論」という考え方です。これは初めて聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、非常に簡単に言うと、人間の行動は原因によるものではなく、目的によるものであるということを示しています。多くの人は、何か原因があるから行動すると思いがちですが、実際には我々人間の行動には原因ではなく目的が存在し、それによって行動が決まるのです。

具体例を挙げてみましょう。例えば、あなたの職場で若手社員が上司に怒鳴られているとします。その状況を見たとき、多くの人は「あの若手がミスをしたから上司が怒っているのだろう」と考えるでしょう。つまり、何か原因(若手のミス)があったから上司は怒鳴る行動を取っている、という視点から物事を捉えます。

しかし、アドラーの心理学はこの考え方を全力で否定します。アドラー心理学の目的論によれば、上司が怒鳴っているのは、若手がミスをしたという原因があるからではなく、それとは別の目的があるからです。その上司がどのような目的を持っているかというと、例えば「若手が今後自分に逆らわないようにしたい」や「自分と若手との間には上下関係があることを示したい」といった目的です。この目的を達成するために、上司は怒鳴る行動を取るのです。

この目的論という考え方は初めて聞く人にとっては衝撃的かもしれませんが、よく考えてみれば、確かに行動の背後には目的が存在すると感じることもあるでしょう。例えば、同じミスをしたとしても、強く怒る人もいれば、冷静に指導する人もいます。つまり、ミスの大きさは変わらなくても、相手を威嚇したいという目的がある人は怒り、一方で「今後ミスが起きなければそれでいい」と思う人は声を荒げずに指導するということです。

皆さんも自己反省してみてください。声を荒げるとき、それは相手を威嚇したい、という目的があるからではないでしょうか。これが「全ては原因論ではなく目的論」というアドラーの見解です。この視点から物事を見ることは、自分自身の行動や他人の行動を理解するために非常に有効で、とても重要な考え方と言えるでしょう。

暗い過去や外部の原因に縛られるな

「嫌われる勇気」から学ぶべきことの一つとして、私たちが自身の暗い過去や外部の原因に縛られてしまうことを止めるべきだ、という点が挙げられます。例えば、「私は両親が離婚しているから、幸せな結婚は無理だろう」と思う人がいます。しかし、アドラー心理学はこの考え方を否定します。それは過去の出来事、この場合であれば両親の離婚という「原因」に縛られているからです。アドラーは、私たちが幸せな結婚を築くためには、過去ではなく現在のパートナーを大切にすれば良い、と提唱します。過去の経験を言い訳にせず、自身の行動を見つめ直すことが重要です。

同様に、一人っ子であったり、以前は内向的だったという過去に縛られて、「自分は一生人と楽しくコミュニケーションを取ることはできない」と悲観する人もいます。しかし、アドラーの観点から見れば、これもまた過去の「原因」に縛られている例です。コミュニケーションを取ることには確かにリスクが伴います。しかし、そのリスクから逃れるために過去を言い訳にしているだけではないでしょうか。過去に縛られず、今この瞬間から積極的にコミュニケーションを取る努力をすれば、人との関わり方は変わるはずです。

このように、「今を生きる」という言葉の本質は、過去の原因に縛られず、目の前の瞬間に集中し、目的に向かって進むことであると解釈できます。過去を言い訳にするのではなく、今この瞬間から楽しい人生を築くために行動することが大切なのです。

課題の分離

課題の分離」という考え方は、自分が自分らしく、ハッピーに生きるために非常に重要な観点です。これは簡単に言えば、「自分がコントロールできる事柄には一生懸命取り組み、自分がコントロールできない事柄については考えることさえ止める」という考え方です。つまり、自分の課題と他人の課題を明確に区別し、それぞれに対する対応を変えるということです。

本書には、「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」という例え話が出てきます。これは、自分がコントロールできる範囲とできない範囲を示す素晴らしい例です。馬を水辺に連れて行くことは自分の力でできますが、馬が水を飲むかどうかは馬自身が決めることです。つまり、馬が水を飲むかどうかというのは自分からはコントロールできない他人の課題であり、自分がそれについて悩む必要はありません。

人生は常に様々な課題が降りかかってきます。悩みが絶えない人々の多くは、自分の課題であろうと他人の課題であろうと、全ての問題を解決しようとします。しかし、アドラー心理学における「課題の分離」を理解している人々は、そんなことはしません。彼らは自分の課題に全力を注ぎ、自分がコントロールできない、つまり他人の課題についてはあえて無視します。これにより、彼らは自分らしく、ハッピーに生きることができます。

一例として、サラリーマン、特に営業マンの典型的な悩みについて考えてみましょう。一生懸命仕事に取り組んでいるにも関わらず、上司から評価されないと感じることがあります。このケースでは、「課題の分離」を適用すれば、自分の課題と上司の課題を明確に区別することができます。

自分の課題は、営業として一生懸命働き、成果を出すことです。一方、上司が自分を評価するかどうかは、上司の課題であり、自分がコントロールできる範囲ではありません。自分がすべきことは、営業成績を上げるように努力し、できる限り上司に好印象を与えるように行動することです。それ以外のことは、上司の課題であり、それについて悩んでも仕方ありません。

例えば、自分が確実に成果を出し、適切に仕事に取り組んでいるにも関わらず、上司から不当に低い評価を受ける場合があります。そのような場合、自分ができること、つまり自分の課題は何かを探すべきです。それは、部署の変更や転職の検討、あるいは上司を別の部署に移動させるための行動など、様々な形をとることがあります。しかし、上司がいつか変わって理想的な人物になることを期待するのは、他人の課題に自分が首を突っ込んでいることになります。人を変えることは困難であり、そういった期待をするのは避けるべきです。

承認欲求を捨てる

この「課題の分離」という考え方は、承認欲求を捨てるという意味でもあります。人は誰しも、承認欲求に支配されがちですが、これはアドラー心理学では危険視されています。たとえば、大学に進学する際、自分が本当に興味がある学問や環境を選ぶべきなのに、周囲からの評価を得るために名声のある大学を目指す人が多いです。社会人になっても、誰かに褒められるため、誰かに怒られないように仕事をするというパターンが続きます。しかし、これは他人に認めてもらうという、自分の課題ではない他人の課題を目指してしまっています。これはアドラー心理学の観点から見ると、絶対に避けるべきパターンと言えます。

特に日本の社会は、承認欲求を刺激して努力を促すような仕組みになっていることが多く、我々の頭の中は承認欲求でいっぱいになりがちです。しかし、ここで大切なのは、承認欲求の奴隷になって他人の課題にばかり焦点を当てるのではなく、自分が何を楽しいと感じ、何を幸せと感じるのか、つまり自分自身がコントロールできる自分の課題に集中することです。

私たちが自分自身の課題に注力し、それを通じて自分らしい生き方をすることこそが、真の幸せを見つける鍵となるでしょう。

縦の関係を作らない

この文章の3つ目の衝撃的なポイントは、「縦の関係を作らない」という考え方です。これは、どんな人との関係でも、必要以上に上下関係を作らないということです。アドラー心理学では、全ての人間の立場は異なるかもしれませんが、それでも我々は対等な存在であると認識すべきだと説いています。

さらに具体的な行動として、「人を褒めない」というアドバイスがあります。これは一見すると驚くかもしれません。なぜなら、通常、心理学では「褒めて伸ばす」という考え方が多いからです。しかし、アドラー心理学の観点から見ると、「褒める」という行為自体が上下関係を生み出すため、それは避けるべきだとされています。褒める側と褒められる側が自然と上下関係を形成し、これが承認欲求を刺激し、人々を承認欲求の奴隷にしてしまうからです。

例えば、会社の報酬制度や「褒めて伸ばす」上司は一見良いように思えますが、アドラー心理学から見ると、これらはただ承認欲求の奴隷を量産しているだけだと言えます。

では、どうすれば良いのでしょうか? アドラー心理学では、ありがとう」と感謝することを推奨しています。なぜなら、感謝の表現は上下関係を生み出さないからです。感謝は、目上の人にも、自分の子供にも表現できます。そして、感謝による対等な関係は、承認欲求を刺激せず、より健全な関係を築くことができます。

私たちは学校教育などを通じて承認欲求に囚われがちですが、本当に大切なのは、自分が何を成し遂げ、どれだけ他人に貢献して感謝されるか、ここに幸せな人生を送る鍵があるのかもしれません。

最後に重要なことは、「感謝されよう」という意識を持たないことです。自分が何かをやってあげて相手が感謝するかどうかは、相手の課題です。自分が大切な人のために何かを行い、それが相手のためになったと確信したなら、それが最高の自己満足につながり、同時に最高のモチベーションにもなるでしょう。自己満足は、一般的には否定的な意味合いで使われがちですが、自分自身の行動に満足し、それが他人のためになったと感じることは、自己の成長や幸せをもたらす強力な推進力となります。

したがって、アドラー心理学の視点からは、上下関係を作らず、相手を褒めるのではなく感謝の言葉を伝え、自分が行った行動に満足することが、幸せな人生を送るための重要な要素となるのです。

まとめ

それでは、今日は超ベストセラー「嫌われる勇気」についての私たちの探求を終わりにしましょう。この本から学べる重要な教訓は3つあります。

まず一つ目、全ては原因論ではなく目的論

過去や原因に縛られないこと。すべては目的論であるという考え方を持つことが大切です。人生は現在から始まり、現在から進化します。

次に二つ目、課題の分離

自分の課題と他人の課題を明確に分けること。生きていく中でさまざまな課題に直面しますが、他人の課題に悩むことは無駄なエネルギーの消耗です。

そして最後に、縦の関係を作らない

相手を褒めるのではなく感謝すること。これは、他人を褒める行為が、彼らを承認欲求の奴隷にする可能性があるためです。アドラー心理学的には、感謝の言葉を伝えることが良いとされています。

以上が今回の要点です。この話が皆さんの日々の生活に役立つことを願っています。また次回の記事でお会いしましょう。どうもありがとうございました。

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