スタンフォード大の神経科学者が教える

心理学

スタンフォード大の神経科学者が教える「10倍速」を生み出す脳ハック!実は、何もしない時間こそがあなたの能力を最大限引き出す条件でした?

今日集中して作業に取りかかれましたか? 今日終わるはずだったタスクは完了しましたか? おそらくほとんどの人は今日やるべきことができなかったと思います。一生懸命やっているはずなのに仕事が終わらない、本当は今中にやるべきものがあるのにやる気が湧かない、すぐに集中力が切れる。今、ほとんどの現代人は集中力が限りなく下がっている状態です。本当はもっと能力が高いのに脳が集中モードに入っていないせいで思ったように作業が終わらない。こうなっている人は実はかなり多いです。

人間の能力は実はそれほど差はありません。どんなに天才と言われている人でも、普通の人より何十倍も頭がいいなんてことはありません。せいぜい2〜3倍程度です。あなたの周りにいる優秀と言われている人も、私たちとほとんど能力に差はないんです。ですが、出している実績の差、周りからの評価の差、収入の差。能力はほとんど違わないのに、結果にすると何十倍もの差が出ている。どうしてでしょうか?

能力はほぼ変わらないのに、結果を出す人と出さない人。この違いはシンプルです。作業中に集中できているかどうか、これだけです。結果を出している人は必要な時に脳の能力を最大限引き出している、これがうまいんです。

私たちは失敗した時、周りから「能力が低いから失敗したんだ」とか「失敗はお前の努力不足だろう」と言われ続けてきましたが、それは間違っています。あなたの能力は低いのではなく、脳そのものが本来のパフォーマンスを出せていないだけです。今、なかなか結果が出なくて心が折れそうな方、安心してください。それはあなたの能力不足ではなく、実は脳が集中モードに入り切れていないだけかもしれません。

もし今より10倍も早くインプットできるとしたらどうでしょうか? もし午前中にやるべき仕事が全て終わるとしたら? 「いやいや、そんなことできるわけないだろう」と思うかもしれません。その気持ち、わかります。ですが、作業中にあることを意識すれば、あなたの脳は一瞬で集中モードに切り替えることができ、あなたの本来の脳のパフォーマンスを取り戻すことができます。

今回はスタンフォード大学の神経科学者アンドリュー・ヒバーマン博士が教えるテクニックです。アンドリュー・ヒバーマン博士は日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは超人気の科学者です。彼のYouTubeチャンネルは500万人を超えるほどの人気です。

ヒバーマン博士によると、この集中に関するテクニックは脳に直接作用するものだと言っています。今回のこのテクニックを使い始めると、集中力の持続力が格段に変わり、自分の本来の集中力はこんな感じだったんだと思うほどだといわれています。さらに、記憶力も向上しまし、おそらく本を読んだとしてもほとんど全部忘れていたと思いますが、このテクニックを使ってみると、「そういえばあの本にこんなこと書いてたな」とか、必要な時に必要な知識を思い出しやすくなるということです。

さてどんなテクニックなのでしょう?一緒に見ていきましょう!!

本題に入る前に、皆さんに決めて欲しいことがあります。それは時間割りです。このテクニックはポモドーロテクニックとかなり相性がいいです。

ポモドーロテクニックとは、作業と短い休憩を交互に繰り返すことで高い生産性を生み出すというテクニックです。例えば、学校の時間割りにはポモドーロテクニックが活用されています。50分作業して10分休憩、これを2〜3回繰り返したら長めの休憩を取る、こんな感じです。ポモドーロテクニックには、25分間作業して5分間休憩のものから、90分作業して30分休憩といった長いものまでありますが、ヒバーマン博士によると、1回あたりの作業は90分以内が推奨されています。理由は、人間の集中力の限界は大体1回の作業で90分と言われているからです。

時間割を作ったら、いよいよ本題です。具体的にやることは3つのフェーズに分かれます。

  1. 作業前にやること
  2. 作業中にやること
  3. 休憩時間にやること

それぞれのフェーズでやることは超簡単です。

作業前にやること

深呼吸

まず1つ目のフェーズ、作業前にやること。これは2つあって、1つ目は深呼吸です。「いや、今ちょっと笑いましたよね。いやいや、深呼吸で変わるんだったら苦労しないよ」と思いましたよね。こう思った方は、呼吸の重要性を過小評価しています。人間の心拍数と感情、集中力は連動しています。怒っている時、緊張している時は心臓が爆発しそうですが、リラックスしている時、深い集中に入っている時は心拍数は下がっています。呼吸というのは最も簡単にそこに介入できるテクニックです。

科学的にも呼吸の重要性はすでに証明されており、アメリカ海軍のネイビーシールズでも「ブレスワーク」として呼吸法の訓練も行われています。息を吸うと興奮状態の交感神経が優位になり、息を吐くとリラックス状態の副交感神経が優位になります。では具体的に何をやればいいのか、ヒバーマン博士は深呼吸を25回から30回やると脳が集中するための準備が整うと言います。あとは「ボックスブレス」がおすすめです。こちらはネイビーシールズで採用されている呼吸法で、4秒吸って、4秒止める、4秒で吐いて、4秒止める、これを繰り返すという方法。これを10回繰り返すというやり方もあります。好きな方を選んでやってみてください。

一点を見つめる

作業前にやることの2つ目は「1点を見つめること」。作業に入る前に部屋の1点を30秒から60秒見つめてください。実は視覚の集中と脳の集中は連動しています。皆さんもめちゃくちゃ集中した時って、周りの風景が見えなくなって目の前のことだけしか見えなくなりますよね? 実際に1点を集中すると、脳内では集中力に関わるアセチルコリンという物質が流れて脳が集中モードに入ります。これはかなり速効性が高いので、試しに今動画を閉じてやっても効果をすぐ感じられると思います。

ポイントは何も考えずに1点を見つめること。雑念が入るとうまく集中に入れないので注意が必要です。さっきの深呼吸と組み合わせてもいいです。私はいつも深呼吸と1点を見つめる、これを作業前に組み合わせてやっています。

作業中にやること

次にフェーズ2、作業中にやること。このフェーズ2でやることに、あなたの学習速度を10倍にする秘密があります。それは「作業中にあえて10秒程度の短い時間、何もしない時間を作る」ことです。「え、何もしない時間を入れたら効率が下がるんじゃないの?」と思った方、多いと思います。わかります、私もそう思いました。ですが、ここにあなたの脳の能力が最大限引き出される重要な部分があります。

作業を止めると脳も一緒に機能が止まると思いますが、実は違います。実は作業中に手を止めても脳は働き続けています。この時、脳内ではあなたが今やっていた学習をリプレイします。しかも、この時行われる脳の学習は、今やっていたのと同じではありません。なんと10倍の速さで脳は行った作業をリフレインするのです。

ポイントは何もしないということ。窓から外を眺めるでもいいし、一回深呼吸するのでもいいです。スマホに触るのは最悪なので、それはやらないでください。ヒバーマン博士はこの作業中の短い休憩を1時間のうちにランダムな感覚で30回行うといいと言っていましたが、これに関してはいちいち数えていると逆に注意散漫になると思うので、私がやっていることとしては、集中して作業している時にふっと集中が切れる瞬間が来たら、その時10秒間だけ休憩する、深呼吸をする、これを意識するようにしています。

皆さんも作業中、50分なら50分フルで完全に集中できていることは少ないと思います。飲み物を飲む瞬間に10秒間短い休憩を取る、こんなイメージで大丈夫です。

作業後にやること

そして最後、作業後に意識することは「NSDR式のリカバリーを取る」こと。NSDRとは、簡単に言うと「深い睡眠ではない睡眠のような休息を取る」という休憩方法です。1回10分程度のNSDRで3〜4時間の睡眠にも匹敵するとも言われており、世界中のエリート、あのGoogleのCEOも実践しているそうです。

本来、NSDRは催眠療法に近いものなので専用のアプリを使ってやるものですが、20分の昼寝や瞑想、それができない人でも椅子の上に5分間程度座っているだけでも十分に近い効果を得られると言います。ポイントはここでもやはり「何もしないこと」。ポモドーロテクニックで集中して作業した後、休憩がありますが、この時間は基本的に何もしないでください。休憩時間はスマホを触っているという人がほとんどだと思いますが、その状態は脳のメモリを食い続けている状態です。

スマホを見るのをやめる

インスタやTikTok、YouTubeを見ることやLINEを返すことは、リラックスしていることのうちに入るように感じますが、実はそんなことはありません。脳はそれをやるだけでも集中力を消費しています。一旦スマホを置いて、何もしないでください。何もしないことが脳の休息になり、その間に脳は新しい神経回路を構築してくれています。

作業前には深呼吸と1点を見つめること、作業中の10秒ほどの細かい時間が10倍の速さで脳が再学習してくれること、作業後はスマホに触らずにNSDRを使って脳を休息させること。これを意識することで、あなたは10倍早く学習し、結果を出す側の人間が出しているパフォーマンスを出すことが可能になります。

では実際にどんな効果を実感できたのか。一言でまとめると、「休憩中の過ごし方でその日の全てが決まる」、これです。休憩の時間がその後の作業を簡単にしてくれる、これがはっきりと分かるようになりました。

休憩のとりかた

ただの休憩に意味はありません。脳を効率的に休める必要があります。そのためのポイントは3つです。

何もしない時間を意識的に作る

1つ目は、何もしない時間を意識的に作る。ヒバーマン博士も言っていた通り、現代人は何もしない時間が圧倒的に少なくなっています。大きな原因はスマホです。スマホという簡単に時間が潰せるものができてしまったため、私たちは隙間時間にもスマホを触るようになりました。その時間が私たちの生産性を奪っていったのです。特に休憩時間にスマホに触るという行為は最悪です。スマホを見ている時、脳は休まっていません。スマホを見ているということにも集中力を使っているんです。以前の私もそうでしたが、皆さんも休憩時間についついスマホを触っていると、めちゃくちゃ早く時間が過ぎていると感じたことがあると思います。「え、もう休憩終わり?時間飛んだ?」こういうこと何度もありますよね。

これは私たちの脳がスマホに集中していたから時間が早く感じたことによる現象です。正直、スマホの弊害で最もやばいところはモチベーションの低下だと思っています。休憩時間にスマホを使うと仕事に戻るのがめんどくさくなるんです。「うわ、マジでめんどくさいな。もうあと5分だけ」。そうやって1時間、2時間とスマホに触り続けていることが何度もありました。しかもこれの怖いところは、好きな仕事だとしてもです。例えば、最初からやりたくない仕事だった場合、面倒くさいと感じるのも分かります。ですが、休憩時間のスマホ、本来楽しい仕事だったとしても面倒くさくなってきます。

脳を休めるために何もしない時間を作る、これをやり始めたから明らかに変わります。特に休憩時間にスマホを触らない、これは今すぐ効果を実感できます。休憩時間にスマホを触らないようにすると、信じられないと思いますが、作業を早くやりたくなってきます。ソファーの上でなんとなくぼーっとしていると、最初は「いじるものがなくてつまらないな」となるのですが、それがだんだん仕事をやりたくなる気持ちに変わっていくんです。

「次の作業ではこれをやって、次の50分ではここまで終わればいいな」とか、そういうのを自然に考えるようになります。そして深呼吸や瞑想で脳が回復できているので、次の作業に入る時もすぐに深い集中に入ることができる。これはマジでおすすめなので、全人類が絶対にやった方がいいと思います。休憩中に何もしない時間を作る、これがポイント1つ目の「何もしない時間を意識的に作る」です。

体を動かすことでさらに脳をリカバリーさせる

脳を効率的に休めるポイント2つ目は、「体を動かすことでさらに脳をリカバリーさせる」。休憩中に深呼吸や瞑想をすると集中が戻るという話を永遠にしてきましたが、やっぱりこの方法にも限度があります。個人差はあると思いますが、何時間も作業していると当然、深呼吸しても瞑想しても集中力がだんだん下がっていきます。煮詰まってくる感覚といった感じでしょうか。そうなった時は、体を動かした方がいいです。運動することで脳機能が上がるという研究はたくさんあります。どうしても集中できないという時は、外に散歩しに行くだけでもかなり変わります。

アウトプット大全などの複数のベストセラーを出している精神科医の樺沢紫苑先生も、運動直後の3時間は、運動中に出されたドーパミンが持続するため、集中力と記憶力がアップした「頭が良くなる状態」、いわゆる脳のフィーバー状態に入るため、第2の集中のゴールデンタイムがやってくると言っています。

さすがに夕方の早い時間から筋トレはできないよという人もいると思いますが、散歩などの軽い有酸素でも効果があるそうなので、脳をリセットし、第2の集中のゴールデンタイムのために外に出て散歩をするのは本当におすすめです。これがポイント2つ目の「体を動かすことでさらに脳をリカバリーさせる」です。

夜は働かない

脳を効率的に休めるポイント、最後の3つ目は「夜は働かない」。ここで言いたいのは睡眠です。脳を休めるために最も重要なのは睡眠、これは議論の余地はありません。ヒバーマン博士によると、脳の神経回路が構築されるのは、さっき言ったNSDR中とあともう1つ、睡眠です。厳しい言葉になりますが、深夜に働いているくらいだったら寝てください。睡眠を削ってまでやらなければいけないほど仕事が詰まっているなら、それはやり方が間違っています。確実に無駄な部分があるはずです。

睡眠を取っている時間はなんだか時間を無駄にしている気がする、その気持ち、よくわかります。

ですが、

私たちは次の日に究極まで集中するために頑張って休まなければなりません。そのために睡眠は7〜8時間は取ってください。休憩中は何もしないように過ごす、体を動かすことが脳のリカバリーにつながる、22時以降は作業をしないで睡眠を取る。この3つが脳を効率的に休めるための方法です。これだけでも実践すれば確実にパフォーマンスはその他大勢を圧倒できるようになります。

おわりに

今回は効率を最大化する具体的なテクニックについてお話ししました。「あえて何もしない」、これがポイントです。現代人は無駄なところでも脳を使い、集中したいところで集中できていません。結果を出す人ほど自分がどこに集中すべきなのかを理解しています。重要ではないことに集中を持っていかれているだけ。脳を休めて正しいところに集中すれば、結果が出ないとはありえません。

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