
現在、日本の政治は大きな岐路に立たされています。参院選の大敗を受けてもなお辞任を拒む石破首相(仮定)が、自民党内外から激しい批判を浴びています。かつて「安倍首相は責任を取るべきだ」と語っていた石破氏が、いざ自分が窮地に立たされると異なる態度をとる姿勢に、保守層からも厳しい視線が向けられています。
一方、国際舞台では、日本とトランプ前大統領との間で交わされた「関税交渉」の舞台裏も明らかになりました。米国の内政スキャンダルとリンクしながら進んだこの交渉は、偶然か、それとも計算か――日本にとって“幸運”とも言える結果となりましたが、その裏には巨額の投資という代償も存在しました。
本記事では、櫻井よしこ氏による最新の解説をもとに、「石破首相の進退問題」と「トランプ政権下での日本外交の裏側」の2つのテーマを軸に、今の日本が直面する政治的・外交的なリアルを読み解いていきます。

■ 石破首相の辞任問題とは?
● 参議院選挙での大敗と辞任拒否
石破茂首相(仮定)のもとで行われた参議院選挙において、自民党は歴史的ともいえる大敗を喫しました。通常、こうした選挙での敗北は「民意の否定」と見なされ、首相はその責任を取って辞任するのが日本政治の慣例です。
特に「選挙は政権への信任を問う機会」と位置づけられているため、ここでの敗北は「石破内閣に対する信任を失った」と見なされても不思議ではありません。
にもかかわらず、石破首相は辞任を断固拒否し、政権の座にとどまる姿勢を崩していません。
● 首相経験者らの“辞任要求”と石破氏の否定
選挙後、自民党内では激震が走りました。岸田文雄・菅義偉・麻生太郎の各元首相、さらに森山幹事長らが会合を開き、「このままでは党が持たない。石破氏は速やかに辞任を検討し、日程を明示すべきだ」との意見が一致したと報じられています。
しかし、石破首相本人はその後の記者会見で、「辞任についての話は一切出なかった」と発言。これは党内外に驚きをもって受け止められ、「言っていることが事実と食い違っているのでは?」という疑念が広がりました。
● 岸田元首相の“証言”と事実関係の確定
この疑念に対し、ジャーナリスト・櫻井よしこ氏が動きます。櫻井氏は岸田元首相に直接連絡を取り、「実際に辞任の話があったのか」と確認。
岸田氏は「石破氏に対して明確に辞任の検討を求めた」と証言しました。
このやりとりから、石破首相が記者に対して虚偽とも取れる説明を行っていた可能性が強まり、政権に対する信頼はさらに揺らぐ結果となっています。
● 党内分裂と地方組織の反発
辞任を拒否する石破首相に対して、自民党内の反発は一気に広がりました。高知県連や三重県連など、地方組織の多くが公式に「首相は責任を取るべきだ」との意見書を出し、青年局や女性局といった中堅・若手組織からも同様の声が上がっています。
これは、もはや一部の反石破派にとどまらず、党全体が分裂しかねない危機的状況にあることを意味します。
● 石破氏の“続投理論”と過去の矛盾
石破首相は、こうした批判に対して「自民党はまだ国会で“比較第一党”(=最大勢力)であるから、政権担当を続ける正統性がある」と主張。つまり、「選挙に負けたが、野党より議席数は多いので辞める理由はない」との理屈です。
しかし、この主張は過去の石破氏自身の発言と明らかに矛盾します。かつて安倍晋三元首相が選挙で一部の敗北を喫した際、石破氏は「結果責任を取って辞任すべきだ」と強く批判していたのです。
このダブルスタンダードに対し、櫻井よしこ氏は痛烈に批判し、「かつては潔さを求めた石破氏が、自分に都合が悪くなると論理をねじ曲げる。これは政治家として最も信頼を失う態度だ」と断じました。
● 櫻井氏の総評:扱いづらく、恥を知らない人物
最終的に櫻井よしこ氏は、石破首相について次のように評しています。
「この人は、自分の言動が矛盾していることに気づいても平然としている。恥を知らない、そして非常に扱いづらい人物である。」
政治家としての資質、誠実さ、説明責任——それらすべてに疑問が投げかけられる今、石破政権は風前の灯とも言える状況にあるのです。

■ 自民党の今後と後継候補 ― 高市早苗氏が再び浮上、小泉進次郎氏との綱引き
石破首相(※仮想設定)が参院選で歴史的大敗を喫したことで、党内では「ポスト石破」をめぐる動きが一気に活発化しています。次期総裁、すなわち新たな自民党の顔として誰がふさわしいのか――その議論が党内でも国民の間でも大きな注目を集めています。
◆ 国民人気トップは高市早苗氏
次期総裁候補として、まず注目されているのが高市早苗氏です。元総務大臣であり、保守的な価値観と明確な国家観を持つことで知られています。過去の総裁選でも安倍晋三元首相の強い支援を受け、一躍脚光を浴びました。
特に、インフレや安全保障問題への姿勢が明確で、ブレない保守政治家としての姿勢は、国民の間で根強い支持を集めています。メディア露出も多く、SNSでも積極的に発信を続けており、国民人気ではトップクラスの評価を受けています。
◆ 議員票では小泉進次郎氏が優勢
一方で、党内、特に国会議員からの支持が高いのが小泉進次郎氏です。元環境大臣で、父・小泉純一郎元首相譲りの高い知名度と発信力を持ちます。議員の中では「選挙の顔」として期待する声が依然強く、特に若手議員を中心に一定の人気があります。
ただし、小泉氏の場合は政策面での明確な軸が見えにくいという批判もあり、国民の間では賛否が分かれる傾向にあります。
◆ 高市氏を支える「創誠日本」グループの動き
高市氏を支える陣営は、今回は前回総裁選の反省を踏まえて動いています。
中心となっているのは、萩生田光一氏(元経産相)らによる保守系グループ「創誠日本」。このグループは安倍晋三元首相の思想を引き継ぐメンバーが集まり、経済政策・憲法改正・安全保障などで明確なビジョンを持っています。
前回、総裁選では高市氏は1回目の投票で大健闘したものの、決選投票では議員票が伸びず敗北。その教訓から、今回は**「地方票と議員票の両方を確実に固める」**ことを戦略の柱とし、創誠日本を軸に早くから結束を固める動きが進んでいます。
◆ 自民党内の「路線対立」が表面化
このように、高市氏の保守・国家重視路線と、小泉氏の改革・ポピュリズム的な路線との間で、自民党内に**政策的・思想的な「路線対立」**が生じつつあります。
これは単なる人気投票ではなく、今後の日本のかじ取りをどうするか、という本質的な問いでもあります。
まとめると、石破政権の求心力が崩れた今、自民党では「誰が次のリーダーにふさわしいか」をめぐって熾烈な競争が始まっています。国民の信頼を得て、党の結束を保ちながら、外交・経済・安全保障の課題に対応できる本格派のリーダーが求められています。

■ トランプ関税問題の舞台裏 - “赤沢外交”が導いた思わぬ大成果と、その代償
トランプ政権時代、日本はある意味で“危機”と“幸運”の両方を同時に経験しました。きっかけとなったのは、トランプ前大統領が一方的に発表した日本製品への関税25%引き上げ方針。このまま実施されていれば、日本の自動車産業や輸出企業に深刻な打撃となり、株価の大幅下落や経済全体の不安定化は避けられなかったでしょう。
そんな緊迫した情勢の中で、表に出ることのなかった外交劇が繰り広げられていました。
◆ 赤沢亮正氏、異例の“直談判”へ
当時、日本政府から赤沢亮正衆議院議員(当時)が急遽、アメリカへ派遣されます。経済・外交に明るく、自民党内でも実務派として知られていた赤沢氏が、なんとホワイトハウスでトランプ氏本人と直接会談するという異例の展開に。
この会談の中で、赤沢氏は冷静かつ粘り強く、日本の立場を説明し、25%の高関税がいかに両国にとって不利益かを訴えました。
そして驚くべきことに、トランプ氏はその場で態度を軟化。関税の引き上げを25%から15%に引き下げるという、いわば“譲歩”を表明したのです。
◆ 背景には「政治的計算」も
では、なぜトランプ氏は突然、これほどの譲歩をしたのでしょうか?
一部の分析では、当時トランプ氏の周辺で再び話題となっていた**「エプスタイン事件」への関心をそらすためのメディア戦略**だったと指摘されています。
つまり、トランプ政権にとって都合の悪いスキャンダル報道が過熱する前に、「外交的成果(=日本との交渉成功)」というポジティブな話題を前面に出し、世論の目をそらそうとしたのではないか――という読みです。
この読みが正しければ、赤沢氏は絶妙なタイミングで米国側の“政治的欲求”を読み取り、それに応じる形で交渉を成功させたとも言えるのです。
◆ ただし「代償」も大きかった
一方で、この関税引き下げの見返りとして、日本政府はアメリカに対し5500億ドル(約80兆円)規模の投資を約束したとされています。
この投資は、米国内のインフラ、ハイテク、エネルギー分野などに振り向けられるもので、名目上は「両国の経済連携の強化」とされていますが、実質的にはトランプ政権への“貢物”とも受け取られかねないものでした。
日本にとっては、関税ショックを回避できたことで経済と株式市場の安定を維持できたという明確なメリットがあった一方で、外交的な対価の大きさが長期的な懸念として残る結果となりました。
✅ 危機と幸運、そして計算ずくの外交
この“トランプ関税問題”の裏側には、政治的駆け引きとタイミングを見極めた戦略外交がありました。赤沢氏の動きは、表には出ない形で日本経済を救ったとも言える一方、米国への投資という形で「代償」も伴いました。
この事例は、日本がこれからも続く米中対立や国際情勢の中で、どれだけ戦略的に外交を進められるかが問われるという、重要な教訓を残しています。

■ エプスタイン事件とは?
アメリカ政財界を揺るがした“未成年性犯罪”スキャンダル
【1】エプスタインとは誰か?
**ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)**は、アメリカの資産家・金融業者で、多くの著名人や政治家との人脈を持っていました。彼は特に「富裕層の人脈仲介役」としても知られ、元米大統領ビル・クリントン、英国王室のアンドルー王子、そしてドナルド・トランプ元大統領などの名前が彼の交友関係にたびたび登場します。
【2】何が問題になったのか?
エプスタインは、未成年の少女を多数リクルートし、自宅や私有島で性的虐待を行っていたとされます。また、その少女たちを著名人との性行為にあっせんしていた疑いもありました。
つまり、単なる個人の犯罪ではなく、**有力者の性的犯罪ネットワーク(人身売買)**に関与していた疑いがあるという点が、大きなスキャンダルとなったのです。
【3】逮捕と死去
エプスタインは2008年に一度逮捕されましたが、軽い刑で済み(いわゆる“司法取引”)、その処遇が大きな批判を浴びました。2019年に再び逮捕された際には、より重大な証拠が挙がり、多くの未成年被害者の証言が集まりました。
しかしその直後、ニューヨークの拘置所で“自殺”したと発表されます。ところが、
- 監視カメラが作動していなかった
- 拘置所職員が目を離していた
- 首の骨の折れ方が“自殺”としては異常
など不審点が多く、**「口封じのための他殺説」**が世界中で広まりました。
【4】なぜトランプや他の要人が関係するのか?
エプスタインは著名人を自分の別荘や“プライベート・アイランド(私有島)”に招き、パーティーや接待を繰り返していました。その場には未成年の少女がいたことが証言されています。
トランプ元大統領も過去に「エプスタインはすごく面白い奴だ。若い女の子が大好きでね」と語っていた過去があり、交友関係があったことは確かです。ただし、トランプ氏が犯罪行為に関与したという証拠は、現在のところ明確には出ていません。
とはいえ、スキャンダルが広がると政治的ダメージが大きいため、メディア操作や“別のニュースで目をそらす戦略”がとられることもあります。
✅ なぜ今も注目され続けているのか?
- 富裕層や政財界の要人が関わる“闇のスキャンダル”であること
- 犠牲者が未成年の少女であるという衝撃性
- エプスタインの死が「不自然」であり、真相が闇の中
これらの要素により、**エプスタイン事件は単なる犯罪事件を超えた“国際的な疑惑”**として、今も世界の注目を集めているのです。

■ 要点まとめ:いま日本と世界で何が起きているのか?
今回の内容を通して見えてくるのは、政治の信頼性と国民との距離感がかつてないほど問われているという事実です。
- 石破首相(仮)の「辞任拒否」をめぐる混乱は、自民党内の求心力の低下と、リーダー不在の危機を露呈。
- 一方で、次期総裁を巡っては高市早苗氏や小泉進次郎氏といった顔ぶれが浮上し、新しいリーダー像を模索する動きが加速しています。
- さらに国際面では、日米交渉の舞台裏でエプスタイン事件が影響していた可能性が指摘され、外交もまた“表の論理”だけでは動いていない現実を見せつけられました。
こうした政治・外交の裏側に共通しているのは、「情報を見抜く力」と「判断力」の重要性です。
表に見えるニュースの背後には、私たちが知らない力学や取引、思惑が複雑に絡み合っています。
だからこそ私たち一人ひとりが、メディアの情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考える力を持つことが求められているのです。
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