幸せの再発見:アフリカの小さな村が教えてくれた生き方
現代社会において、「幸せ」とは一体何を意味するのでしょうか?私たちは物質的にはかつてないほど豊かになり、旅行、スマートフォン、インターネットを通じての娯楽、さらには高品質な食事や住居に至るまで、快適な生活を享受しています。しかし、本当の幸せを感じていると自信を持って言える人は、果たしてどれほどいるでしょうか?
この疑問に答えを出すために、ペンキ画家であるしげさんと作家のヒスイコタロウさんが共著した『今日、誰のために生きる?—-アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語』という書籍が、私たちに深い洞察を与えてくれます。本書は、アフリカのブンジュ村での生活を通じて、私たちが忘れがちな幸せの本質とは何かを考えていきましょう。
物質的な豊かさと生活満足度の関係についてのデータは衝撃的です。1960年から2010年にかけての日本のGDPは確かに上昇しましたが、それに伴う生活満足度の向上は見られませんでした。SNSによる無駄な論争や、見える化された格差と嫉妬。これらは私たちの幸せを奪っているのかもしれません。
しかし、幸せへのヒントは、意外な場所、つまり電気が日に3〜4時間しか使えず、水を川から運ばなければならない、ガスも使えないアフリカのブンジュ村にあったのです。この村での経験が、幸せの新たな定義を教えてくれるのです。
このブログでは、『今日、誰のために生きる?』を読んで、ブンジュ村での生活がどのようにして著者たち、そして読者に幸せの本質を教えてくれるのかを解説していきます。物質的な豊かさを超えた、心の豊かさを求める旅に、ぜひお付き合いください。
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大切な人と共に食事を楽しむ
幸せへの道は、時にはシンプルな日常の瞬間に隠されています。その一つが、大切な人と共に食事を楽しむことから始まります。ブンジュ村の人々は、心を通わせるために、共に食事をする時間を何よりも大切にしています。村の村長さえも、「食事が単なる作業になってしまうと、生活全体が作業のように感じられてしまう」と語っています。最近はどうでしょう?動画を見ながら、またはニュースを読みながら一人で食事をしていることが多いかもしれません。確かに、そうすることは便利かもしれませんし、時にはユーチューブを観るほうが、友達の話を聞くより楽しいと感じることもあるでしょう。しかし、誰かと一緒に「これ美味しいね」と笑い合いながら食事をすることは、私たちの心にとってどれほど大切か、思い出してみてください。私たちの先祖も、一人で食事をするのではなく、群れで食事をしていたのですから。
だからこそ、もし食事がただの作業になってしまっているなら、たまには友達を誘って一緒に夕食を楽しむことから始めてみてはどうでしょう。週に1回でも、誰かと一緒に食事をすることで、今よりももっと幸せを感じられるかもしれません。食べることへの感謝と共に、誰かとの共有を大切にすることが、幸せへの第一歩です。
さらに、幸せになるためには、まず自分自身を大切にすることが重要です。自分が満たされていないと、他人を幸せにすることは難しいですから。例えば、自分が空腹である時に他人に食事を提供することは、不満やトラブルを招く原因となり得ます。しかし、自分が満足した後で余った食事を分け与えるなら、それは心からの喜びとなります。これは、自分を満たし、その上で他人を満たすことが重要だということです。
日本では、しばしば自分のことを後回しにして、会社や家族のために尽くす人が多いですが、自分自身を大切にし、心の余裕を持つことが、結果として他人への貢献に繋がります。ブンジュの人々から学ぶべきは、幸せになるためには、まず自分自身を大切にすること、それがすべての始まりだということです。
自分が喜びを感じられない仕事を避けること
幸せへになるためには、自分が喜びを感じられない仕事を避けることが重要なポイントの一つです。なぜなら、私たちの生活の大部分を占める仕事が楽しくなければ、人生全体を楽しむことが難しくなってしまうからです。ブンジュ村の村長は、著者が絵を描く際に、自分自身のために描いているのか、それとも他人のために描いているのかを問いかけました。他人のために何かをすることは素晴らしいことですが、その行為から自分自身が喜びを感じることも大切です。他人が喜んでくれたとしても、自分が全く喜びを感じないならば、その仕事は見直すべきだと彼はよく言っていたそうです。
心理学者アダム・グラントの「ギブ・アンド・テイク」にも、他人に尽くすギバーが最も苦しむと述べられています。自分を犠牲にして仕事をするほど、自分だけでなく周囲も苦しくなってしまう可能性があります。事実、過労死のような悲しいニュースは、その仕事が家族や友人にも深い悲しみを与えます
そのため、もし現在の仕事が楽しくない場合は、楽しむための工夫が必要です。余裕がないなら、余裕を持てるように工夫しましょう。そして、どうしても自分に合わない仕事であると感じたら、新しい仕事を探す勇気も必要になりますが、他人の喜びだけを追求するのではなく、自分自身の喜びも大切にすることが、幸せへの道であることを覚えておきましょう。
日がくれたら仕事を やめること
幸せを見つける上で、幸せになるには日がくれたら仕事を やめることです。ブンジュ村の人々は、残業という概念を持たず、午後3時半には仕事を終え、夜9時までの貴重な時間を自分や家族と共に過ごします。彼らにとって、自分の休息を犠牲にしてまで仕事を続けることは好ましくないという価値観が根付いています。さらに、限られた電気の使用時間や、夜になると自然と仕事ができなくなる環境が、人とのつながりを重視する彼らのライフスタイルを支えています。
著者も、絵を早く上達させたい一心で、1日12時間もの練習を目指していましたが、ある日、村長から「あのさ諦める時間が来る ことの幸せってわかるかな?」と問われました。この言葉は、日没と共に仕事を終えることが、自然な生活リズムを保ち、ワークライフバランスを大切にするブンジュ村の人々の智慧を象徴だったのです。
日本のように自由に電気を使える環境では、夜遅くまで働けますが、それが常態化すると、不自然な生活リズムに陥り、健康を害することもあります。だからこそ、ブンジュ村の人々は、日が沈んだら仕事を終え、適度に休息を取り、人との交流を大切にすることを選んでいます。
これは忙しい日々を過ごす私たちにとっても、日が暮れたら仕事を止め、自分と大切な人たちとの時間を優先することの大切だという事です。幸せを感じるためには、仕事とプライベートのバランスを見つけることが、とても重要なのですね。
定期的に空を見上げる
幸せを感じるためには、定期的に空を見上げることが意外に重要です。なぜなら、日々の忙しさに追われる中で、空を仰ぐ余裕があるということは、心にゆとりがある証拠だからです。この心のゆとりこそが、幸せを深く感じ取るために必要なのです。
ブンジュ村に到着した時、著者が朝も昼もしばしば空を見上げる姿が、村の人々には心に余裕がないように映ったかもしれません。しかし、村人たちは空を見上げることの大切さを知っており、それを通じて心の平和を保っています。現代生活では、忙しさにかまけて空を見上げることがほとんどなくなってしまいがちですが、たとえば露天風呂やサウナにいる時に偶然空を見上げた際、その美しさや広がりに心が癒される瞬間があることでしょう。そうした時、空の青さや広がりがもたらす幸福感は格別です。
さらに、心を空に向けてぼーっとする時間は、脳にとっても重要な役割を果たします。このような時に活動する「デフォルトモードネットワーク」という脳の状態は、リラックスしている時にも働き、斬新なアイデアが浮かぶのに適しているとされています。つまり、定期的に空を見上げることは、仕事の効率を高める上でも、心の余裕を持つ上でも大切です。
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心を込めた挨拶を日常に取り入れる
幸せを実感するためには、心を込めた挨拶を日常に取り入れることが大切です。ブンジュ村の人々は、挨拶が人の幸福感に深く関わっていると信じています。心のこもった挨拶とは、単に「おはよう」と言うだけでなく、その人の日々や気持ちに寄り添った言葉を添えること。例えば、「おはよう、今日も空を見上げてる?」や「おはよう、今日は誰のために生きる?自分のために生きるんだね。それではまた」といった具体的な言葉を交わすことです。このような挨拶は、相手への思いやりを示し、お互いの日々を豊かにします。
夜になると、「今日はどんな良いことがあった?」や「今日も自分の人生を生きられたね」と聞くことも、ブンジュ村の風習です。これらはすべて、相手の顔をしっかり見て、その人の状態を感じ取り、適切な言葉を選んで声をかけることから生まれます。心のこもった挨拶は、ただの慣習ではなく、相手との深い繋がりを築く手段なのです。
しかし、現代日本では、見知らぬ人への挨拶は少なく、時には無視されがちです。挨拶を交わすことも、義務感からの「おはよう」「お疲れ様」に留まることが多いです。でも、朝の一言二言が、その日一日の気持ちを軽くすることもあります。心からの挨拶が難しい場合、それは心の余裕がなくなっているサインかもしれません。
さらに、幸せになるためには失敗を歓迎する心持ちも重要です。失敗を隠すのではなく、それを受け入れることで、子供たちは失敗を恐れずに挑戦する勇気を持つようになります。ブンジュ村では、大人も子供も失敗を通して学び、成長していく文化があります。失敗は、自分自身をより深く知るための重要なステップであり、自分に合った道を見つける助けとなります。
心のこもった挨拶をすること、そして失敗を歓迎する心持ちは、幸せを感じるために大切な要素です。これらを日常生活に取り入れることで、より豊かで満たされた日々を送ることができるでしょう。
感謝の気持ちを積極的に伝えること
夢を実現する鍵として、感謝の気持ちを積極的に伝えることが非常に重要です。感謝を表す行為は、相手を不快にさせることはほとんどなく、むしろ期待していなかった新しい関係を築くきっかけになることもあります。ブンジュ村の住人たちは、画家として成功する秘訣は、周囲への感謝を常に忘れずに伝え続けることにあると信じています。著者も、日常生活の中で音楽を聴いたり、フルーツを味わったりする際に、それを提供してくれた人々への感謝を忘れません。
この考え方を胸に、日本に帰国した著者は、ホームセンターで購入したペイントの鮮やかな色彩に感動し、製造会社に直接感謝の意を伝えに行きました。この一見小さな行動がきっかけとなり、著者はその会社とスポンサー契約を結ぶことに成功しました。
これらの例からわかるように、相手に何らかのメリットを提供できる場合はもちろんのこと、そうでない場合でも、自分の感謝の気持ちを率直に伝えることで、予想外の繋がりが生まれる可能性があります。これは、遠くから憧れるだけでなく、積極的にアプローチを試みることの重要性を示しています。夢を叶えるためには、自分が価値を見出したものや人に対して、感謝の気持ちを伝える勇気を持つことが大切です。
おわりに:小さな習慣や行動の積み重ね
幸せになるためには、日常生活の中に溶け込んだ、しばしば見過ごされがちな小さな習慣や行動の積み重ねにあります。これには、友人や家族と共に食事を楽しむこと、自分自身を他人よりも優先して大切に扱うこと、真の喜びを感じられない仕事には固執しないこと、労働時間には明確な境界を設けて適切な時刻に仕事を終えること、そして心の余裕を持って定期的に空を仰ぐことが含まれます。また、心のこもった挨拶を交わすことができる人々や場所を持つこと、失敗を恐れずに受け入れること、そして何よりも、夢を叶える旅の途中で感謝の気持ちを伝えることも大切です。
特に、幸せを形作るのは、食事を共にする喜びや、誠実な挨拶の交わし合い、自己への思いやりのような、当たり前に思えるがゆえに忘れがちなことかもしれません。しかし、人間関係において一人映画を観たり、SNSをチェックすることがもたらす一時的な楽しみに比べ、実際には誰かとの食事がもたらす満足感やつながりの重要性を見落としているかもしれません。確かに、一人で過ごす時間が心地よいこともありますが、時には孤独を感じることもあるでしょう。そうした時には、週に一度でも他人との交流を楽しむために時間を設けてみるといいでしょう。
このまとめから分かるように、幸せへの道は、自分を大切にし、周囲との良好な関係を築き、日々の小さな瞬間に感謝する心を持つことから成り立っています。幸せは壮大なものではなく、日常の中に静かに息づいているのです。
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