【SPIN話法とは?押し売りゼロで、「買わせて」と頼まれる営業の極意を解説】
SPIN話法は、営業の極意と言われる方法で、押し売りをせずに相手から「買わせてください」と言わせる効果的なテクニックです。この記事では、SPIN話法の基本となる4つの質問と、それらを上手に活用するポイントを解説します。SPIN話法は営業職だけでなく、上司や社外のお客様との交渉にも役立つ方法ですので、ぜひご参考にしてください。
まずは、SPIN話法の基本となる4つの質問についてざっくりと説明します。
状況質問(S:Situation)
問題質問(P:Problem)
示唆質問(I:Implication)
解決質問(N:Need-payoff)
これら4つの質問を順番に行い、相手のニーズを引き出すことがポイントです。商品説明やクロージングに移る前に、しっかりと質問を行うことで、相手に自ら購入意欲を持たせることができます。
では、明日からSPIN話法を実践するための方法を書いていこうと思います。
【超ざっくり!SPIN話法の基本解説】
まず最初に、SPIN話法の基本を超ざっくりと解説させていただきます。優秀な営業マンは話し上手ではなく聞き上手であり、戦略的に4つの質問を順番通りに行っています。それが以下の4つの質問です。
- 状況質問
- 問題質問
- 示唆質問
- 解決質問
SPINという名前は、それぞれの英語の頭文字(Situation, Problem, Implication, Need-payoff)を取ったものですが、英語を覚える必要はありません。大切なのは、この4つの質問を順番通りに投げかけ、お客さんに話してもらうことです。
【SPIN話法でお客さんを前のめりモードに!】
SPIN話法を使って、お客さんを前のめりモードに誘導し、解決策を求めさせる方法をご紹介します。このテクニックは、社内で優秀な営業マンが実践しているものです。まずは、以下の4つの質問を順番に行っていきます。
- 現状はどんな感じですか?
- 理想はどんな感じですか?
- そんな現状の中で悩みはありますか?
- その悩みを放置してたら結構やばくないですか?
この流れで質問を投げかけ、お客さんが「あなたに解決してほしい」と前のめりモードになったところで商品の説明を始めます。
スピン話法のすごい点は、まだ商品の説明やクロージングに至っていないヒアリング段階で、お客さんを買いたいモードに仕上げることができることです。一般的な営業手順では、ヒアリング→商品説明→クロージングの流れになりますが、SPIN話法では最初のヒアリング段階で既にお客さんを購入意欲に満ちた状態に仕上げることができます。
これは心理学的にも理にかなっています。人は他人から指示されるよりも、自分で宣言したことを実行しやすい傾向があります。SPIN話法は、人間のそうした性質を活用し、潜在ニーズを掘り起こすことができます。つまり、「まだいらないかな」とか「欲しいけど先でいいかな」と思っていたお客さんを、今すぐ買わなければならない状態に仕上げることができます。
これが非常に重要なポイントで、売れる営業マンと売れない営業マンの違いです。売れる営業マンは、潜在ニーズを育てることができるため、売上が大きく伸びます。一方、売れない営業マンは、「まだいらないかな」というお客さんを育てる経験がなく、そのようなお客さんは買ってくれないと思い込んでしまい、結果的に営業の対象となるお客さんの数が減り、売り上げが伸び悩むことになります。つまり、売れない営業マンは、この仕組みによって成果が出づらい状況に陥ってしまっているのです。
SPIN話法を使うことで、潜在的なニーズを掘り起こし、お客さんに自分から購入意欲を持たせることができます。これによって、商品説明やクロージングの段階まで進んでからではなく、ヒアリング段階で既にお客さんを購入モードに持っていくことができるのです。
SPIN話法
今回紹介するSPIN話法は、これまで営業を行っても効果が見込めないと思われていたお客様まで、有望なお客様へと変革することができる方法です。冒頭のざっくりした説明だけでは、SPIN話法がどれほどパワフルかを十分に理解できないかもしれません。そこで、ここからはSPIN話法の各質問について詳細に解説し、実際の仕事で活用できるようにお伝えします。
SPIN話法の第一ステップ:状況質問
まずはお客様の現状と理想について質問することから始めましょう。状況質問の目的は、次の問題質問につなげることです。お客様の現在の状況と理想のギャップを明らかにするために、具体的な質問を投げかけます。
状況質問を投げかける際のポイントは以下の3つです。
- 数を絞る:たくさんの質問を投げかけるのではなく、必要な情報に焦点を当てましょう。お客様にとって、現状を説明するのは面倒ですので、事前に調べられる情報は確認しておきましょう。
- 数字で語ってもらう:お客様から得られる回答が曖昧であれば、具体的な数字を求めましょう。現状と理想のギャップがどれくらいかを確認することが狙いです。
- 理想がないなら一緒に描く:お客様が理想の状態を明確に持っていない場合は、一緒に理想を描きましょう。他の事例やデータを参考にしながら、客観的な事実をもとに理想を考えることが重要です。
例えば、お客様が受験塾のオーナーで、Web広告を売り込みたい場合、事前に塾の店舗数や広告活用状況を調べておきます。そして、「最近地下鉄の広告を出されていましたが、その効果はいかがですか?」といった具体的な状況質問を行います。また、お客様が具体的な数字を把握していない場合は、他の塾の事例やデータをもとに一緒に理想を考えます。
これらのポイントを踏まえた状況質問を行うことで、お客様の現状と理想のギャップが徐々に明らかになり、次の問題質問につなげることができます。
SPIN話法の第二ステップ:問題質問
ブログ記事: 営業マンが成功するための効果的な質問法
私たちの営業マンがお客様とのコミュニケーションを円滑に進めるために、状況質問と問題質問の二つの質問方法を使用します。一つ目の状況質問では、お客様の現状と理想を把握し、二つ目の問題質問でそのギャップに気付いてもらうことが狙いです。
問題質問を効果的に使うための3つのポイント
踏み込みすぎない: 問題質問はお客様の弱点やできない点を明らかにするための質問ですが、踏み込みすぎるとお客様が心を閉ざすことがあります。適度な距離感で質問を行うことが大切です。
一旦褒めてみる: お客様が今使用している方法や製品を褒めることで、心理的リアクタンスを引き出すことができます。これにより、お客様が自ら課題を口にする可能性が高まります。
限定して絞り出してもらう: 質問を具体的に限定することで、お客様に答えやすくなります。しかし、これを連続して使用すると誘導尋問されているような気がしてしまうため、最終手段として活用しましょう。
例えば、お客様が電車の広告を使っている場合、まずはその広告を褒めてみます。「御社の電車の広告のデザインはとてもカッコいいですね。問い合わせもあるということですし、これは素晴らしい成果ですね。」というような感じで話を進めます。
その後、お客様が反発して「確かに問い合わせは来ているけれど、80万円払ってもたった数店しか来ていないんだよね」と言うような場合、他社の事例やデータを使いながら理想と現状のギャップに気付かせていきます。
最後に、もし相手が課題に気付いていない場合や答えにくそうにしているときには、限定して質問をすることして、「もし強いて課題を一つだけ挙げるなら、どのようなものがありますか?」といった具合に質問を行いましょう。こうすることで、お客様は答えやすくなりますし、具体的な課題について考えるきっかけが生まれます。
ただし、この限定して質問する方法は、あくまで奥の手として活用すべきです。連続して使用すると、お客様に誘導尋問されているような気がしてしまうため、注意が必要です。
SPIN話法の第三ステップ:示唆質問
本日は、営業マンが示唆質問を活用して顧客の潜在ニーズを引き出す方法について詳しく解説します。問題質問で顧客が気づいてもらった問題を踏まえ、示唆質問では「その問題を放置したままでは危険な状況になりませんか?」と質問することがポイントです。示唆質問の目的は、顧客に潜在ニーズを顕在化させ、気づかなかったニーズに気づいてもらうことです。
示唆質問を実践する際に重要なポイントは、顧客が支払う金額のハードルを超えることです。顧客が商品を購入する状況は、顧客が抱えている悩みや問題の深刻さが支払う金額より大きくなった時です。例えば、営業で提案している商品が100万円だった場合、顧客がその悩みを解決するために500万円払えるほど深刻で危険だと感じたら、購入してもらえる可能性が高まります。
示唆質問では、顧客の悩みを大きくすることで、悩みが金額のハードルを超える状況を作り出します。しかし、示唆質問はSPIN質問の中で最も難しいため、多くの営業マンがこのステップから逃げてしまいます。顧客に危険で深刻な状況だと気づいてもらえるような視差質問ができない場合、逆に金額のハードルを下げてしまうことがあります。
示唆質問を成功させるためのヒントは、深刻さの切り口はお金だけではないということです。お金だけの損得感情に訴えるだけではなく、時間、労力、責任、信頼といった切り口も利用しましょう。顧客が抱えている問題を放置したままだと、お金の損失だけでなく、時間や労力の無駄、責任問題や信頼の喪失といった深刻な影響が及ぶ可能性を示すすることが重要です。
示唆質問を効果的に使うためには、以下のステップを実践してみましょう。
- 顧客が抱えている問題を理解し、問題質問でそれを明確にする。
- その問題を放置したままだと、どのような危険やリスクがあるかを視差質問で引き出す。
- 金額だけでなく、時間、労力、責任、信頼といった切り口を用いて、問題の深刻さを強調する。
- 顧客が問題の深刻さを理解し、解決策として提案された商品やサービスの価値を感じるように誘導する。
これらのステップを実践することで、顧客に潜在ニーズを顕在化させ、問題の解決策として提案された商品やサービスの価値を認識させることができます。
ただし、視差質問を行う際には注意も必要です。顧客の悩みや問題を大きく煽りすぎると、顧客が不快感を抱くこともあります。適切なバランスを保ちながら、顧客に問題の深刻さを理解してもらうことが大切です。
SPIN話法の第四ステップ:解決質問
もう最後となる4つ目の質問、解決質問についてお話ししましょう。前回の視差質問で顧客が問題の深刻さに気づいた後、解決策として提案する商品を持っていることを伝えるステップが解決質問です。この質問は、商品説明を始める前に顧客に自発的に商品の説明を求めさせるための最終仕上げです。
4つの質問は商品説明を始める前に顧客に商品説明を求めさせる目的があります。解決質問は、商品説明に入る前の最終仕上げで、大事なポイントはポジティブなムードへの転換です。視差質問で顧客に悩みや問題、つまりネガティブな面を考えさせたので、解決質問ではテンションを上げることが重要です。
そのために、「私が解決しましょうか?」という解決質問の前に、顧客がポジティブな未来を想像できるような質問を挟むことが効果的です。例えば、「その深刻な課題が解決されたら、将来的にどんな良い影響がありそうですか?」といった質問です。
ここでも注意点があります。解決質問も質問であるため、自分で語らずに相手に語ってもらうことが大切です。ポジティブな未来について語るのは、顧客自身です。例えば、広告を切り替えた際に社員の労力が減るというメリットを主張する代わりに、「社員さんの労力という意味ではどんな良い影響がありそうですか?」と質問するようにしましょう。
解決質問のポジティブな部分も顧客に語ってもらうことで、彼らが良い未来を想像しやすくなります。これが解決質問の最終仕上げとなり、顧客が商品を購入したいと感じることができるでしょう。
質問の許可を取る重要性について
今日は、デキる営業マンが実践している効果的なテクニックである、質問の許可を取るポイントについて簡単に解説したいと思います。このポイントは、最初の状況質問を始める前に、お客様に質問させていただく許可を得ることです。
質問に答えることは基本的に面倒くさいものであり、突然尋問のように質問を始めてしまうと、お客様は答えることを負担やコストだと認識してしまい、真剣に答えてくれないことがあります。このような場合、4つの質問法の効果が薄れてしまいます。そのため、最初に許可を得ることが重要です。
さらに、許可を得るだけでなく、質問に答えることでお客様に何らかのメリットがあることを伝える前振りも行うと、最高の効果が期待できます。
例えば、「まるまるさんにお役立ていただける商品をいくつか紹介したいんですが、お忙しいかと思うので、最も合った商品をピンポイントでご紹介させていただきたいと思います。そのために、いくつか質問させていただいてもよろしいでしょうか?」というような感じで始めると、お客様は質問に答えることで時間を削減できることや、ぴったりの商品を紹介してもらって売上が伸びる可能性があることを期待してくれるでしょう。
まとめ
売れる営業の極意を探求する中で、今回紹介したSPIN話法が浮かび上がります。押し売りせずとも効果的に売れる営業を実現するためには、状況質問、問題質問、解決質問、そしてこれらの質問を組み合わせることが大切です。
具体的な質問の流れは以下の通りです。
現状はどのような感じで、理想はどんな感じですか?
その現状の中で悩みはありますか?
その悩みを放置していたら、問題が深刻化しないですか?
もし問題が深刻化しそうであれば、私が解決しましょうか?
今回の記事では、4つの質問それぞれについて、狙いと意識すべきポイントを詳しく解説しました。
ただし、一度の読み取りだけでは完全に理解するのは難しいかもしれませんから、目次を活用して、気になるポイントを何度でも復習していただくことをお勧めします。
この記事が、営業職に関わる方や、交渉事に困っている多くのビジネスパーソンの方々の悩みを解決するヒントになればと思います。。ではでは!!
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