こんにちは、今回は私がお送りする人生のバイブルシリーズの中でも特に重要な1冊、「エッセンシャル思考」について解説します。
本書の結論を簡潔に言えば、エッセンシャル思考とは「選択と集中」のことです。つまり、あなたが持つ限られたエネルギーをばら撒くのではなく、ピンポイントに集中させること。そこに焦点を当てて日々の仕事を行うことが重要なのです。
仕事をしていると、やらなければならないことが山ほど舞い込んできます。しかし、残念ながら私たちの体力と時間は有限です。特に時間は非常に限られており、人生という限られた期間を有意義に使うためにも、何でもかんでも手を出すのではなく、自分が真に必要だと感じることだけに集中することが重要です。
理論的にはシンプルながらも、実践するのは困難です。なぜなら、現代社会は我々を「何でもチャレンジしよう」という方向に誘導しようとするからです。しかしそれは真実からほど遠い嘘であり、それに気づいている人も多いはずです。
特に問題なのは、優秀な人ほど情報感度が高く、情報や仕事の依頼をたくさん受け取ってしまう傾向にあり、エネルギーが分散しやすいという点です。しかし、エッセンシャル思考を理解し、実践することで、この問題を解決することが可能です。
今回の記事では、エッセンシャル思考を理解し、具体的にどのように実践するかについて解説します。特に、「無駄な仕事を全て断るための5つのステップ」について詳しく説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
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エッセンシャル思考の基礎知識
始めに、エッセンシャル思考の本質とその重要性を深く理解していただくため、エッセンシャル思考を持つ人と、それを持たない人との違いを詳しく説明します。この違いを把握することは、エッセンシャル思考の理解にとても重要です。
エッセンシャル思考を持つ人と、持たない人とでは、思考のパターン、行動、そしてその結果が全く異なります。まず、思考の違いから見ていきましょう。
エッセンシャル思考を持たない人は、全ての仕事を自分が行うべきだと感じます。他人からの依頼が全て自分にとって重要だと考え、ついつい「やらないよりはやった方がいい」という考えに陥ります。しかし、実際にはこれは間違いです。なぜなら、全ての仕事が同じ価値を持つわけではないからです。一部の仕事は10の努力で100の成果を生むものの、一方で努力をしてもほとんど成果が得られない仕事も存在します。この仕事の「差」を理解することが、エッセンシャル思考の初めの一歩となります。
対して、エッセンシャル思考を持つ人は「より少なく、しかしよりよく」という考え方をします。全ての仕事を受け入れるのではなく、いくつかを選択し、それ以外は断るという姿勢を持ちます。何を選択し、何を断るべきかを常に考え続けます。
次に行動について見てみましょう。エッセンシャル思考を持たない人は、量で勝負します。全ての仕事を受け入れ、期限が迫るものからこなすという行動パターンを取ります。一方で、エッセンシャル思考を持つ人は、自分が選んだセンターピン(中心となる重要な)仕事に集中します。成果が見込めない仕事は断り、伝統や慣習に縛られず、必要ない仕事を積極的に終わらせます。
これらの違いがもたらす結果は明白です。エッセンシャル思考を持たない人は、全ての仕事をこなすことで疲れ果て、無力感に襲われます。一方で、エッセンシャル思考を持つ人は、選択した仕事に満足感を持ち、充実感を味わいます。
この違いが生まれる原因は、パレートの法則によるものです。これは、全体の成果の80%が実は全体の働きの20%から生まれるという法則です。全ての仕事が等しく重要であるわけではなく、中心となる重要な仕事が大半の成果を生むのです。
したがって、エッセンシャル思考とは、成果に直結する重要な仕事に集中し、それ以外の仕事は断ってしまうという考え方です。しかし、この考え方を実践するのは容易ではありません。そこで、次に具体的な実践方法、つまり「無駄な仕事を断るための5つのステップ」について詳しく説明します。
この5つのステップは、「孤独な時間を作る」「目標を即答する」「時間割を即答する」「仕事を採点する」「傷が浅いうちに断る」です。この中で特に重要で難しいステップが最後の「傷が浅いうちに断る」です。エッセンシャル思考を実践するためには、憎まれることを恐れず、無駄な仕事を断っていくことが求められます。
エッセンシャル思考の5ステップ
その前に、このエッセンシャル思考を実践するためには、ステップ1から順番に丁寧に進めることが必要です。そうしないと、エッセンシャル思考を持つ人になるのではなく、ただの自分勝手な仕事の選択をする人になってしまう可能性があります。したがって、各ステップを丁寧に理解し、適切に実行することが大切です。さて、それでは具体的なステップについて見ていきましょう。
孤独な時間を作る
ステップ1は「孤独な時間を作る」というものです。エッセンシャル思考が何より重視するのは、他人の意見や世間の雑音に左右されず、自己の判断を信じて行動することです。つまり、エッセンシャル思考を実践するためには、自分だけの時間を確保し、自分自身の考えを整理することが不可欠です。
ビジネスの現場では、他人から依頼される仕事を断る場面がしばしばあります。しかし、その断る理由はビジネスパーソンとして説明でき、かつ納得できるものでなければなりません。そういった理由を考え出すのは、自分自身だけです。そのためには、他人の意見や雑音から離れ、孤独な時間を確保して深く考える必要があります。
例えば、A先輩が自分に依頼した仕事が非常に重要だと言い、一方でB先輩が自分に依頼した仕事が最重要だと言ったとします。人それぞれに意見や優先順位があり、どちらも自分の依頼事項が重要だと考えているのは当然です。そのため、ただ先輩たちから言われた順番で仕事をこなすのではなく、一度自分自身で優先順位を整理しなければなりません。
情報収集もまた、エッセンシャルな手法を適用することが重要です。情報は無限に存在している現代では、どの情報を取り入れるかが問題となります。そのため、全体の成果の80%を生むというパレートの法則に基づき、最も重要な情報、すなわち「センターピンとなる2割の情報」だけに集中するのです。
信頼できる人からの情報を厳選し、それ以外の情報は無視することも重要です。ただ目立っているだけや、ただ声が大きいだけの人からの情報は適切にスクリーニングすることが必要です。
しかし、情報収集を優先するあまり、時間を過度に割いてしまっては本末転倒です。エッセンシャル思考の精神に基づき、孤独な時間を優先し、自分の思考をしっかりと整理することが重要です。
目標を即答する
次に紹介するステップ2は「目標を即答する」というものです。これは、自分の仕事に対する目標が明確で、すぐに答えられるほど整理されているべき、という意味です。そのためにも、ステップ1で得た孤独な時間を利用して、自分の目標を深く考えて整理してください。
“完全に明確”というのは、エッセンシャル思考のキーワードです。目標は曖昧さを排除し、誰もが理解できるほど具体的にすることが重要です。この点を念頭に置いて、以下のような質問に対するあなた自身の目標を考えてみてください:「あなたの人生における目標は何ですか?」「その目標を達成した時、あなたはどんな仕事をしていますか?」「その理想的な仕事をするために、3年後にはどんな仕事をしていたいですか?」「その3年後の状態に到達するために、今年何を達成しますか?」
こうした質問に対する答えを、自分なりの目標として明確にし、それをすぐに答えられるようにすることが大切です。目標を明確に持つことで、上司からの無駄な依頼を断るための自信や根拠が生まれます。
具体的な目標設定の方法として、ある状態を目指すことや、目標とする人物を持つことも有効です。状態を目指す場合は、「心を許せる仲間と働きたい」、「息子に誇れる仕事をしたい」などの具体的な働き方を目指すのが良いでしょう。目標とする人物を持つ場合は、その人がどのように働いているか、どのような成果を上げているかを基に自分の目標を設定します。
そして、その長期目標から、3年後や1年後に達成したい具体的な目標を設定しましょう。このとき、具体的で検証可能なものにすることが重要です。例えば、「3年後には課長になる」、「今年の年収は800万円にする」、「この1年でコンサル業界に転職する」など、達成できたかどうかを明確に確認できる目標を立てるのが良いでしょう。
最後に、目標設定は一度きりのものではありません。定期的に自分の状況を見直し、必要に応じて目標を更新することも大切です。毎日目標を目にすることで、その達成に向けた行動を引き立てることができます。
時間割を即答する
次に、ステップ3「時間割を即答する」について詳しく説明します。このステップは、ステップ2「目標を即答する」を進めた上で、具体的な日々の予定を立てることを意味します。つまり、大きな目標を踏まえた上で、次の日のスケジュールを明確に設定しましょうということです。
具体的には、私の著書「新サラリーマンから」に出てくるような、毎晩明日の時間割を詳細に作る習慣を持つことが推奨されます。ただし、次の日のスケジュールを設定する前に、その日のスケジュールを振り返ることも重要です。たった5分でも構わないので、ステップ1で設定した目標に基づいて、今日1日の時間割がどの程度適切だったかを考えてみてください。
具体的な振り返りの例としては、「今日1日の時間配分は、自分の長期目標や3年目標、年間目標に沿ったものだったか?」「その日のスケジュール通りに1日を進められたか?」「想定外に時間がかかった仕事はなかったか?」などを検討します。そして、その気づきや反省点を活かしながら、次の日のスケジュールを立てていくのです。
私自身も、仕事が終わった直後に毎日この振り返りを行い、土日や休日でも欠かさず行っています。これは仕事とプライベートの両方が重要で、両方を本気で楽しむためには、それぞれの時間割を明確にする必要があると考えているからです。
それでも、全てが時間割通りに進むわけではありません。しかし、重要なのは「理想的に全てが進むとしたら、このような1日にしたい」という思いを持ってスケジュールを作り、その日の終わりにその理想を叶えられたかどうかを確認することです。そして、この一連の流れを毎日の歯磨きのように習慣化することが重要です。
s仕事を採点する
次に、ステップ4「仕事を採点する」というステップについて詳しく説明します。この本では90点ルールが提唱されており、採点により90点未満の仕事は無駄とみなしてすべて削除するという考え方が示されています。しかし、このルールの本質を理解すると、それは「仕事の価値を点数化し、それに基づいて優先順位を決め、行わない仕事を特定する」ということを意味します。
この採点を適切に行うためには、まず上司から仕事が割り振られた時点で「ゴール」(その仕事の目的や完了の定義)と「ルール」(制約や条件)を確認することが重要です。その上で、ステップ1で設定した自分の目標と自分が所属する部署の目標を考慮しながら、仕事を採点します。
具体的には、自分と部署の目標に大いに寄与する仕事であれば100点、といった形で評価します。本書では90点以上の仕事だけに取り組むことが推奨されていますが、現実的なビジネスの場では、その基準は少し厳しすぎるかもしれません。
私自身の経験から言うと、80点以上の「かなりやるべきだ」と思える仕事は全力で取り組みますし、80点未満でも70点以上の「まあ、やるべきだ」と思える仕事も引き受けます。しかし、ここで重要なのは、70点未満の仕事は、高得点を目指さずに、あくまで仕事を「着地」させるという意識を持つことです。これは、特に完璧主義の人々が苦手とする部分かもしれませんが、全てを完璧にこなそうとすると、大事な仕事に充分な時間が割けなくなる恐れがあります。
そして、最後に、70点未満の仕事については、断ることを覚悟しましょう。実際には、仕事の大半がこのカテゴリに入るかもしれませんが、ここではあえて厳しい判断をして、これらの仕事を断ることを学びましょう。そして、これが難しいと感じたら次のステップに進みましょう。
早めに断る
ここで最も重要なステップ、「早めに断る」というステップについて詳しく説明します。まず、このステップで目指すべきゴールは「人々にがっかりされてもOKだが、憎まれずに断ること」です。大前提として、完全に無傷でエッセンシャル思考を実践するのは不可能です。なぜなら、あなたが「何でもやってくれる人」と思われていた人々は、あなたが何かを断るとがっかりするでしょう。
しかし、この一時的な不快感や失望感は耐えるべきです。なぜなら、この過程を通じて、「何でもやってくれる人」というイメージを払拭し、「適切に指示を出さなければ断る人」という新たなイメージを作ることができるからです。
確かに、あなたは一時的に「めんどくさい人」と思われるかもしれません。しかし、これは悪いことではありません。なぜなら、上司は部下がスムーズに仕事を遂行できるように、明確な指示を出すべきだからです。逆に言えば、その明確な指示を出すことを「面倒くさい」と感じるような上司に対しては、「めんどくさい部下」であるほうが有利です。
しかし、注意点としては、上司からの「緊張感」は受け入れるべきだが、「嫌悪感」は避けるべきだということです。つまり、「あいつは少し面倒くさいな」と思われるのはOKですが、「あいつは許せない」と感じられると、仕事がしにくくなる可能性があるため、これは避けるべきです。
では、具体的にはどうすればよいのでしょうか。ただ単に仕事を断るだけではなく、適切な方法で断る必要があります。
5ステップの具体例
具体的に言うと、断るときは可能な限り早く、そして非常に明確に断るべきです。まず、「可能な限り早く」というのは、一度引き受けた仕事を、期限ギリギリになってから「やっぱりできません」と言い出すことは最悪のシナリオであり、それを避けるためにも早めの対応が重要となります。そのため、仕事を依頼されたタイミングで、その仕事のゴールとルールを確認し、その時点で仕事の価値を評価して、自分がその仕事を受けるべきか、断るべきか、または他の誰かに任せるべきかを判断すべきです。
そして、「完全に明確に」というのは、あなたが作成した時間割を使って断ることが重要であることを示しています。言い換えると、「ちょっとバタバタしてて、無理かも…」といった曖昧な理由で断るのではなく、具体的な時間割を示して「今、私のスケジュールはこんな感じで、この仕事を受け入れる余裕がありません」と明確に断るべきです。このように明確に断ることで、相手からの信頼を保つことができます。
さらに、上司との間で優先順位を整理するためにも、時間割は非常に役立つツールとなります。特に、直属の上司があなたの主要な業務に関与している場合、時間割を見ながら一緒に仕事の優先順位を整理することが最も効率的なアプローチです。
また、今述べたようなやりとりを行うためにも、明日や明後日だけでなく、1週間後までの時間割をざっくりとでもいいので作成しておくべきです。なぜなら、あなたが今日や明日の仕事だけをスケジュールに入れていると、上司から「じゃあ、今週中にやってほしい」といったような、締め切りの緩い仕事を差し込まれる可能性があるからです。それを防ぐためには、1週間先までの時間割を作成しておくことが重要となります。
以上の内容からわかるように、このエッセンシャル思考を実践するためのステップは、あくまで「できる人」向けのものです。つまり、その仕事に対して一定の知識や経験を持ち、仕事を選ぶ立場にある人が対象です。また、エッセンシャル思考を始める前には、自分自身が何に強いのか、どんな能力やスキルを持っているのかを理解し、それを育てておくことも重要です。
エッセンシャル思考実践
初めてエッセンシャル思考を実践するときは、シンプルな行動量が最優先となります。つまり、初めはまだ慣れていない間、仕事をたくさんこなすことが先決となります。これは、自分がどの仕事が重要で、どの仕事が重要でないかを理解し、それを基にエッセンシャル思考を適用するための基礎を作るためです。
次に、エッセンシャル思考を実践し、それが成功した後は、その思考法を周りの人々に広めるべきです。というのも、自分だけが無駄な仕事から解放され、その無駄な仕事を他人に任せるだけでは、その効果は限定的であり、長期的に見るとどこかで崩壊する可能性があります。そうならないためにも、周囲の人々にもエッセンシャル思考を理解し、実践してもらう必要があります。
しかし、その布教活動は注意が必要です。エッセンシャル思考は「この仕事は無駄かもしれない」といった厳しい事実を突きつけるものであり、それは人によっては耐えがたいものです。それを受け入れさせるためには、相手のプライドに配慮し、敬意を持って伝えることが必要です。自己優越感にとらわれず、エッセンシャル思考そのものがすばらしいものであると強調することが大切です。
なぜなら、エッセンシャル思考を理解し、実践するようになると、自分だけでなくチーム全体の無駄な仕事が減少し、それが結果として自分の仕事の効率向上にも繋がるからです。経験から言って、自分一人だけでエッセンシャル思考を実践するよりも、チーム全体でエッセンシャル思考を実践するほうが、仕事の進捗は確実に改善されます。そのため、エッセンシャル思考を実践することに慣れたら、積極的にその思考法を周囲に広めていくことをお勧めします。
以上の2つの補足により、エッセンシャル思考を実践する際には、まず仕事を選べる立場になることが大切であり、それを達成するためには最初は量をこなすことが重要であると理解していただけたでしょう。そして、エッセンシャル思考を長く続けるためには、それを自分だけのものにせず、チーム全体に広めることが重要であるという点も押さえていただけたはずです。これらを忠実に実践すれば、効率的な働き方を実現することができるでしょう。
まとめ
本日の記事をまとめていきましょう。エッセンシャル思考は、私たちが仕事や日々の生活における最も重要な要素に集中することを助けてくれます。しかし、それは全ての課題や目標を完全に達成する魔法の解決策ではありません。”エッセンシャル思考万歳!”と言ってみたいところですが、実際のところ、これを実践したとしても、後悔のない人生が保証されるわけではありません。
エッセンシャル思考を用いて、自分の人生の大切な部分、つまり本当に意義深いと感じる2割に集中できたとしても、後悔は避けられないと思います。どんなに偉大な成果を達成した人でも、「全てを達成し、何も残さず死んだ」という人はほとんどいません。それだけ人生は、思ったよりも短く、不確定なものなのです。
だからこそ、エッセンシャル思考を継続的に実践することは価値があります。それにより、どれだけ短いと感じられるかもしれない人生の中で、自分が本当に大切だと思う部分に焦点を当てることができます。これは、やり残しの少ない人生を追求する手段とも言えます。
本日のブログを通じて、エッセンシャル思考の重要性や、それを実践する際の注意点についてお伝えできたらと思います。そして、これをきっかけに、皆さんがエッセンシャル思考を日々の生活や仕事に取り入れ、より充実した人生を送る助けになれば幸いです。
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