眠れなくなるほど面白い論語

本要約

今回は山口陽次さんが書かれた『眠れなくなるほど面白い論語』という本を解説します。今回の目次は以下の通りです。

  1. 良い生き方とは
  2. 君子と小人
  3. 心を込めるということ

という順番で解説していきます。

論語は紀元前6〜5世紀ごろの中国の思想家、孔子の教えをまとめたものです。弟子たちが孔子の言葉を聞いたとき、忘れないように着物の袖や竹でできた筆などに書き残したものだと言われています。論語のほとんどが「子曰く」(先生が言われた)という言葉で始まっているのはそのためです。

論語は現代の日本にも生きています。例えば、論語で最も多く見られる「仁」という字は、人を思いやる心という意味です。日本ではこの字を必ず天皇の名前に使うようになっています。それは、天皇が孔子の語った「仁」という精神を忘れないため、そういった理由があるそうです。また、孔子の言葉は中学・高校の国語でも学びます。約2500年前の孔子の言葉が、倫理や道徳として今も教育の場で伝えられているのです。

論語が誕生したのは、孔子の死から100年ほど経ってから。本書では、時が経っても読み継がれてきた孔子の言葉を厳選して紹介していきます。簡潔で分かりやすく、誰にでも親しまれる章がたくさんあるので、非常におすすめの本です。

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良い生き方とは

では「1. 良い生き方とは」について解説していきます。この章では2つのポイント「授業で大切な5つの要素」と「学ぶことは人生の喜びである」について説明します。

まず1つ目のポイント、「授業で大切な5つの要素」です。孔子の思想に基づく教えの中に、授業というものがあります。この授業では、道徳の大切な要素として「仁、義、礼、智、信」の5つが挙げられています。それぞれの意味は以下の通りです。

  • : 真心、人を思いやる心
  • : 義理、正しい生き方
  • : 礼儀作法
  • : 知識と道徳、正しい判断ができる能力
  • : 信用、常に誠実であること

論語は数章から数十章にまとめられ、20の編に構成されています。この5つの要素は、論語を理解する上で知っておくべき大切な要素です。

例えば、論語にはこうあります。

「子曰く、人にして信なくば、その可なるを知らず。大車、輿なく、小車、軾なくば、それ何をもって行わんや。」
これは、信用や信頼がなければ、人間関係は成り立たないということを言っています。大車や小車は、それぞれ馬車や荷車を指し、車輪がなければ進むことができないように、人間関係でも信用がないと動き出すことができない、という教えです。

信用や信頼は目に見えるものではなく、判断するのは非常に難しいことです。しかし、それを判断する基準は「行動」です。人の信用や信頼は、日々の行動の積み重ねによってしか判断することはできません。

また、孔子の弟子たちも、この5つの要素を大切にしていました。例えば、弟子の曾子は次のように言っています。

「曾子曰く、我、日に三つ我が身を省みる。人のために謀りて忠ならざるか。朋友と交わりて信ならざるか。伝えられしを習わざるか。」
これは、曾子が毎日3つのことを反省しているという内容です。1つは、人の相談に乗るときに真心を尽くしているか。2つ目は、友達との付き合いで誠実さを守っているか。3つ目は、学んだことをきちんと復習しているか、です。

このように、人として正しい生き方を心がけることは重要で、間違ったことをしたときにはしっかりと反省し、同じ過ちを繰り返さないようにすることが大切です。毎日反省することは簡単なことではありませんが、それが精神的な成長につながるとされています。

学ぶことは人生の喜びである

では、続いて2つ目のポイント「学ぶことは人生の喜びである」についてです。

論語の最初に登場する有名な一説があります。

「子曰く、学びて時にこれを習う、また喜ばしからずや。朋あり遠方より来たる、また楽しからずや。人知らずして慍みず、また君子ならずや。」
これは、孔子が学びの喜びについて述べた言葉です。学ぶことは、ただ知識を得るだけでなく、学んだことを繰り返し復習することで、さらに深く理解でき、そのことが喜びとなります。また、遠方から友人が訪れてくれることも人生の大きな楽しみです。たとえ人が自分のことを理解してくれなくても、気にせずにいることが立派な人間である、という教えです。

孔子は、人の評価を気にするのではなく、自分の信じたことを喜びと感じる生き方が大切だと説いています。

読書もまた、ただ読むだけでなく、繰り返し学び直すことで身につくものです。この動画で紹介する孔子の教えも、繰り返し学ぶことで自分の中に取り入れていきましょう。

君子と小人

次に、「君子と小人」について解説していきます。この章では、2つのポイント「対比する表現として使われている君子と小人」と「両者は心の持ち方が違う」について説明します。

対比する表現として使われている君子と小人

まず1つ目のポイント「対比する表現として使われている君子と小人」についてです。論語には「君子」と「小人」という言葉が頻繁に登場します。君子とは、学問を修め、人格が優れた人、つまり高潔な人物を指します。一方、小人とは器の小さい人、つまり世の中に害を与えるような利己的で失礼な人を指します。この二者は対比的に使われています。

孔子は弟子に対してこう言っています。

「子夏に曰く、汝は君子の器となれ、小人の器となることなかれ。」
これは、孔子が弟子の子夏に「お前は立派な学者になりなさい。ただし、名誉や地位だけを求めるような浅はかな学者にはならないように」と諭した言葉です。

学ぶこと

次に「学ぶこと」について考えてみましょう。勉強と学問は同じように見えて、実は異なるものです。勉強は知識を身につけるための活動ですが、学問は学んだ知識をもとに、物事の本質を深く理解しようとする営みです。

孔子は、学問をする人には2種類のタイプがいると考えていました。1つは、自分自身を高め、理想的な社会を作ろうとする君子。もう1つは、自分の地位や名声を追い求め、利益を得ようとする小人です。孔子は、学問をする目的は、他者からの評価や利益を期待するものではなく、自分の成長のためでなければならないと考えていました。

しかし、現代社会を見てみるとどうでしょうか。多くの人が学問ではなく、単なる勉強に終わってしまっている例が多いです。例えば、有名大学に入るための勉強や、良い企業に就職するための勉強などがそれに当たります。孔子の考えからすれば、こういった人々は小人に分類されるかもしれません。

しかし、実際にこれは悪いことなのでしょうか。理想的な社会を作ることを目指して学ぶ人は、現代では非常に稀です。これについては次のポイントでも考えていきます。

両者は心の持ち方が違う

続いて2つ目のポイント「両者は心の持ち方が違う」についてです。

孔子はこう述べています。

「子曰く、君子は人の美をなす。人の悪をなさず。小人はこれに反す。」
これは、君子は人が良いことをしようとしているときに助け、悪いことをしようとしているときには止めるが、小人はその逆で、良いことをしようとすると邪魔をし、悪いことをするとそそのかすという教えです。

学校や職場でも、このようなことがよく見られるのではないでしょうか。集団生活を送る中で、良い行いを応援してくれる人がいる一方で、それを無駄だと言って足を引っ張る人もいます。逆に、悪いことをする場面では、面白がってそそのかす人もいます。

また、孔子は別の箇所でこう述べています。

「君子は泰然としているが、小人はいつも悩んでいる。」
これは、君子は心に余裕があり、小さな利害や損失にとらわれないが、小人は常に利益や損失に心を奪われ、くよくよしている、という意味です。

ここで注目すべきは、君子と小人は「心の持ち方」が違うという点です。君子は理想的な社会を作ることを目指し、そのための考え方を持っています。学問と勉強の話に戻ると、私たちが勉強を手段として利用することが小人だと考えるのは難しいかもしれません。しかし、君子とは理想とすべき存在であり、心の持ち方を変えれば君子に近づくことができるのです。

孔子の考えによれば、心の持ち方次第で人は変われるということを覚えておくことで、より良い人生を送れるようになるかもしれません。

心を込めるということ

最後に「3. 心を込めるということ」について解説します。この章では、2つのポイント「両親のありがたみについて」と「常に人間を第一に考える」について説明します。

両親のありがたみについて

まず1つ目のポイント「両親のありがたみについて」です。孔子は若くして両親を亡くしています。彼は自分が両親と長く過ごせなかった分、両親のありがたみについて強く思いを持っていました。孔子はこう述べています。

「子曰く、父母の年は知らざるべからず。一つはすなわちもって喜び、一つはすなわちもって憂う。」
これは、両親の年齢は知っておかなければならないという教えです。1つは、長寿を喜び、もう1つは、将来のことを心配するためです。現代においても、親と離れて暮らしている人には心に響く教えではないでしょうか。

常に人間を第一に考える

次に2つ目のポイント「常に人間を第一に考える」について解説します。

孔子の弟子である子貢(しこう)が、嘆いてこう言いました。

「哀しいかな、兄弟ありて我一人なし。」
これは、子貢が「兄弟がいないこと」を悲しんで嘆いた言葉です。しかし、弟子である曾子が彼にこう答えます。

「兄弟がいないのは運命だ。しかし、誰にでも思いやりの心を持って接すれば、すべての人と兄弟のようになれるだろう。」
この答えは、孔子の教えがしっかりと弟子に伝わっている証拠です。思いやりの心で接すれば、血縁に関係なく、他人とも兄弟のように親しくなれる、という孔子の思想が受け継がれていることが分かります。

また、孔子自身も常に人間のことを第一に考えていました。ある日、孔子が外出している間に、彼の馬小屋が火事で焼けてしまったことがありました。当時、馬は非常に貴重な財産でした。しかし、帰宅した孔子がまず最初に尋ねたのは、馬の無事ではなく、「人間は大丈夫か?」ということでした。このようなエピソードからも、孔子が物よりも人間を大切にしていたことがわかります。

このような孔子の姿勢は、弟子たちにとっても非常に尊敬されるものでした。孔子の「常に人間を第一に考える」という姿勢は、現代社会でも見習うべきものだと感じます。

まとめ

それでは、今回の内容をまとめます。

  1. 良い生き方とは
    授業で大切な5つの要素「仁、義、礼、智、信」を重視し、学ぶことは人生の喜びであるという教えが語られました。
  2. 君子と小人
    君子と小人は、心の持ち方が異なります。君子は他者を助け、理想的な社会を作ることを目指しますが、小人は自己利益にとらわれて行動します。君子のような考え方を持つことが、人生をより良くするための鍵です。
  3. 心を込めるということ
    両親のありがたみを理解し、常に人間を大事にする姿勢が重要だと説かれています。

今回紹介した『眠れなくなるほど面白い論語』については、まだまだ紹介しきれていない部分がたくさんあります。非常におすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。

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