本要約;読書「根性論や意力に頼らない行動科学が教える目標達成のルール」

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今回はオーエン・サービスさん、ローリー・ギャラガーさんが書かれた「根性論や意力に頼らない行動科学が教える目標達成のルール」という本を解説します。今回の目次は以下の通りです。

  1. 目標設定
  2. プランニング
  3. コミットメント

という順番で解説していきます。

目標を立てると、多くの人は集中力と注意力を使って達成しようとします。しかし、ダニエル・カーネマンによれば、私たちの注意力は有限です。それを超えるとパフォーマンスが低下します。例えば、複雑な計算をしながら文章を読むのは非常に難しいです。ダイエット中に何日もカロリー制限を続けるのが大変なのも、長期的な認知的努力が必要だからです。このことから、私たちは完璧な存在ではなく、日常的に直面する課題には限られたリソースで対応しているという現実を受け入れる必要があります。

本書は、最新の行動科学の知見をもとに、目標達成のための具体的な方法をわかりやすく紹介しています。行動科学に基づいた目標達成の方法を知ることができるので、おすすめの本です。

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目標設定

というわけで、1. 目標設定について。この章では以下の3つのポイント、「適切な目標を選択する」「目標は1つに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する」「目標を自分で管理できるステップに分解する」を解説します。

適切な目標を選択する

まず1つ目のポイント、「適切な目標を選択する」。ウェルビーイングという言葉をご存知でしょうか? ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態を意味する概念です。私たちがウェルビーイングを確実に高めるためには、次の5つの要素を含めると良いとされています。

  1. 人との関わりを強化する
  2. 健康で活動的になる
  3. 何か新しいことを学ぶ
  4. 好奇心を持つ
  5. 他者に与える行為をする

目標を設定する前に、何が自分や周りの人たちの幸福度を上げるかをじっくり考えることが重要です。目標達成に向けた第一歩は、自分の価値観や望む生活に合った目標をリストアップすることです。

目標は1つに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する

続いて、2つ目のポイント「目標は1つに絞り、明確な到達点と達成期限を設定する」。達成したいことは全て同時に追い求めるのではなく、あえて1つに絞りましょう。なぜなら、私たちの注意力やリソースには限りがあるからです。

例えば、仕事でキャリアアップを目指しながら、プライベートでは趣味を増やしたいとします。どちらも魅力的な目標ですが、これらを同時に最大限追求すると、どちらかが疎かになり、結果的にどちらの目標も中途半端に終わる可能性があります。ですので、短期間のうちにまず1つの目標に集中し、その達成感を味わうことが長期的な成功の鍵です。

この方法を実践することで、目標を着実にクリアし、最終的には複数の目標を達成できるようになります。さらに、目標設定のプロセスにおいては、目標をどのように設定するかが重要です。具体的な達成点を設定することで、進捗を図ることが可能になります。

また、目標達成には期限を設けることも効果的です。期限があることで、人はより集中し、努力を続けることができます。目標設定を行う際には、達成すべき期限を明確にすることが不可欠です。

目標を自分で管理できるステップに分解する

続いて、3つ目のポイント「目標を自分で管理できるステップに分解する」。目標を個別のステップに分解する方法には2つのアプローチがあります。

まず1つ目は、最終的な目標を達成するために必要なタスクを明確にする方法です。例えば、就職者が「仕事を探す」という漠然とした目標を、「履歴書の改善」「面接準備」「応募数の増加」といった具体的なステップに分解することで、目標を達成するための道筋を整えられます。

そして、2つ目のアプローチは、目標全体を短い時間や繰り返しの作業ごとに分解する方法です。心理学者アルバート・バンデューラの研究では、算数が苦手な子供たちにタスクを細かく分けて取り組ませた結果、問題解決の速度と正確性が向上し、興味も増したことが示されています。この方法は、特に禁煙や貯蓄など、日々の行動に繰り返しの要素がある場合に効果的です。

目標を細分化することで、日常の努力が最終的な目標へとつながっていることが理解できます。

プランニング

続いて、「プランニング」。この章では、以下の3つのポイント、「シンプルなプランにする」「実行可能なプランを立てる」「プランを習慣化する」について解説していきます。

シンプルなプランにする

まず1つ目のポイント、「シンプルなプランにする」。数年前、著者であるオウェン氏はアルコール摂取を減らすことを決意しました。毎日夕食時にワインを飲むことが習慣になっていたため、このままでは健康リスクが高まると感じたんです。そこで彼は「平日は家でお酒を飲まない」というシンプルなルールを設けました。このルールは明確で、実行するのも簡単でした。

オウェン氏は最初、1ヶ月このルールを続けることを目標にしましたが、その後もこの習慣は定着し、彼は約80本分のワインを飲むのを減らすことに成功しました。このように、明確な基準を設けることが行動を変える鍵となります。

もちろん、他の成果目標でも同じ考え方を適用することができます。例えば、ダイエットにおいても、1週間の摂取カロリーを計算するよりも、シンプルなルールを作ることで成功率が高まります。重要なのは、目標達成を妨げる要因を特定し、それを取り除くことです。シンプルなプランを立てることで、行動を意識的に管理しやすくなり、長期的な成功につながります。

実行可能なプランを立てる

続いて2つ目のポイント、「実行可能なプランを立てる」。インフルエンザは多くの人にとって身近な病気ですが、その症状やリスクを軽視しがちです。毎年アメリカでは20万人以上が入院し、8,000人以上が亡くなっています。予防接種が有効であるにもかかわらず、接種を受けるべき人たちの中には予約を忘れたり、接種を受けなかったりする人が多いです。この問題を解決するために効果的なのが、実行可能なプランを立てることです。

ペンシルベニア大学のケイティ・ミルクマン教授の研究によれば、具体的な日時を記入させることでインフルエンザ予防接種率が13%向上しました。行動を実行する意図を明確にすることで、実行率が高まるのです。さらに、ゴルビツ教授の「If-Then プランニング」も有効です。「もし〇〇だったら△△する」といった形で行動を決めることで、目標達成の助けになります。

例えば、「帰宅時間が午後8時を過ぎていたら、仕事のパソコンは開かない」といった具体的なプランを立てることが重要です。日常生活のルーティンを意識し、何をするかだけでなく、「いつ、どこで、どうやって」行動するかを考えることで、目標達成が容易になります。シンプルなプランを立てることで行動が習慣化し、健康や生活の質を向上させることが期待できます。

プランを習慣化する

続いて3つ目のポイント、「プランを習慣化する」。習慣化には、特定の合図やトリガーが必要で、その行動を実行するための繰り返し、つまりルーティンが不可欠です。例えば、健康的な習慣を形成するためには、特定の時間や場所で行動を繰り返すことが効果的です。これにより行動が無意識にできるようになります。

具体的なテクニックとしては以下の3つが挙げられます。

  1. 実行意図の設定:行動を起こすための合図を決め、その合図に基づいて行動を繰り返すこと。
  2. 環境の変更:悪い習慣を引き起こす合図を排除するために、日常環境を変えること。
  3. ルーティンの変更:古い習慣を新しい習慣に置き換えること。

最終的に、習慣は無意識の行動となり、認知的努力をほとんど必要としません。つまり、一度味方につけることができれば、最強の味方となります。

コミットメント

では続いて、3. コミットメント。この章では以下の3つのポイント、「コミットメントを決める」「コミットメントを書き出し、公にする」「コミットメントレフリーを任命する」を解説します。

コミットメントを決める

まず1つ目のポイント、「コミットメントを決める」。想像してみてください。水曜日の夜、仕事を終えて帰宅したものの、冷蔵庫に食材が少なく、テイクアウトして映画を見ることにしました。皆さんは娯楽映画と教養映画のどちらを選びますか? コミットメントとは、約束や責任といった意味です。

行動科学者たちの研究によれば、未来の自分にコミットすることで、より意義ある選択ができると言います。被験者を2つのグループに分け、一方はその日に見る映画を選ばせ、もう一方は未来に見たい映画を選ばせた結果、後者の方が教養映画を選ぶ傾向が強く出ました。この現象は「現在バイアス」と呼ばれ、私たちは短期的な楽しみを優先しがちだということです。

これを理解することで、将来の自分に正しい選択をさせることができます。例えば、ジムに通うことや語学を学ぶことを選び、ペナルティや報酬を設定することで、挫折を防ぐ方法です。日常生活でも、子供に片付けを約束させたり、トレーニングをパートナーと行ったりすることで、自己管理が可能になります。未来の自分にコミットし、目標を達成するための第一歩を踏み出しましょう。

コミットメントを書き出し、公にする

続いて2つ目のポイント、「コミットメントを書き出し、公にする」。コミットメントを決めたら、まず第一歩として書き出すことが必要です。私たちは就職や結婚、住宅購入時に契約書に署名し、それによって未来の行動を約束しています。同様に、コミットメントを紙に書き出すことで達成の可能性が高まります。

また、心理学の実験では、コミットメントを公にすることで行動が変わることが示されています。例えば、被験者が他者から荷物の管理を頼まれた場合、泥棒が現れた時に介入する可能性が大幅に高まりました。これは、コミットメントを公にすることで、他者に対する一貫性を保とうとする心理が働くからです。

日常生活においても、結婚式での誓いのようにコミットメントを公にすることが重要です。公にすることでモチベーションが高まり、目標達成に向けての行動が促進されます。会社の目標をチームに宣言したり、具体的なステップをホワイトボードに書くことで、コミットメントを実行に移す手助けとなります。

コミットメントレフリーを任命する

最後に3つ目のポイント、「コミットメントレフリーを任命する」。行動科学者のディーン・カーランとイアン・エアーズは、目標達成にはコミットメントレフリーを任命することが効果的であると指摘しています。レフリーを任命すると、目標達成率が70%も向上するとされています。

成功するレフリーは、信頼できて、公正で、ペナルティや報酬を適切に設定できる人である必要があります。特に、恋人よりも信頼できる同僚を選ぶことが推奨されています。自分の目標を明確にし、他者との関係においてもプレッシャーを感じることで、目標達成を促進します。新しいテクノロジーが進化する中で、コミットメントレフリーの役割はますます重要になっていくでしょう。

終わりに

というわけで、今回のブログでは、「1. 目標設定」「2. プランニング」「3. コミットメント」という順番で解説しました。今回紹介した本「根性論や意力に頼らない行動科学が教える目標達成のルール」には、まだまだ紹介できていない部分が多いです。おすすめの本ですので、ぜひ読んでみてください。

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