人生の意義を探る旅ー【著】立花隆『いつか必ず死ぬのに、なぜ君は生きるのか』

哲学

今回は立花孝志さんの著書「いつか必ず死ぬのに、なぜ君は生きるのか」を解説していきたいと思います。この本は、人間とは何か、人はどう学べばいいのかといった難しい問いにヒントが欲しい方におすすめです。

立花孝志さんは、知識量、思考の力、興味関心の幅が抜群であり、「知の巨人」と呼ばれています。本書は、そんな立花孝志さんの言葉をテーマごとにまとめた一冊です。それでは早速、内容を紹介していきましょう。

まず結論から言いますと、人間とは何かを考えるには、人間は関係性の中にあることを知らなければならないということです。また、青春期は年齢ではなく、精神の状態によって決まるという考えが示されています。

以下の3つの項目について解説していきます。

人間とは何か
人はどう生きるのか
地の巨人の読書法

それでは、1つ目の「人間とは何か」について見ていきましょう。立花孝志さんによれば、人間は関係性の中に存在する生き物です。つまり、他者との関わりを通じて自己を形成し、成長していくのです。

2つ目の「人はどう生きるのか」では、人生をワクワクする体験で満たすことが重要であると説かれています。人はいずれ死ぬ運命ですが、その間にどれだけ素晴らしい経験をできるかが、人生の価値を決めるという考え方です。

最後に、3つ目の「知の巨人の読書法」では、立花孝志さんがどのようにして多くの知識を得ているのかが紹介されています。彼は、幅広い分野に興味を持ち、多様な視点から物事を捉えることを大切にしています。

以上が、立花孝志さんの著書「いつか必ず死ぬのに、なぜ君は生きるのか」についての概要です。この本を読むことで、人間とは何か、人はどう生きるべきかについて新たな視点を生み出すことができるとなればと思います。では一つ一つ詳しくみていきましょう。

人間とは何だろう

「人間とは何だろう」というテーマについて、本書から2つのポイントをピックアップし、それぞれ詳しく解説していきます。解説するポイントは、「人間は関係性の中にある」と「私とあなたの多様性」という2つです。それでは、それぞれのポイントを掘り下げていきましょう。

人間は関係性の中にある

まず1つ目のポイント、「人間は関係性の中にある」について考えていきます。著者は、人間は関係性の中に存在すると主張しています。人間とは何かを考えることは、人間以外のすべてと人間との関係性を考察することになります。つまり、人間とそれを取り巻く環境とのあらゆる関係性を最も広い視野で捉え直すことが求められます。

ここで、「環境」という言葉は、環境問題といった自然環境を指すよりも、はるかに広い定義で使われていることに注意が必要です。また、私たちは、私という視点から見た関係性以外の関係性を見ようとしてはならないと著者は指摘しています。私抜きで見えてくるのは客観的な関係性だけで、私抜きの客観的世界像です。しかし、世界は客観的に存在すると同時に、私に対しては主観的な存在として独自のあり方をしています。この主観的な世界像は、私以外の人にとっては無意味かもしれませんが、私自身にとっては非常に重要です。

世界は客観的な宇宙として存在しつつ、同時に私の内側では内的宇宙を形成しています。私の外にある宇宙と私の内にある宇宙は異なる捉え方が必要で、私との関係性の上で世界を捉え直すことが重要です。外部世界の中で成立している関係性だけでは足りず、私との関係性を問い直すことが求められます。人間を理解するためには、私以外の人間すべてと私との関係性を考慮する必要があるのです。

2つ目のポイント: 私とあなたの多様性

世界の広がりを理解する上で非常に重要なことは、人間の多様性について知ることです。多くの人は人間が多様であることは理解していると思われますが、注意しておくべき点は、人間はフィジカルな存在としての多様性だけでなく、メンタルな存在としても多様性を持っているということです。つまり、人間の心の中の多様性について知ろうとすることが非常に重要です。

具体的な多様性は、人間が普通に持って生まれた能力を行使すれば基本的に理解できることです。フィジカルな世界は基本的に普遍的であるためです。しかし、メンタルな世界は普遍的ではなく、個性的です。そのため、メンタルな世界認識は基本的に個々人によって異なります。人間はAという人の認識内容とBという人の認識内容が別物であることを理解するのは子供のうちにはなかなか難しいものです。

子供が大人になるということは、他人というものが自分とメンタルに全く異なった存在であり、ものの見方や考え方、感じ方がすべて違うということを知ることです。この世は異質な世界認識を持つ他人たちで溢れています。これを真に理解するためには、異質な人間と出会い、その相手と自分の意志がわかるまで相手に接近してみることが必要です。

人はどう生きるのか:2つのポイント

人はどう生きるのか:2つのポイント

この章では、「人はどう生きるのか」というテーマについて、本書から2つのポイントをピックアップして解説していきます。それぞれ、「精神まで老けてはいけない」と「失敗を避けるためには」の2つのポイントです。それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1つ目のポイント: 精神まで老けてはいけない

青春期とは何かと聞かれると、10代から20代くらいと答える人が多いでしょう。しかし、著者は青春期は時間的に定義できるものではないと述べています。では、いつが青春期なのかというと、自分の生き方を模索している間が青春期だと言います。そのため、青春期は人によって短くもあれば長くもなります。

初めから老成してしまっていて青春期を全く持たない人もいると言います。肉体は若いのに精神が老いぼれている青年は、世間の常識から一歩も外れないようなことばかりを言ったり、常識通りの生き方をしません。著者は、そのような人の人生を「精神的には墓場まで一直線の人生」と評しています。

著者によれば、青春期は平均的に30代までとも言えます。中国古代の思想家孔子は、「四十にして迷わず」と言いました。つまり、40歳までの迷いは普通だということです。迷いや悩みは青春の特徴であり特権であり、それだけに恥も多く失敗も多いものです。恥なしの青春や失敗なしの青春は青春の価値がありません。

自分に忠実に、しかも大胆に生きようと思うほど、恥も失敗も多くなるのが当たり前です。迷いと悩みの挙句、生き方の選択に失敗して最終的に失敗した人生を送ることもあります。若者の前にはあらゆる可能性が開けていると言われますが、その可能性には失敗の可能性も含まれています。精神だけが老化した青年は、失敗の可能性を前にして足がすくんでしまった青年のことを指します。このような人は、人生にチャレンジしない自分の生き方について、さまざまな理由を挙げるかもしれません。しかし、実際には人生を前にして足がすくんでしまっているという、ごく単純な話だと著者は指摘しています。

一方で、あらゆる失敗の可能性を忘れている人は、いかに大胆に生きようとも無謀に生きるだけになってしまいます。あらゆる失敗の可能性を見据えつつ大胆に生きた人こそ、真に生き抜いたというべきだと著者は説いています。

2つ目のポイント: 失敗を避けるためには

失敗を避けるためにはどうすれば良いのでしょうか。著者は、自分の生き方や価値観を常に見つめ直し、自分に正直であることが大切だと言います。また、失敗を恐れずに挑戦し、自分の限界を試すことも重要です。失敗から学ぶことができれば、それが人生の糧となり、さらなる成長に繋がります。

経験を積み重ねることで、自分の強みや弱みを理解し、どのような生き方が自分にとって最善かを見極めることができます。また、人間関係を大切にし、周囲の人たちと協力し合うことで、失敗を乗り越える力を得ることができます。

最後に、著者は失敗を恐れず、自分の生き方を大胆に追求することが、人生をより充実させる秘訣だと語ります。人はどう生きるのかという問いに対して、自分なりの答えを見つけるためには、恐れずに挑戦し、失敗を糧に成長することが大切です。

知の巨人の読書法

知の巨人の読書法というテーマについて、本書から2つのポイントをピックアップして解説していきます。解説するのは「読書の14箇条」と「最初から速読を目指してはいけない」という2つのポイントです。それぞれを詳しく見ていきましょう。

1つ目のポイント: 読書の14箇条

本章では、著者が読書で大切にしていることについて紹介されています。題して「読書の14箇条」です。ここでの読書はあくまで仕事と一般教養のための読書についてで、趣味のための読書についてではありません。以下に、14のポイントを紹介します。

  1. 金を惜しまず本を買う
  2. 1つのテーマについて1冊の本で満足せず、必ず類書を何冊か求める
  3. 選択の失敗を恐れるな
  4. 自分の水準に合わないものは無理して読むな
  5. 読み途中でやめることを決意した本についても一応終わりまで1ページ1ページ捲ってみる
  6. 速読術を身につける
  7. 本を読みながらノートを取らない
  8. 人の意見やブックガイドの類に惑わされるな
  9. 注釈を読み飛ばすな
  10. 本を読むときには会議シーンを忘れるな
  11. 疑問に思う箇所があったら、著者の情報源や判断の根拠を考える
  12. 何かに疑いを持ったらオリジナルデータにたどり着くまで疑いを推し進める
  13. 翻訳が悪い可能性があるので、翻訳書で理解できない部分に出会ったら、翻訳のせいかどうか疑う
  14. 若い時は何を差し置いても本を読む時間を作る

2つ目のポイント: 最初から速読を目指してはいけない

2つ目のポイントとして、「最初から速読を目指してはいけない」ということについて説明します。読書の14箇条の中で、6番目に「速読術を身につけよう」という項目がありますが、著者は同時に速読を最初から求めることは適切ではないと述べています。

速読がどのように行われるかというと、雑念を捨て去り、目の前の文章に精神を集中することが重要です。この集中力が高まると、驚くほどの速さで目が文章を追っていくようになり、文字を追う速度が意味を理解する速度を上回るほどになります。この状態では、視線が自然に文字をスキップしていくように感じられ、自分が目で文字を読んでいることへの自意識が消えてしまうこともあります。それでも、文章の意味はしっかりと理解できるのです。

このような状態に達するためには、精神の集中力が必要です。精神能力を高めることができれば、インプット能力にも大きな差が生まれ、それがアウトプット能力にも影響を与えるでしょう。したがって、若い時に集中力を鍛えることが大切です。

最初から速読を目指すのではなく、まずは集中力を高めることが重要です。速読は、集中力が高まった結果として自然に身につく技術なのです。この点を押さえて、効果的な読書法を身につけましょう。

まとめ

昔私の読書の師匠から聞いたことを書きたいと思います。

私の読書の師匠はよく「僕は今50歳で、あと平均年齢まで30年としたら、あと何冊本が読めるか考えています。」と言われていた。

人生の時間を本の読書量で測るという、ほんと仙人みたいな人だと憧れました。

私もあと10数年生きるとして、何をして生きるかをいつも考えるようになったきっかけの話です。

人生は何をしてもいい、その主人公であるあなたがワクワクして楽しめたのならそれでいいと思う。

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