橘玲さんが推薦する一冊の本に触れる前に、あなたに一つの考えを共有したい。実は、単に儲かるものを追求するより、自分の持っている独特の才能を活かす方が価値があるのです。私たち一人一人は、何かしらの特別な才能を持っています。その才能こそが、今の「人生100年時代」で成功するための鍵なのです。
しかし、成功するための「売る力」は、単に商品やサービスを人に提供する能力だけではありません。それは「売り込む力」、つまり自分の価値を適切に伝える力を意味します。そして、この「売り込む力」は、どんな才能や能力とも組み合わせることができるのです。
今日、私は風間真司さんの「何もない僕が海の向こうで起業したら成功した」という著書を紹介しようと思います。この本は、普通のサラリーマンから海外での起業家へと変わった彼の冒険の物語。彼の成功の秘訣と、どうすれば我々もその道を歩むことができるのかについて詳しく解説されています。
人生はドラゴンクエスト?
RPGゲーム、特に「ドラゴンクエスト」のようなタイトルに親しんだ人は、ゲームの中で選ばれた主人公が多くの冒険を経験する一方で、村の住民たちがその場所から一歩も出ずに過ごすシーンを目にしたことがあるでしょう。この比喩を現実の人生に当てはめると、冒険心溢れる「勇者」としての人生と、安定を求める「村人」としての人生という2つの選択が考えられます。
両方の選択には、それぞれ魅力やデメリットが存在します。しかし、著者は今後の時代を生き抜くためには、「勇者」としての資質や力が必要だと主張しています。そこで、このブログでは、「勇者の人生」対「村人の人生」という観点から、以下の3つのキーポイントを詳しく解説していきます。
- なぜ日本人の9割が「ドラクエの村人」のような生き方を選んでいるのか?
- 人生100年時代に求められる「レールなしで進む力」とは何か?
- 「斜陽国」では成功することが難しいとされる理由とは?
1つ目のポイント: 「日本人の9割はドラクエの村人」という考え方
多くの方が知るドラゴンクエスト、略してドラクエ。このゲームには三つの主要なキャラクターが存在します。一つは、冒険を繰り広げる勇者。彼はゲームの初めの町から旅を開始し、多くの冒険と戦闘を乗り越えて、最終的には大魔王を討伐するという壮大な役割を果たします。一方、勇者のような大冒険はせず、町や村で平穏に生きる村人も存在します。彼らは、自らの住む村の外に出ることはまずなく、その村での生活を最後まで過ごすのが一般的です。
さて、ここでの疑問は、現実の私たちの生き方は、この勇者と村人のどちらに近いのか、ということです。安全を求めて日々を送るのは、村人のような生き方かもしれません。勇者は冒険の途中で様々な危機に直面するため、安全とは言えません。しかし、著者の視点では、現代の変動する社会で、ただ安定を追求する生き方は実はリスクが高いと指摘しています。
新型コロナウイルスの影響を例にとると、大手企業が自社ビルの売却を進め、テレワークを導入することで人件費の削減を行ったり、それに伴い給料の見直しが行われました。また、従来のビジネスモデルが通用しなくなり、多くの企業、特に旅行会社、交通業、建築業、大手のアパレルブランドや飲食店などが経営難に陥りました。
このような不確実性が高まる時代において、自分自身のスキルや能力で生計を立てる力が、最も頼りになるセーフティーネットとなるのだと著者は述べています。
二つ目のポイント:「人生100年時代に備え、自らの道を切り開く力を身につけよう」
現代は、平均寿命が伸び続け、「人生100年時代」とも呼ばれるようになってきました。このような背景の中で、70歳、あるいは75歳まで働くのが普通になると予想されています。しかし、これは大学を卒業してから一つの会社に入社し、そこで50年以上も勤務し続ける、という古いスタイルとは大きく異なるものです。一つの会社で半世紀以上勤務し続けることは、今の時代ではかなり難しいと言えるでしょう。
そこで重要となるのは、これまでの「一定のレールの上を歩く」ようなキャリアの形成方法から脱却し、柔軟に変化する時代の中で自らの人生をデザインする力を身につけることです。これは、単なる職務経歴や履歴書だけで人生を進めるのではなく、それを超えた視点で自分の人生をどう生きるかを考え、行動することを意味します。
実際、多くの人は安定感を求めて大手企業や人気のある企業を目指す傾向があります。しかし、著者の意見としては、このような安定を追求する考え方そのものが、今後の時代には合わなくなってくるとのこと。働く場所を選ぶ際も、これまでの価値観や視点を一度見直す必要があると言えるでしょう。そして、そのためには「既存のレールをただ歩むのではなく、どんな状況下でも自らの道を切り開いていける力」を今から養うことが求められると著者は強調しています。
三つ目のポイント:「斜陽の国での伝統的な働き方は”無理ゲーム”となるかもしれない」
現代の経済状況を見ると、多くの国がGDP成長率2%以上を達成している一方、日本は0.46%とその成長率は低迷しています。かつて世界第2位の経済大国と謳われた日本は、すでにGDPで中国に追い越され、さらにドイツにも続かれる状態となっています。このペースが続けば、日本は世界のGDPランキングで4位に転落する日もそう遠くないかもしれません。
このような経済の状況の中、20代の若者が一つの企業に入社し、70代まで50年近くその会社で働くというライフスタイルを考えると、真に満足する人生を過ごすことができるのか、大きな疑問が浮かび上がります。
著者はこのような伝統的な働き方を「無理ゲー」と形容しています。「無理ゲー」とは、ゲームの中で非常に高い難易度を持ち、クリアすることが困難なゲームを指す言葉です。縮小する市場での長期雇用は、まさにこの「無理ゲー」に例えられるほどの高い挑戦となるのだと、著者は警鐘を鳴らしています。
成功のための3つのポイント
お金や成功というものは「コンフォートゾーン」の外側に存在すると著者は主張します。「コンフォートゾーン」とは、私たちが安心して生活できる、慣れ親しんだ範囲や状態を指す言葉です。しかし、この安心感の中だけで生きていくことは、前述の「ドラゴンクエスト」の村人のような生き方になってしまう。真の成功や豊かさを追求するには、このゾーンを一歩踏み出す勇気と行動が求められると、著者は述べています。
1つ目のポイント:「お金を稼ぐための6つの原則」
著者は、富を築くために必要な原則を以下の6つとして挙げています:
- コンフォートゾーンを超えて新しい経験をする
- 新しいチャンスがあれば積極的に挑戦する
- 自分の情熱や得意分野でビジネスを展開する
- 失敗を恐れず、早く多くの経験を積む
- 海外投資に関する知識を深める
- 資産を増やして資本を確保する
これらの原則の中でも、特に重要なのはコンフォートゾーンを超えることだと著者は強調しています。この原則は他の原則の土台となる考え方であり、さまざまな状況やチャレンジにおいても役立つという。
2つ目のポイント:「三方よしのインセンティブ設定」
商売を行う際、取引相手にどのようなメリットを提供できるかは非常に重要です。ここで参考になるのが、「三方よし」という日本の古くからの商売の哲学です。近江商人の経営理念として知られるこの考え方は、「売り手に良し、買い手に良し、そして社会全体にも良い」という三方全てが得をするビジネスを目指すものです。著者もこの考え方を重視しており、ビジネスでの成功は自分だけの利益追求ではなく、相手や社会全体も考慮したモデルの構築が必要であると説いています。
3つ目のポイント:「毎日の小さな目標設定」
お金を稼ぐための原則の中でも、特に「コンフォートゾーンを超える」という点を強調する著者。そのためのアドバイスとして、日常の行動や習慣を変える小さな目標設定の重要性を伝えています。後藤静香氏の言葉、「歩の第一歩にある目標がその日を支配する」という言葉を引用し、小さな目標でも日常の行動を変える力があることを強調しています。高い目標を設定するよりも、小さな目標を日常的に達成することで、習慣を形成し、最終的には大きな成果を得ることができると著者は述べています。
ビジネス選びにおける鍵となる3つの要点
- 稼げることよりも、何に情熱を感じるか
- 好きなことをビジネスモデルとして活かす方法
- 売る力と売り込む力の違い
1. 稼げることより情熱を持って取り組むこと
ビジネスを開始する際、最初から大規模なものを目指す必要はありません。むしろ、ビジネスは失敗を経験する場でもあります。著者は、初めてのビジネスを「お金を稼ぐ」ためだけにスタートしないことを強調しています。一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、真の成功のためには、自分の持っている才能や情熱にリンクしたビジネスを選ぶことが大切です。前述した6原則の中に「自分の真の情熱で勝負する」という考え方があり、それが非常に重要であることが示されています。
才能の本質とは?
多くの人が「才能」と聞くと、学業、スポーツ、芸術などを思い浮かべることでしょう。しかし、著者によれば、ゲームの技能やコレクション、管理、物の取引など、様々な形での才能が存在するとのこと。そして、私たち一人ひとりが最低でも1つの才能を持っていると著者は言います。この才能を見つけ、それに基づいて人生を設計することが、長い人生をより豊かにする鍵であり、その半分は既に成功しているともいえると、著者は述べています。
2. 自分の好きをビジネスモデルに変換する
ビジネスを新たにスタートさせる場合、その道のりはビジネスモデルの設計と強力な営業力が求められます。
ビジネスモデルとは何か?
これは、誰に、どのような価値を、どのような形で提供して収益を得るのかという基本的な仕組みを示しています。成功の秘訣は、「三方良し」の原則と、独自性を持ちつつもマネがしにくい要素を組み込むことです。市場に参入する際、独自のアイディアを最初から提示するのではなく、既存の市場に参入し、そこから独自性を加えていくのが効果的です。
3. 売る力、それは売り込む力
新しい事業を立ち上げる際、ビジネスモデルの重要性に加え、売る力、つまり「売り込む力」が不可欠です。
売り込む力とは何か?
著者によれば、これは単に商品やサービスを売る能力を超えたものです。実際に、異なる能力や要素と組み合わせることで、大きな結果を生み出すことができる特別な力です。例として、ギターを購入したいという欲望を相手に伝える場合、論理的、感情的、または相手にとっての利点として、その理由を説明することが挙げられます。これが売り込む力です。この力は、あらゆる状況で役立つ多目的なスキルであり、著者は早い段階でこのスキルを身につけることを強く勧めています。
まとめ
今回のブログでは、人生100年時代に必要なスキルや考え方について、特に「勇者の人生か村人の人生か」や「お金を稼ぐための6原則」、さらに「ビジネスにおける好きなことの重要性」という3つの主要なポイントに焦点を当てて解説しました。
- 勇者の人生か村人の人生か
日本人の9割が選んでいると言われる”ドラクエの村人”のような生き方ではなく、自らの意志で冒険を選ぶ勇者のような生き方が求められています。定石に縛られない、自分の道を切り開く力がこれからの時代には必要とされています。 - お金はコンフォートゾーンの外側にある
お金を稼ぐための6つの原則の中でも、インセンティブの考え方や、日々の目標設定が行動を変えることの重要性が強調されています。 - ビジネスは好きなことで稼ぎなさい
ビジネスを始める際、ただ単に稼ぐことを目的にするのではなく、自分の好きなことをビジネスモデルに取り入れることの重要性、そしてそれを支える”売り込む力”について詳しく解説しました。
今回紹介した内容は、『何もない僕が海の向こうで起業したら成功した』というおすすめの本からの一部に過ぎません。この本にはまだまだたくさんの有益な情報やインサイトが詰まっています。興味を持たれた方は、ぜひ手にとってご一読いただけると嬉しいです。
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