今回、私たちが紹介するのは「目標管理」の深遠な世界です。坪谷国夫さんの著書、「図解目標管理入門 – マネジメントの原理原則を使いこなしたい人のための「理論と実践」100のツボ」から、この分野の興味深い知見と具体的なアプローチを紐解いていきます。
具体的な内容はこちらです。
- MBO、OKR、KPI: これらのコンセプトの探求
- 「夢」の役割: その主観的な側面と、夢を追求する際の心得
- それぞれの「強み」: どのようにして個々の強みを特定し、活用するか
著者、坪谷国夫さんは、元IT企業のエンジニアで、人事の領域で20年以上の経験を積んでいます。現在は、株式会社コ中点の創業者として、効果的な人事戦略の実現に尽力しています。彼の長年の夢は、個人が夢を持ち、その夢を追求することで、組織全体が繁栄し、社会が向上するというポジティブなサイクルを創り出すことです。
坪谷さんの視点では、目標管理の正しい使用法が、この理想的なサイクルの創出を可能にします。本書は、目標管理の概念を正しく、かつ効果的に使用する方法を体系的かつわかりやすく説明しており、読者が組織の好循環を生み出すための手引書として機能します。
『MBO』『OKR 』『KPI』
目標管理を詳細に考察する際、重要となるコンセプト「MBO(Management by Objectives and Self-Control)」、「OKR(Objectives & Key Results)」、そして「KPI(Key Performance Indicators)」に焦点を当て、それぞれの理論や哲学を深く理解する必要があります。
まず、目標管理の基本とも言える「MBO」について見ていきましょう。MBOは、「Management by Objectives and Self-Control(目標による経営と自己管理)」の略語で、1954年に経営学の権威PFドラッカー博士によって提唱されました。ドラッカーは「マネジメントの父」や「マネジメントの発明者」として広く称賛されています。
多くの人々は、MBO(目標と自主管理による経営)をただの人事評価ツールだと誤認しているようですが、実際にはそれよりも遥かに深い意味があります。MBOは、チームが一致団結し、自発的に組織の目標達成に貢献できるようになるマネジメントの理論です。
これを具体的な例で説明しましょう。たとえば、ある企業が新しいプロジェクトを立ち上げる場合、MBOのアプローチを採用することで、チームメンバー全員がそのプロジェクトの目標を理解し、各自がどのように貢献できるかを認識できます。これは、単に上からの指示に従うのではなく、それぞれのメンバーが自主的に目標達成のために動ける環境を作り出すことを意味します。
さらに、MBOはOKR(目標と主要成果)とKPI(主要業績評価指標)という他の二つの重要なコンセプトと関連しています。
OKRは、特定の目標を達成するための具体的なステップを明示する方法です。具体例としては、新製品の市場投入を目指す企業が「3か月以内に新製品の試作品を完成させる」という目標を設定し、その達成のための主要な成果として「市場調査を行う」「プロトタイプを製作する」などのステップを明示します。
一方、KPIは、ビジネスの成功へと導くための重要な指標を特定するツールです。たとえば、あるレストランが「月間の顧客満足度を85%以上に保つ」という目標を設定する場合、顧客アンケートの結果やレビューのスコアなどをKPIとして利用することで、目標達成の進捗を明確に把握できます。
これらのアプローチは、ただの目標設定や人事評価ツールを超えた、組織全体の成功に寄与する強力なマネジメントツールとして機能するのです。
夢と個の主観
次に「夢と個の主観」というテーマを深く探求します。特に以下の三つの重要な観点を解説していきます:
- 夢の存在がなぜ重要なのか
- 夢を強制されるべきでない理由
- 自分自身を深く理解する方法
まず最初の観点、「なぜ夢が必要なのか」という問いに答えるために、夢と個人の主観の関係を考察します。夢は、個人が将来達成したいと思う願望や目標を表します。これは、個人が自身の人生を意味深く生きる上で非常に重要な要素です。主観とは、その人が個人的に感じる感情や視点を指し、これが目標設定に大いに影響します。この主観は、夢や目指すべき方向、そして個人の価値観と密接に関わっており、これが目標達成に向けたモチベーションや意欲を形成します。
次に、「夢は無理に持たなくてよい」という観点を解析します。日本ドリーム白書によれば、夢を持つ日本人は半数に満たないことが明らかにされています。しかし、夢は本質的に個人が自然に感じる喜びや興奮を引き起こすものであり、無理やり押し付けられるものではありません。もし現時点で夢を持つことが苦痛であるなら、無理に持つ必要はありません。
最後に、「自分では気づけない自分を知るには」という観点を展開します。人は自身の内面を理解する上で限界があり、他人の視点や意見を取り入れることで、新たな自己認識を得ることができます。具体的な方法としては、自身の夢を他人に語り、そのフィードバックから新たな気づきを得ることや、他人の夢を聴き、それを通じて自身の夢に対する視点を豊かにすることが挙げられます。これは、人間の脳が他人の経験を自身のものとして捉え、それが自己効力感を高める作用を持つためです。
強みと客観性
次に「強みと客観性」というテーマに基づいて、なぜ個人の強みが重要か、どのようにしてそれを特定できるか、さらにその強みをどのように活かせるか、という3つの主要な観点を詳しく解説します。
まず、第一の観点として、「なぜ強みが必要か」を説明します。ここでの「客観性」とは、外部から観察可能で一般的な基準で評価可能な属性や資質を指します。これには身長や体重、学歴、職歴、保有資格、家族構成、受賞歴などが含まれます。成功への旅において、これらの客観的な要素を深く理解し、それに基づいた目標設定が不可欠です。また、強みと弱みを明確に識別し、強みを利用して目標達成へと導く能力が必要とされます。
次に、第二の観点、「強みの特定方法」を検討します。個人の強みはしばしば日常の行動や習慣に埋もれており、人々はそれらが強みであると自覚していないことがよくあります。強みを明らかにするためには、具体的な方法論が要求されます。強みを客観的に把握するための主な方法は以下の3つです:
- 自己診断ツール: これらのツール(例:ストレングス・ファインダー、ffsSPI3など)は、強みの基本的な特質を特定し、発展のきっかけとして利用できます。
- 仲間からのフィードバック: 他人の視点から得られるフィードバックは、未認識の強みを浮かび上がらせるのに非常に効果的です。仲間と意見を交換し、各自の視点から客観性を向上させることが可能です。
- 目標達成と結果分析: 目標設定後の結果を上司と共に分析することで、どの方面で成功したか、どの点で改善が必要かを特定できます。
最後に、第三の観点として、「強みを活かす時間管理」を考察します。強みを最大限に活かすには、効果的な時間管理スキルが不可欠です。ピーター・ドラッカーは時間を「取り替えがきなく、必要不可欠な資源」と形容しています。したがって、時間管理を習得し、個人の強みを適切に活用して目標に向かうことが重要となります。
時間の管理
時間管理を効果的に行うためには、以下の3つのステップを詳細に行うことが推奨されます:時間の記録、時間の管理、そして時間の整理。ここでこれらのステップを一層詳細に説明します。
時間を記録する
まず最初のステップは、「時間を記録する」ということです。これは、現在の時間の使い方を把握するための基盤となります。具体的には、自身が一日の中でどのように時間を過ごしているかをリアルタイムで記録することです。このプロセスは少なくとも1ヶ月間続け、そのデータを用いて日々のスケジュールや日程を見直し、必要に応じて調整することが含まれます。記憶に頼らず、可能な限りリアルタイムでの記録を心掛けることが重要です。
時間を管理する
次に、「時間を管理する」というステップです。これは、記録されたデータを分析し、効率的な時間の利用方法を計画する段階です。この段階では、時間の浪費を最小限に抑えることを目指します。具体的には、以下の3つの側面に焦点を当てます:
- 成果を生み出さない仕事の識別と削減: すべてのタスクについて、それを行わなかった場合に何が起こるかを考えます。何も影響がない場合は、そのタスクを削除することを検討します。
- 他人に任せるべき仕事の委託: 組織内の仕事はチームワークによって支えられています。自分の強みに焦点を当て、適切なタスクを他のメンバーに委任することが重要です。
- 他人の時間を浪費する活動の削減: 他人の時間を浪費してしまうような活動がないかを定期的に確認し、必要に応じて修正します。
最後に、「時間を整理する」というステップです。この段階では、時間の流れを定期的にレビューし、さらに効率的な方法を探求します。もし整理しすぎてしまったと感じる場合でも、それが明らかになるとすぐに調整が可能です。このプロセスは、自身と他人が時間を無駄にしないよう努めるとともに、全体の生産性と効率を向上させる目的があります。
時間をまとめる
最後の段階として、ステップ3である「時間をまとめる」があります。時間の浪費を取り除くことで得た「自由な時間」が思いの外少なかったと感じるかもしれませんが、これが非常に価値ある時間に変わる可能性があります。この段階では、取り除いた「浪費時間」を効果的なブロックとして再編成し、それを有効に利用する方法を見つけることが重要です。
成功や目標達成には、一貫した時間のブロックが必要となります。小さな時間の断片は、しばしば効率的な作業の妨げとなり、案外役立たないものとなります。例えば、連続した3時間の時間ブロックは、細切れの3時間よりも、重要なタスクの進行にとって非常に価値があります。このような大きな時間ブロックを作成することで、深く集中し、生産性を高めることができます。
さらに、半年後には、ステップ1に戻って時間の記録を再開することを忘れないよう努めましょう。日常の雑務や予期せぬタスクに時間が取られ、再び時間が浪費されてしまうことは珍しくありません。この循環的なプロセスを続けることで、常に時間管理を最適化し、目標に向かって効果的に前進することが可能となります。
まとめ
今回のブログの内容をまとめると
- MBO、OKR、KPI: これらは組織や個人が目標を設定し、進捗を追跡し、成果を評価する際に非常に効果的なツールとなります。これらのフレームワークを使用して目標管理をマスターすることは、あなたのキャリアと個人的な進歩にとって有益です。
- 夢と主観: このセクションでは、「夢」の重要性と、それがなぜ必要なのかを検討しました。夢は個人にとって非常に主観的なものであり、それがあなたにとって真に意味するものを理解することは、自身を知り、成長する一助となります。
- 強みと客観: ここでは、個人の「強み」に焦点を当て、それがなぜ重要なのか、そしてそれをどのように識別し、活用するかを詳しく説明しました。さらに、時間管理のスキルを磨くことで、これらの強みを最大限に活用する方法も探りました。
今回紹介した『図解 目標管理入門 – マネジメントの原理原則を使いこなしたい人のための理論と実践100のツボ』には、このブログで触れきれなかった数多くの知見と実用的なツールがまだまだあります。この本は、目標達成と自己成長の道を探求しているすべての人々に強く推奨できるものです。
この知識豊かな冒険が皆さんの人生やキャリアにプラスの影響を与えることを願っています。ぜひ、この本を読んで、さらなる知識とインスピレーションを得てください。今後ともよろしくお願い申し上げます!
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