【ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法 /佐藤大和(著)
「ずるい暗記術」と聞くと、興味を引かれる方も多いでしょう。私たちが学生の頃、どれだけ勉強法に頭を悩ませ、時間を浪費したかを思い出してください。伝統的な「教科書を読み、問題を解く」スタイルは、果たして最も効果的なのでしょうか?過去には、運動中に水を飲むことすら禁じられていた時代があり、教育の方法も時と共に変わるもの。本書では、偏差値30から驚異の司法試験一発合格を果たした著者が、その勉強法の極意を明かします。その核心は「答えを見ること」にあると言います。
最近は、最強の暗記術や超高速暗記術といった書籍が数多く出版されています。しかし、この「ずるい暗記術」は、特に忙しい社会人や、資格試験を控えた方々にとって、真に効果的な方法であることを保証します。著者自身が簿記3級を2週間、簿記2級を2ヶ月で合格した実績を持つのみならず、多くの人々に実践され、その効果を証明しています。
学びには、新しい知識を得る勉強法と、試験に合格するための勉強法の2つが存在します。この「ずるい暗記術」は後者を追求した結果生まれたもので、貴重な勉強時間を最大限に活用することを約束します。7つのポイントにまとめたこの方法を、ぜひ一度試してみてください。あなたの勉強の質を大きく変えるかもしれません。
過去問の答えを暗記からスタートする
過去問の答えを暗記からスタートする: 効率的な資格取得のための方法として、従来の「参考書を読む → 問題を解く → 答えを確認」という流れではなく、「過去問の答えを先に見る → 問題を確認 → 参考書を読む」という順序をおすすめします。このアプローチのポイントは、初めに答えを覚えることに重きを置くことです。資格試験に合格するための最短ルートは、答えを先に暗記することからスタートします。一般に、人は問題を理解し、記憶を定着させるのに時間がかかりますが、この方法では理解を後回しにし、まずは答えだけを記憶することを重視します。従来の方法では、理解と記憶を同時に行うのに対し、この新しいアプローチでは、先に答えを暗記し、その後で問題を理解する順番をとります。
繰り返し学習を意識する
人間の脳は忘却という性質を持っています。我々が情報や知識を学んでも、それが自動的に長期記憶として保存されるわけではありません。実際、科学的な研究から、私たちが新しい情報を学んだ後、短時間で多くの情報を忘れてしまうことが示されています。
エビングハウスの忘却曲線は、この忘却の過程を数値化したものです。この曲線によれば、私たちが新しい情報を学んだ20分後には、その情報の42%を忘れてしまうとされ、1時間後には56%、1日後には驚異的な74%もの情報が忘れられてしまいます。これを理解することで、ただ暗記するのではなく、どのように暗記すれば良いのか、その方法やアプローチが明らかとなります。
では、この忘却の性質を知った上で、どのように学習すればよいのでしょうか。答えは「回数をこなす」ことにあります。一度だけの長時間の学習よりも、短い時間を数回に分けて学習することで、記憶はより定着しやすくなります。この繰り返しの勉強法が、記憶を定着させるための絶対的な公式となります。
そして、資格勉強の際には、過去問の答えを先に暗記することが重要だとされています。その理由として、人間は理解しない記憶は定着しにくいという性質が挙げられます。ですので、過去問の答えを暗記してから問題に取り組むことで、理解と記憶のプロセスが同時に進行することができます。
結論として、忘れることを恐れず、忘れるからこそ効率的な方法で学習を行い、新しい情報や知識を頭にしっかりと入れ込むことが、成功への鍵となります。
勉強は寝る直前に
勉強のタイミングは人それぞれ異なりますが、この勉強法では、寝る直前の時間を最も効果的な学習の時間として推奨しています。具体的には、この方法の最初のステップとして、答えを暗記することが強調されています。そして、この暗記の最適な時間帯に関して、夜の寝る直前が特に効果的であるとされています。
著者によれば、寝る直前の時間は「記憶のゴールデンタイム」とも称されるほど、学習した情報が脳にしっかりと定着しやすい時間帯だとされています。この時間に集中して勉強することで、効率的に情報を記憶に残すことができると提案されています。
朝の復習
朝の時間は、前日に学習した内容を復習するのに最適な時間とされています。特に、前日の夜に学習した内容は、睡眠中に脳での情報整理が行われ、記憶が定着する過程が進行します。しかし、この定着した記憶も時間とともに失われやすいため、朝目を覚ましたら直ちに前日の復習を行うことで、記憶の流出を最小限に抑えることができます。
さらに、暗記の際の最も効果的な手法として、インプット(情報を取り込むこと)とアウトプット(情報を出力すること)の繰り返しが重要であると強調されています。具体的には、夜間の学習時間を答えを暗記し、問題を確認するインプットの時間とし、翌朝にはその問題を確認しつつ、答えを思い出すアウトプットの時間として利用します。このような方法を繰り返すことで、答えだけでなく、問題自体もしっかりと記憶することが可能となります。
スピード暗記
暗記に関して、本書では「スピード暗記」という概念が紹介されています。この概念は、偏差値30だった著者が司法試験に一発で合格することができた背景にある主要な手法の一つです。著者は、十分な暗記能力があれば、どのような試験であっても合格することが可能だと断言しています。
多くの試験では過去問が存在し、これらの過去問を最大限に活用することで、効率的な暗記が可能となります。著者が提案する「ずるい暗記術」とは、過去問を中心にした速読を活用する方法です。暗記の本質は、答えを知っているか、または知らないかの2択であり、問題を長く見つめるよりも、答えを瞬時に思い出すことが求められます。
試験は、学んだ知識をアウトプットする場として機能しています。特に時間制限のある試験では、効率的に情報を思い出す能力が重要です。それを実現するためには、日常的な学習の際にもスピードを意識することが不可欠と著者は強調しています。
夜の5分、朝の5分の記憶の出し入れ術
著者は「夜の5分、朝の5分の記憶の出し入れ術」という方法を紹介しています。これは、就寝前の5分間でその日に学んだ内容を振り返り、起床後の5分間で前日に学んだ内容を再確認する方法です。この短時間の復習を日常的に行うことで、暗記術がさらに効果的となると著者は指摘しています。繰り返しの復習によって、記憶がしっかりと定着し、アウトプットの機会を増やすことで、長期的に記憶を保持することができるようになります。
試験の構造を理解する
資格試験を効率的に攻略するためには、まずその試験の構造や傾向を正確に理解する必要があります。過去の問題や問題集を何度も反復して解いていくことで、試験の特定のパターンや傾向が見えてきます。このような試験には一定の法則が存在し、具体的には、基礎的な問題が6割、応用的な問題が3割、そして他の難易度の問題が残りの1割を占めるとされています。
試験を受験する目的は合格することであり、必ずしも100点を目指す必要はありません。特に忙しい社会人にとっては、時間は非常に貴重な資源です。そこで、基礎的な問題に焦点を当て、その6割の部分をしっかりと習得することが推奨されています。
さらに、脳科学者の茂木健一郎氏によれば、学習の過程にはドーパミンという神経伝達物質が重要な役割を果たしているとされます。ドーパミンは、快感を生じさせる効果があり、人間の脳はドーパミンが分泌されるときの状況を鮮明に記憶します。この理論を基に、学習中に「楽しい」と感じる瞬間が生まれると、その時の知識や情報がより定着しやすくなると言われています。したがって、時間がかかる複雑な問題よりも、基礎的な問題を中心に取り組むことで、脳に快感を感じさせ、効果的な学習を促すことができるとされています。基礎をしっかりとマスターすることで、次第に応用的な問題も解くことができるようになります。
まとめ
これまで紹介してきた勉強法やアプローチは、資格取得を目指す方々にとって非常に有益であると信じています。実は私自身もいくつかの国家資格を保持しており、その取得の過程で、難易度の高い資格から低いものまで、一問一答や参考書、過去問を日々読み解いていました。その結果、一冊の参考書を数分で読むスキルを身につけ、一年分の試験問題を30分で解く能力を身に着けました。そして、そのようなスキルを持つようになった時点で、試験に合格できる自信が芽生えました。
面白いことに、このブログで紹介している勉強法と私の実際の勉強法は非常に似ていました。国家資格は確かに難しいものもありますが、一つでも資格を取得するとそれは大きな自信となります。そして、試験資格の敷居が低いものも多く存在しています。だから、ぜひ皆さんもこのブログで紹介した勉強法を実践し、資格を習得してみてください。成功をお祈りしています!
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