こんにちは、本日は小宮一慶さん著の「どんな時代もサバイバルする人のビジネス力養成大全」について解説いたします。この本は、どのビジネススキルを獲得すべきかわからない方や、仕事のスキルアップを目指している方に特におすすめです。
著者の小宮一義さんは、経営コンサルタントとして活動した後に独立し、本書が男女合わせて157冊目の出版となります。彼は月に11本の連載を持ち、テレビにもレギュラー出演しています。彼自身が目指した自己像にかなり近づいたという彼の経験から、若い頃から実力を伸ばすために意識してきたことや継続してきたことなどがこの本にまとめられています。
本書の内容は一つ一つが難解なものではなく、それらを積み重ねることで他人からの評価を得る結果を出すことができます。それゆえ、本書は非常におすすめです。
解説を進めていきますと、本書は主に以下の2つの視点からビジネス力を養成する方法を提案しています。1つ目は「インプットをコントロールする」、そして2つ目は「アウトプットを最適化する」です。これらのテーマについて、順を追って詳しく解説してまいります。
数字力を上げる
まず1つ目のポイントとして、「数字力を上げる」ことが挙げられています。著者である小宮一義さんは、若い頃から目指す自己像に向けて、日々少しずつ努力を積み重ねてきました。彼が強調しているのは、ビジネスパーソンが成果を出すために必要な基盤となる力、つまり思考力と実行力です。
思考力が求められるのは、便利な生活を創造するためや大きな決断を下す際などです。また、ビジネスや人生で何かを実現するためには、思考だけでなくそれを行動に移す実行力が必要となります。これは、経営者であろうと新入社員であろうと、すべての人に共通する事実です。
このような思考力と実行力を育む上で重要なのが、情報の「インプット」を適切にコントロールし、それを最適な形で「アウトプット」することです。
具体的には、本書では以下の11のスキルが紹介されています。
インプットをコントロールするための力:
- 数字力
- 発見力
- 勉強力
- 時間力
アウトプットを最適化するための力:
- 解決力
- 発想力
- 実行力
- 人物力
- リーダー力
- これらのアウトプットを継続させるための力:習慣力
これらのスキルはそれぞれが重要で、各スキルを高めることで、ビジネスパーソンとしての思考力と実行力をより一層向上させることができます。
今回はその11のスキルの中から 数字力発見力 解決力発想力という4つのスキルを ピックアップして解説していきたいと思い ます
数字力
ビジネスパーソンとして、最も重要とされる能力の一つが「数字力」です。数字力とは、事象を論理的に予測し理解するためのスキルであり、自身の夢や目標を達成するためにも必要不可欠な力と言えます。
数字力を向上させるには、「数字を理解する」「数字間の関連性をつなげる」「目標達成に落とし込む」という3つのステップを踏む必要があります。
まず、「数字を理解する」には、数字に対する関心が必要です。たとえば、日本の労働人口、今年の国家予算、現在の出生率、自社の売上、毎日の歩数、現在の体重等、これらの問いに答えられるかを考えてみてください。答えられるものがあるなら、それはその事象に対する関心を持っている証拠です。新聞やニュース、日々の会議や書類から、関心があるものの数字は自然と目に入ってきます。逆に、関心のないものは目に入らず、その数字が誤っていたとしても気づきません。つまり、数字を理解するための前提は関心を持つことです。
また、「数字を理解する」ためには、数字が表す概念の定義を知ることも重要です。例えば、「2021年度の日本のGDPはいくらか」という問いに対して、GDPという言葉自体を知らない人は答えられません。GDPは国内総生産のことで、一定期間内に国内で生み出された売上総額から仕入れ総額を引いたものです。GDPは我々の給料とも関連しているため、その定義を理解することは非常に重要です。
また、基本的なデータや数値を把握しておくことも大切です。例えば、日本の人口(約1億2500万人)、労働力人口(約6900万人)、国家予算(約107兆円)、出生率(1.3)、世帯数(5950万世帯)などのような基本的な数字は抑えておくべきです。他にも各国のGDP、世界の人口、輸出入総額などを知っておくとより理解が深まります。
数字と数字を関連付ける
「数字と数字を関連付ける」という数字力向上のステップについて説明します。これは、ある数字が変化した時に、どの数字がどのように変動するかを理解する能力を指します。
例えば、GDPとお給料の関係性を理解することで、特定の企業の売上を推測することが可能となります。言い換えれば、GDPが増加すれば、一般的には企業の売上も上昇し、それに伴って従業員のお給料も増える可能性があります。逆に、GDPが減少すれば、企業の売上や従業員のお給料も減少する可能性があります。
このように数字と数字の関連性を理解し、市場の動向や売上の予測ができるようになることは、ビジネスパーソンとして重要なスキルとなります。そのため、さまざまな数字の背後にある経済的な動きや社会的な傾向を読み解く力を養うことが求められます。
目標達成に落とし込む
次に、数字力を上げるための第3のステップ、「目標達成に落とし込む」について詳しく説明します。先ほど述べたように、数字を理解するためには関心が必要です。しかし、一体なぜ全ての社員が社長と同じように自社の数字に関心を持たないのでしょうか?その理由は、関心が責任から生まれるからです。
具体的には、目標を数値で設定し、その達成に向けて行動する人は、目標達成に対する責任感が強いです。この責任感があるからこそ、具体的な数字に対する関心を持つことができます。つまり、目標達成に向けて数字を持ち、それを追求する行動をとることが重要です。
「もう少し」といった抽象的な表現ではなく、「あと〇〇円」といった具体的な数値を設定することが大切です。そして、このように具体的な数値を持って目標に向かうことを繰り返すことで、数値化して考える習慣が身につくでしょう。
発見力を養う
次の重要なポイントは「発見力を養う」です。私たちは日々多くの情報に接していますが、その中から何を引き出し、どのように活用するかで、結果は大きく変わります。この際、重要となる能力が「発見力」です。発見力とは、物事を見る力、もしくは、情報から新たな知見を引き出す力と言えます。
人間は基本的に関心のあるものや自分に必要なものだけに注目する傾向があります。したがって、私たちは普段、あらかじめ興味を持っているものや必要だと思うものだけを見ています。このため、新たな視点や知識を発見するためには、自分がまだ見えていないものや理解していないことが存在するという意識が必要です。
物事を新たな視点から見るためには、「関心」「疑問」「仮説」「検証」の4つのステップを踏むことが重要です。まずは、「関心」の範囲を広げることから始めます。具体的には、新聞、インターネット、テレビなど、さまざまなメディアから情報を得て、幅広いトピックに対する関心を持つことです。
次に、疑問を持つことが重要です。「あれはどうしてだろう?」や「ひょっとしたら、こういう理由かも?」といった問いを持つことで、新たな視点を開くことが可能になります。ここでは、「なぜ」や「どうして」など、理由を探求することが大切です。
その次のステップは「仮説」を立てることです。仮説とは、ある現象についての推測や予測のことです。例えば、「なぜ少子高齢化社会でも学習塾が儲かっているのか?」という疑問に対して、仮説を立ててみます。その結果、「学習塾の市場は縮小していますが、そのために新規参入が少なく、一人当たりの単価が上がっているから儲かる」というような仮説が生まれます。
最後に、その仮説を「検証」します。具体的には、様々なデータや情報を集め、仮説が本当に当てはまるかどうかを確認します。
仮説の検証
仮説の検証は、具体的には市場の統計データを調べたり、特定の会社の業績をチェックしたりといった方法で行います。例えば、前述の学習塾に関する仮説を検証するには、塾の市場規模や新規参入の状況、一人当たりの単価などの情報を調べて、それらが仮説と一致するかどうかを確認します。
もしその仮説が成り立たなかったとしても、その過程で新たな視点から物事を見る機会を得ることができます。つまり、仮説を立てて検証すること自体が、新たな視点を開く手段となるのです。
これらのステップを経ることで、さまざまな視点から物事を見る能力、すなわち「発見力」を養うことができます。物事を多角的に捉え、それぞれの状況に応じた最適な行動や決断をするためには、この発見力が不可欠です。常に新たな視点を持つことで、自分自身の視野を広げ、ビジネスの世界で成功するための基盤を築くことができるでしょう。
慣れないうちは仮説を立てるのが 難しく感じる方も多いと思います。そんな時 は、次の方法で仮説を立てることを掴んでください方法としては主に3つです。
仮説を立てるコツ
まず第一のポイントは、「分解し、焦点を絞る」ことです。一般的に、注目すべき対象を限定することで、物事をより明確に見ることができます。例として、アパレルメーカーの従業員が街中で人々の服装を観察するケースを考えてみましょう。ただ人々の服装を見るだけでは、その情報は広範で抽象的すぎて具体的な仮説を立てるのが難しいです。ここで効果的なのは、観察対象を絞り込むことです。例えば、若い女性がどのような色の服を着ているか、という具体的なポイントを設定すると、観察がより容易になります。こうした焦点を絞ることで、視覚的な情報がより明確になり、初心者であっても観察結果をうまく解釈することが可能になります。
次に、仮説を立てる際の第二のコツは、「全体像を推測できる一点を見つける」ことです。例えば、経営コンサルタントが工場を観察する場合を考えてみましょう。専門的な製造プロセスを理解するのは難しいかもしれませんが、工場の床の状態を観察することで、その工場の全体的な運営状況を推測することができます。理由は、工場の床がきれいであるということは、その他のプロセスも整然と管理されていることを示す可能性が高いからです。このように、特定の一点を観察することで、その全体像を描く仮説を立てることが可能です。
最後に、仮説を立てる際の第三のコツは、「消えてしまったもの、なくなったものに注目する」ことです。例えば、テレビCMの存在や欠如から、企業の繁栄や衰退を推測することができます。近年、YouTubeの人気上昇とともに、テレビの影響力が衰退し、CMを放映する会社の種類や規模が大きく変化しています。このように、消えてしまったものに注目することで、物事を新たな角度から見ることが可能になります。
ただし、先入観によって物事を偏見的に見てしまう可能性もあることに注意する必要があります。あらかじめ持っている前提が必ずしも正しいとは限りません。そのため、自分の先入観を常に疑い、自己検証する習慣を持つことが重要です。
アウトプットを最適化する
この章では、「アウトプットを最適化する」というテーマについて深掘りします。その中で、特に注目するべきは「解決力を上げる」と「発想力を鍛える」の2つの重要なポイントです。
まず、「解決力を上げる」について詳しく解説します。ビジネスパーソンにとって、さまざまな問題、例えば売上の伸び悩みや利益の不足などを解決できる能力、すなわち解決力は必要不可欠なスキルです。このスキルを磨くための手順は以下の4つのステップに分けられます。
- 問題の特定と優先順位付け
- 根本的な原因の特定
- 解決策の策定
- 解決策の実行
ステップ1では、問題を正確に特定し、優先順位を付けます。ここで重要なのは、発生した問題や状況について正確な事実を把握することです。
次にステップ2では、問題の根本的な原因を探り出します。一時的な解決ではなく、真の問題解決を目指すためには、問題の本質的な原因を理解することが不可欠です。
ステップ3では、解決策を策定します。策定とは、解決のための戦略や方針を立てることを指します。問題解決のためのツールの一つとして、プロコンリストがあります。これは、考えられる解決策それぞれの良い点と悪い点を一覧表にするものです。具体的に書き出すことで、物事をより明確に理解することが可能になります。
最後にステップ4では、策定した解決策を具体的に実行します。理論だけではなく、具体的な行動に移すことで初めて問題解決が達成されます。実行するためには、プロジェクト計画書を作成します。この計画書には、達成したいゴール、現状の数値、具体的な施策、それぞれの施策の目標値、施策の実施に必要な責任者や予算などが明記されます。
そして、計画書(仮説)が完成したら、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act: 計画-実行-検証-改善)を用いてそれを検証します。
PDCAサイクルは問題解決の一連の流れを系統的に行うためのフレームワークで、これを繰り返し行うことで問題解決を進めていきます。
発想力を鍛える
次に、発想力を鍛えるという2つ目の重要なポイントについて深く探っていきましょう。発想力とは、インプットを基にどういうアウトプットを生み出すかを決定する能力です。ビジネスの世界で評価される結果や実績を生むためには、この発想力が必要不可欠となります。発想力を豊かにするためには、関心の幅を広げ、知識や経験を増やすことが求められます。また、情報の精度や新鮮さも重要な要素となります。では、具体的にどうすれば発想力を鍛えることができるのでしょうか。
発想力を阻害する11の要因
まず、発想力を阻害する11の要因を理解し、それらを取り除くことから始めてみましょう。以下にその要因を挙げてみます。
- 活動の場が日常生活に限定されている
- 過去の成功体験に頼りすぎる
- 思考力が欠けている
- 関心の幅が狭い
- ユーモアのセンスがない
- できない理由やらない理由を探し続ける
- 指示されたことしか行わない
- アウトプットの習慣がない
- 仕事に長い時間をかけすぎる
- 記憶力に頼る
- 現状に満足してしまう
これらの阻害要因を取り除くことで、本来の発想力を発揮することが可能になります。
発想力を鍛える習慣
発想力は日々の習慣によって高めることができます。具体的には以下のような行動を習慣化することが有効です。
- 普段行かない場所にも積極的に足を運ぶ
- 事前学習や観察を通じてインプットを増やす
- 好き嫌いで判断せず、多くの人に会う
- 新聞、本、テレビ、インターネットなどから情報を得る
- 経験に投資を惜しまない
- 既知の道と未知の道がある場合、未知の道を選ぶ
- フットワークを軽くし、新たなことに積極的に挑戦する
- リラックスできる環境を作り、ストレスを軽減する
- 急に思いついたアイデアをすぐにメモする
- 体調を管理し、心身のバランスを整える
- 素直で謙虚な心を持つ
これらは発想力を高める11の習慣です。皆さんがこれらの行動をどの程度日常生活に取り入れているかを自己評価してみてください。
もし、自分は発想力が全くないと感じている方は、上記で紹介した発想力を阻害する要因をできるだけ排除し、発想力を高める習慣を積極的に取り入れてみてください。全てを一度に実行する必要はありません。無理なく、自分に合うものから少しずつ挑戦してみてください。
まとめ
今回の記事では、「インプットをコントロールする」にあたって「数字力を上げる」ことと「発見力を養う」こと、そして「アウトプットを最適化する」にあたって「解決力を上げる」ことと「発想力を鍛える」ことの4つの重要なポイントについて、詳しく解説しました。
これらのポイントは、ビジネスにおける成功のための重要な要素であり、どんな時代でもサバイバルできる力を身につけるために必要です。
今回紹介した本「ビジネス力養成大全」は、これらのテーマをさらに詳しく、具体的に解説しています。私たちが今回紹介できた部分はごく一部に過ぎません。本書には、まだまだたくさんの有益な情報と知識が詰まっています。
私の強くお勧めする一冊ですので、ぜひ読んでみてください。この本を読むことで、あなたのビジネス力はさらに向上するでしょう。ではまた!
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