本要約:読書「やる気スイッチ」

本要約

今回は山崎巧さんが書かれた「やる気のスイッチ」という本を解説します。今回の目次は以下の通りです。

  1. やる気の仕組み
  2. やる気の出し方
  3. やる気のレベル

という順番で解説していきます。

やる気はずっと続くものだと思っている人のやる気は長続きしません。なぜなら、物事を長続きさせられる人は、そのやる気がすぐに覚めるものだと知っていて、覚めないようにいつも工夫をしているからです。やる気は非常に気まぐれな存在で、出たかと思えばあっという間に消えてしまいます。やる気を出そうとしても、自分で無理をしているのが分かるでしょう。本書では、自分の心との付き合い方を理解する方法が学べるので、おすすめの本です。

やる気のスイッチ [ 山崎 拓巳 ]

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やる気の仕組み

やる気の仕組み」というテーマでは、やる気を生み出し維持するための3つの重要なポイントを解説します。

  1. 思い出は美化しておく
  2. 一歩先に鳴らすと遠くに行ける
  3. 体で覚えるとルーティンになる

1. 思い出は美化しておく

やる気は「欲求」から生まれます。私たちは何かを欲しい、達成したい、経験したいという内なる動機を持っているからこそ行動します。しかし、年齢を重ねるにつれて、欲求を邪魔するものが増えてきます。これらを心理的な「ブロック」と呼びます。例えば、過去の失敗経験や他人からの評価によって、「自分には無理だ」「どうせできない」という否定的な感情が生まれ、それがやる気を削いでしまうのです。

ここで重要なのが、「思い出は美化しておく」という考え方です。私たちが持っている過去の記憶は、実は非常に曖昧で、時と共に変わっていくものです。多くの場合、私たちは過去の自分を否定的に捉えがちですが、それはあくまで記憶の一部でしかなく、正確ではありません。たとえば、昔話をすると、相手との記憶が食い違うことがありますよね。それは、記憶が私たちの感情や状況によって変わってしまうからです。

そのため、過去の失敗や苦しい経験にとらわれるのではなく、記憶を美化してポジティブに再構成することが大切です。過去の経験から得た良い側面やワクワクした気持ちを強調し、記憶の中で美化することで、やる気を引き出しやすくなります。ネガティブな記憶をそのまま受け入れるのではなく、ポジティブな要素にフォーカスして、それを新しい行動のエネルギーに変えていくことが大切です。これは、自分に対する自己肯定感を高め、やる気を自然に引き出すための効果的な方法です。

2. 一歩先にならすと遠くに行ける

次に、「一歩先にならすと遠くに行ける」というポイントについて解説します。これは、やる気を持続させるために、段階的に変化に慣れていくことの重要性を説いたものです。

例えば、前日の夜には大きな期待や興奮を抱いていたのに、翌朝になると突然やる気がなくなってしまう、という経験はありませんか? これは「ホメオスタシス」という人間の心理的・生理的な防衛機能が関係しています。ホメオスタシスとは、体や心が常に安定した状態を保とうとする性質のことです。大きく感情が高ぶると、その後、自然と感情が落ち着く(逆に下がる)反動が起こります。これが、やる気が突然消えてしまう原因の一つです。

この特性を乗り越えるためには、急激な変化を避け、少しずつ変化に慣れさせることが重要です。新しい挑戦や目標に向かって一気に突き進むのではなく、少しずつ環境や心を慣らしていくことで、無理なくモチベーションを維持できます。例えば、登山では、急に高地に登ると「高山病」にかかる可能性があるため、ゆっくりと体を慣らしながら高度を上げていく必要があります。同様に、やる気も少しずつ盛り上げていくことで、継続的に高いパフォーマンスを発揮できるのです。

ポイントは、一歩先に進むための小さな行動を日々積み重ねること。これによって、最終的には大きな成果を達成できるという考え方です。小さな成功体験を積み重ねることで、やる気が自然に持続しますし、結果として遠くまで行けるということです。

3. 体で覚えるとルーティンになる

最後のポイント、「体で覚えるとルーティンになる」です。どんなスキルや仕事でも、最初は難しく感じるものですが、練習を重ねることで、自然とできるようになります。やる気を長続きさせるためには、行動を習慣化し、ルーティンにすることが非常に効果的です。

例えば、熟練した人が仕事をしている姿を見ていると、非常に簡単そうに見えます。しかし、実際にやってみるとそれが非常に難しいことに気づくでしょう。それは、その人が長年の経験を通じて、身体にその作業を覚えさせ、無意識にできるようになっているからです。車の運転を例にとっても、最初はシートベルトを締める、エンジンをかける、ギアを操作する、といった一つ一つの動作を意識的に行いますが、慣れてくるとこれらの作業は無意識に行えるようになります。

このように、何度も繰り返して体に覚えさせることで、やるべきことが自然にできるようになります。一度身についた技術や習慣は、意識しなくても行えるため、やる気を意識的に出さなくても、仕事がはかどるようになるのです。重要なのは、基本的な行動やスキルをひたすら繰り返し、習慣化することです。これにより、やる気の波に左右されることなく、安定した成果を出し続けることができます。

やる気の出し方

やる気の出し方」という章では、やる気を高め、持続させるための3つの重要なポイントを解説します。

  1. 最近嬉しかったことを思い出す
  2. できないのではなく、したくないと思っている
  3. 自分の幸福に許可を出せるのは自分だけ

1. 最近嬉しかったことを思い出す

まず、やる気は私たちの感情に大きく左右されます。良い出来事が起これば自然とやる気が上がり、逆に悪い出来事が起こると気分が沈んでしまい、やる気も下がってしまいます。このように、やる気は感情に依存することが多いのです。

やる気を長続きさせるためには、意図的に自分の気分をコントロールする方法を知ることが大切です。そのために有効なテクニックが「最近嬉しかったことを思い出す」という方法です。私たちはポジティブな感情に浸ることで、やる気が自然に湧いてきます。嬉しかったことを思い出すと、気分が良くなり、モチベーションも上がるのです。

具体的には、最近経験した3つの嬉しかった出来事を思い出してみましょう。例えば、友人と楽しく過ごした時間や、仕事でうまくいった瞬間、趣味でリラックスできた時などです。それらを思い出し、どのように嬉しかったのか、どんな感情を抱いたのかを再度考えてみてください。こうすることで、ネガティブな感情に支配されていた心が少しずつ解放され、ポジティブなエネルギーが戻ってきます。これは感情を自分で意図的にコントロールするための非常に簡単かつ効果的な方法です。

もし最近で思い当たらない場合は、少し前の出来事でも構いません。大切なのは、ポジティブな感情を再体験することです。やる気を維持したい時には、このように過去のポジティブな経験を活用することが大いに役立ちます。

2. できないのではなく、したくないと思っている

次に、「できないこと」と「したくないこと」の違いについて理解することが大切です。多くの人は、自分が何かに挑戦しようとしても「できない」と感じることがあるでしょう。例えば、「ダイエットを続けられない」「新しいスキルを身につけられない」といった悩みがよく挙げられます。しかし、実は「できない」のではなく、潜在意識の中で「したくない」と感じている可能性があるのです。

人間の心には、「顕在意識」と「潜在意識」という2つの層があります。顕在意識は普段自分が認識している意識のことで、「痩せたい」「成功したい」といった意図がここにあります。しかし、潜在意識は私たちが無意識に持っている感情や思い込みのことです。潜在意識には、常に自分にとって最も安全で快適な選択をしようとする傾向があり、それが「できない」と感じさせる原因となります。

例えば、「痩せたい」と思っていても、潜在意識では「好きなものを食べたい」という欲求が強く働いていると、ダイエットに失敗しやすくなります。これを「自分が本当にしたいと思っていないからだ」と理解することで、自分の心の本当の意図に気づくことができます。つまり、何かが「できない」と感じた時には、「本当はしたくないのでは?」と自分に問いかけることが必要です。

この考え方を取り入れることで、自分が無意識にしている選択を認識し、それに対処できるようになります。「できない」という言葉の裏には、「あえて選ばない」という自己選択が隠れているのだと考えましょう。そして、その選択に気づくことで、本当にやりたいことに向き合い、やる気を再び引き出すことができます。

3. 自分の幸福に許可を出せるのは自分だけ

最後に、「自分の幸福に許可を出せるのは自分だけ」という考え方です。やる気を妨げる最大の障壁の一つは、私たちが自分で作り出している「メンタルブロック」です。これは、自分に対して「自分には無理だ」「どうせうまくいかない」といった否定的な思い込みを持ってしまうことです。このようなメンタルブロックは、自分の可能性を閉ざし、やる気を削ぐ原因となります。

このメンタルブロックを打破するためには、まず自己評価を高めることが必要です。自分自身を過小評価し、「どうせ失敗する」と感じる時、その背後には「自分はできない人間だ」という強い思い込みがあることが多いです。しかし、これはただの思い込みに過ぎません。自分の限界を勝手に決めつけ、その枠を超えようとしないことが、やる気の低下に直結しているのです。

このメンタルブロックを克服するためには、まず自分の可能性を広げる許可を自分に与えることが重要です。たとえば、「もし失敗しなかったら何をしたいか?」と自分に問いかけてみてください。もし自分に限界がなかったら、本当にやってみたいことは何でしょうか? これを考えることで、無意識のうちに作ってしまっている壁を少しずつ取り払うことができます。

さらに、「自分に許可を与える」ということも重要です。何か新しい挑戦をする際に、「私にはできる」「私はこれをやってもいいんだ」と、自分自身に許可を与えることで、やる気が自然に高まります。自分の幸福や成功を他人の評価に左右されず、自分で自分を認めることで、心の中にある制限を取り払うことができるのです。

やる気のレベル

最後に、この章では2つのポイントを解説します。

  • やる気の出し方は、自分のいる階層によって違う
  • 小さな親に気づくと、自分に優しくなれる

まず、「やる気の出し方は、自分のいる階層によって違う」。やる気は、その人の意識レベルによって異なります。意識の階層は大きく4つに分けられます。自分がどの階層にいるのかを確認することが大切です。

次に、「小さな親に気づくと、自分に優しくなれる」。多くの人は、他人軸で生きています。自分の中に住む「インナーペアレンツ」は、失敗を恐れて厳しい言葉をかけてきます。しかし、自分に優しい言葉をかけてあげることで、安全で優しい世界が広がります。

やる気の出し方は、自分のいる階層によって違う

やる気の出し方は、自分のいる階層によって違う」というのは、やる気が単純に湧いたり消えたりするものではなく、私たちの意識レベルや心の状態に大きく左右されるということです。意識の階層は主に4つの段階に分けられ、それぞれの階層ごとに、やる気を引き出すためのアプローチが異なります。

まず、第1階層は「他人軸モード」です。このモードでは、私たちは自分の人生を他人や環境のせいにしがちで、やる気のスイッチも自分の手にあると感じにくい状態です。「どうせ自分には無理だ」とか「運が悪いんだ」というように、人生が運命や他人の意図によって左右されると信じてしまうため、やる気を出すのが非常に難しいです。この状態では、外的な刺激や誰かの支えが必要となることが多く、やる気を持続させるのが難しいのが特徴です。

第2階層は「自分軸モード」です。ここでは、意識が自分に向かい、現実を自分の力で変えることができるという感覚が強くなります。「努力すれば結果が出る」「自分の行動次第で未来が変わる」と感じ、やる気を持ちやすくなります。この階層では、目標を立て、行動計画を作り、それを実行に移すことでやる気を維持できますが、場合によっては、結果に強くこだわりすぎてしまい、失敗したときにやる気を失ってしまうこともあります。

第3階層は「認識軸モード」です。この段階に達すると、やる気は結果だけではなく、物事の見方や捉え方に左右されるようになります。「現実は自分がどう捉えるか次第で変わる」という視点が強くなるため、環境や他人に左右されず、自分自身の内面に焦点を当てて行動できます。やる気を持続させるためには、自分の考え方や認識を変えることが重要で、目標を達成する過程自体を楽しめるようになります。

第4階層は「悟りモード」です。この段階では、自己中心的な視点を超え、物事をより大きな視点で捉えることができるようになります。やる気は、個人的な欲望や目標を超えた、人間全体や宇宙的な視点に基づいたものになり、日常の些細なことでも深い満足感ややる気を感じるようになります。この階層にいる人は非常に少ないですが、ここに至ると、やる気は安定し、どのような状況でも意識的にやる気を維持できるようになります。

このように、自分がどの意識の階層にいるかを理解することで、適切なやる気の引き出し方を見つけやすくなります。例えば、他人軸モードにいるときは、自分一人でやる気を出すのは難しいかもしれませんが、他者のサポートや環境を整えることでやる気を引き出すことができます。一方、自分軸モードにいるなら、自分の力を信じて行動することでモチベーションが高まります。まずは自分の階層を把握し、それに応じたやる気の戦略を取りましょう。

小さな親に気づくと、自分に優しくなれる

次に、「小さな親に気づくと、自分に優しくなれる」というテーマです。これは私たちの内面に存在する「インナーペアレンツ(内なる親)」の存在を指します。インナーペアレンツとは、私たちが子供の頃に親や周囲の大人から受け取った影響が蓄積されたもので、自分自身に対して批判的な声を出す一種の心の中の自動反応のようなものです。特に、何か新しいことに挑戦しようとすると、「失敗するからやめておけ」とか「そんなことは無理だ」という厳しい言葉が自分に向けられることがあります。これは、私たちが心の中に抱えている「小さな親」が、自分の失敗や挑戦に対して厳しい目を向けているためです。

多くの人は、この他人軸的な生き方の中で、インナーペアレンツが自分を制約していることに気づかずにいます。失敗を恐れて挑戦できなかったり、過去の失敗に対して自分を責めたりすることが続くと、やる気が出なくなり、自分を過剰に批判するサイクルに陥ってしまいます。このサイクルを断ち切るためには、インナーペアレンツと和解することが重要です。

そのための第一歩は、自分に優しい言葉をかけてあげることです。例えば、「失敗するのは誰にでもあることだ」「本当はよく頑張っているんだよ」といった肯定的な言葉を、自分に向けて声に出して言ってみてください。これによって、心の中の厳しい親が少しずつ和らぎ、自分に対してより優しく、寛容な視点を持てるようになります。

自分を受け入れることができると、やる気を失う理由も少なくなり、安心して新しいことに挑戦できるようになります。また、自分に優しくすることで、自己評価が上がり、自信がつくと同時に、他人との比較や過去の失敗へのとらわれも減少します。そうすると、心の中に安全で優しい世界が広がり、やる気も自然に湧いてくるのです。

まとめ

では最後にまとめます。

  1. やる気の仕組み
  • 思い出は美化しておく
  • 一歩先に鳴らすと遠くに行ける
  • 体で覚えるとルーティンになる
  1. やる気の出し方
  • 最近嬉しかったことを思い出す
  • できないのではなく、したくないと思っている
  • 自分の幸福に許可を出せるのは自分だけ
  1. やる気のレベル
  • やる気の出し方は自分のいる階層によって違う
  • 小さな親に気づくと自分に優しくなれる

これらの内容を振り返りながら、自分にあった方法でやる気を引き出してみてください。やる気の持続や、やる気を引き出す方法は人それぞれ違いますが、ここで解説したポイントを参考に、日々の生活に取り入れてみましょう。

結論として、本書「やる気のスイッチ」は、やる気を理解し、意図的に管理するためのヒントが満載です。自分の心や感情に正しく向き合い、やる気を上手に引き出すための工夫が詰まった一冊なので、やる気が出なくて悩んでいる方には特におすすめです。

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