【ベストセラー】「80歳の壁[実践篇] 幸齢者で生きぬく80の工夫」
高齢者専門の精神科医、和田秀樹先生が著した新作『80歳の壁 実践編:高齢者で生き抜く80の工夫』を皆様に紹介したいと思います。この本は前の著作『80歳の壁』の続編で、前作は驚くべきことに50万部以上が売れ、2022年に最も読まれた本となりました。今回の書籍も同じく素晴らしい内容になっていますので、興味がある方はぜひ本を手に取ってみてください。それでは、本の内容を簡単に見てみましょう。
健康寿命を伸ばすためには、とにかく何かを止めないこと
人間が80歳になると体力や能力が一気に衰えてしまうというのは、すべての年齢の人が認識しておくべき現実です。80歳が近い人だけでなく、まだまだ若い人も、80歳という壁が存在し、その壁をどう乗り越えるかが、健康で楽しい人生を送る上で非常に重要です。この点をまず理解しましょう。
80歳を過ぎたころに、私たちは急速に老化する理由は、主に生物学的な要因にあります。例えば、細胞の老化です。人間の細胞は分裂して増えることができますが、その回数には限りがあります。この限界は、細胞が分裂を繰り返すことにより、「テロメア」と呼ばれる染色体の末端部分が短くなり、新しい細胞を作れなくなるためです。また、細胞が受けるダメージが蓄積し、機能が低下してしまうことも原因の一つです。これは、活性酸素や老廃物などが細胞にダメージを与え、そのダメージが年齢と共に蓄積されるためです。さらに、免疫機能の低下やホルモンのバランスの変化も関与しています。これらの要因が複雑に絡み合い、80歳を過ぎる頃には、老化の兆候が急速に現れます。
このような生物学的な理由の他にも、長年の高齢者との接触から得た経験に基づく気付きがあります。それは、人間が80歳を境に急激に衰える一因として、「80歳」という特別な年齢への人々の意識が関わっているということです。具体的には、80歳という節目に何かを止める人が増えるからです。例えば、80歳になったからといって運転を止めたり、あるいは何かの習い事を止めたりする人が多いのです。そして、何かを止めれば、外に出る機会が減り、頭や体を使う機会が少なくなり、それが心身の衰えを加速させることにつながります。
人間の体や脳は、「使わないと衰える」という原則があります。
習い事をやめて脳を使わなくなれば、脳はどんどん老化します。運転をやめて外出する機会が減れば、体を動かすことが少なくなり、筋肉が衰え、体の老化が進んでしまいます。人との交流が減れば、人とのコミュニケーションが減り、脳の活性化が少なくなり、脳の老化が進みます。こういった行動を止めることは大きなリスクで、結果として健康寿命を縮めることになります。
健康寿命を伸ばすためには、とにかく何かを止めないことが重要です。もちろん、年を取るとできることは少なくなりますが、それでもできる範囲で、方法を工夫して活動を続けていくことが、老化を防ぎ、健康寿命を伸ばす大きな要素となります。
「我慢しない」ということ
健康長寿を実現するための大きな要点の一つは、”我慢しない”ということです。皆さんの中には、「健康に悪そうだから」と自分が本当に食べたいものを我慢している人、あるいは「もう年だから」と自分が本当にやりたいことを我慢している人がいるかもしれません。また、自分の本心を人目を気にして抑えつけている人もいるでしょう。
しかし、こういった我慢は、健康寿命を遠ざける大きな敵となります。日本人の多くは、「我慢すること」を美徳と捉えています。これは、私たちが受けてきた教育の影響も大きいでしょう。学校や職場で、「我慢することが大切だ」と教えられてきました。
しかし、著者は「我慢は健康に悪い」と指摘します。不必要な我慢をすると、免疫力を支えるナチュラルキラー細胞の活性が低下し、ガンなどの病気を引き起こすリスクが高まるからです。人間の体は不確実性に満ちているため、我慢が成功するケースもあるかもしれません。しかし、我慢することと、自分の気持ちを大切にすること、どちらが健康寿命を延ばすのかは、医者を含めて誰にもわからないというのが現状です。
それならば、年を取ったら食べたいものを食べ、やりたいことをし、前向きで楽しく生活しましょう。
80歳からの食事法
これからは、80歳を超えるためにどのような食べ物を選び、どのような食べ方をすれば良いか、食事に関する知識を紹介します。これからご紹介する食事法は、「80歳の壁」を乗り越えるための非常に実践的な方法です。最初に、これらを6つにまとめておきます。以下が、「80歳の壁」を乗り越えるための超実践的な食事法です。
- 認知症予防のため、刺身を食べましょう。
- 現在の食事に加えて、1日に50gの「まるまる」を食べましょう。
- 1週間に少なくとも1パックの特定の食品を食べましょう。
- 食べ方を工夫し、低栄養や低カロリーの食事は避けましょう。
- ランチはなるべく外食しましょう。
- お酒は水で薄めて飲みましょう。
これらを一つずつ詳しく説明していきます。
認知症を防ぐために刺身を食べる
まずは、「認知症を防ぐために刺身を食べる」という食事法から始めます。みなさんが健康に詳しい方なら、魚が脳に良い影響を及ぼすことはご存じかと思います。実際、魚にはDHAという栄養素が含まれており、脳の働きを高める効果が研究で確認されています。なぜDHAが大切なのかというと、それは脳の情報伝達に必要なシナプスを作る材料になるからです。
DHAを摂取すると、シナプスが増えて脳の働きが良くなると考えられています。逆にDHAが足りないと、シナプスが劣化して情報伝達がスムーズに行われなくなり、高齢者の場合、認知症の原因になる可能性があります。
そこで重要なのが、特に脂が多く含まれる魚からDHAを摂取することです。マグロ、ぶり、鯖、イワシなどの脂の乗った魚にはDHAが多く含まれています。そしてここで大切なのは、刺身で食べることによってDHAを効率よく摂取できるという点です。焼いたり揚げたりするとDHAが失われてしまうことがあるためです。
それなら、スーパーで刺身を購入してきて食べることをおすすめします。DHAを補給するだけでなく、高齢者に足りないたんぱく質も一緒に摂取できます。それに、刺身はすぐに食べられるので、日々の食事に取り入れやすいです。
でも、刺身が苦手な方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にはサバの味噌煮をおすすめします。サバにはDHAが豊富に含まれていて、大豆製品の味噌と一緒に食べると、高齢者にとって非常に良い食事となります。サバの味噌煮は缶詰でも販売されているので、調理が面倒な日でも手軽に摂取できます。
こうした食事法を日常に取り入れることで、健康寿命を延ばす手助けになることでしょう。このように、認知症を防ぐために刺身を食べるという食事法を詳しく説明しました。しかし、これが全てではありません。他にもさまざまな食事法が存在し、それらを組み合わせることで、より健康的な生活を送ることができます。
食事にプラスして1日50gの肉を食べること
まず、「80歳の壁を超える超実践的な食事法」の一つとして、日々の食事にプラスして1日50gの肉を食べることを提案しています。これは、特に75歳以上の高齢者がタンパク質を十分に摂取するためのアドバイスです。
一方で、「肉」といっても、種類は牛肉、豚肉、鶏肉など多種多様です。そこで質問が寄せられます。「どの肉を食べればいいのか?」「歯が悪くて肉が食べにくい場合はどうすればいいのか?」など。これについての答えをここで詳しく解説していきます。
まず、「どの肉を食べればいいのか?」という質問に対しては、一つの種類に偏りすぎず、牛肉、豚肉、鶏肉をバランス良く食べることが理想とされています。なぜなら、それぞれの肉には異なる栄養素が含まれていて、これらをバランスよく摂取することが健康寿命を伸ばすための最良の方法だからです。
さらに、どの種類の肉が健康寿命を伸ばすかに関しては、確固たるエビデンスは存在していません。そのため、多様な食材を食べることが、エビデンスが不十分な状況では最も良い方法とされています。
次に、「結局、どのくらいの量を食べればいいのか?」という質問に対しては、現在の食生活にプラスして、1日に50gの肉を食べることが提案されています。これは、90歳まで現役だった瀬戸内寂聴さんや105歳まで現役だった日野原重明さんが、亡くなる直前まで肉をよく食べていたことに触発されたものです。
この目標を達成するためには、日常生活で少しだけ工夫をすることで可能です。例えば、うどんやラーメンの選択時には、肉入りのものを選ぶ、スーパーでサラダを買う際には、チキン入りのサラダを選ぶなどです。
また、肉を食べるタイミングとしては、朝をおすすめしています。朝方は肝臓が活発に働いており、肉のタンパク質を消化吸収しやすいからです。一方で、夜に肉を食べると、肝臓の働きが鈍っているために、タンパク質の吸収が十分に行われない可能性があります。
しかし、朝からステーキや焼肉を食べることは難しいかもしれません。そんな時は、目玉焼きをハムエッグに変えたり、野菜だけのサラダに焼豚をトッピングしたり、麺類に肉を加えたりするなどの工夫をすることがおすすめです。
最後に、「歯が悪くて肉が食べにくい場合はどうすればいいのか?」という質問に対しては、肉を細かく切ったり、柔らかく調理したりすることで解決することが可能です。また、肉をスープやシチューにして食べることも一つの方法です。
以上が、80歳の壁を超えるための超実践的な食事法についての説明です。このアドバイスを実践することで、健康寿命を延ばすことが期待できます。
週に少なくとも1パックの納豆を食べる
次に、長寿を支える食事法の一つ、「週に少なくとも1パックの納豆を食べる」について、高校生でも理解できるようにお話しします。先ほどは、タンパク質を摂る大切さと、特に肉を食べることの重要性について説明しました。さらに加えて食べてほしい食品があります。それは、納豆です。
長生きする国では、豆類をよく食べる傾向があります。そして、豆類の中でも特に健康に良いとされているのが納豆です。大きな研究が行われたことがあるんです。それは「高山調査」と呼ばれるもので、岐阜県高山市の約2万9000人の男女を対象に、16年間にわたる追跡調査が行われました。
この調査の結果、週に1パック以上の納豆を食べていた人は、ほとんど食べていない人に比べて、心筋梗塞と脳梗塞を発症するリスクが約25%も低かったということが分かったんです。これらの病気は命を脅かすものなので、皆さんには週に1パックは納豆を食べることをおすすめします。
納豆が好きな人は、1日に1から2パックまで食べても大丈夫です。もし可能なら、毎日納豆を食べる習慣をつけるのが最高ですね。以上が、「週に少なくとも1パックの納豆を食べる」ことが80歳を超えるための食事法の一つである、という話でした。
食べ方をスイッチし、食べ方を変えて、低栄養や低カロリーは避ける
次に、80歳を超えるための食事法の一つ、「食べ方を変えて、低栄養や低カロリーは避ける」という方法について詳しく説明します。皆さんは、年齢を重ねると食事量を減らすべきだと思っていませんか?しかし、実際には、年齢が上がっても必要なカロリーはそれほど変わらないんです。
たとえば、18歳から29歳の男性が必要とするカロリーは2300から2650kcalほどですが、75歳以上でも1800から2100kcalが必要なんです。これは、高齢者でも若い頃の80%近くのカロリーが必要ということを意味します。同様に、女性についても、若い頃の約8割のカロリーが必要です。
しかし、現実には、高齢者が適切なカロリーを摂取できている人は少ないです。多くの高齢者は、必要なカロリーを摂取できずに低栄養状態に陥り、筋肉量が減少しています。これがフレイル(身体機能が衰え、健康障害を起こしやすい状態)につながるんです。
食欲が自然と落ちる高齢期に、無理に食事を控えると、栄養不足になり、結果的に寿命が短くなる可能性があります。40代や50代までは、栄養過多による生活習慣病が心配なのですが、高齢期には低栄養状態が問題になります。
実際に、厚生労働省のデータによれば、65歳以上の人の中で低栄養状態の人は男性で約12%、女性で約21%、85歳以上になると男性の約17%、女性の約28%といいます。このような低栄養状態は、筋肉量が減少して転倒しやすくなり、結果として寝たきりになるリスクが高まるんです。
なので、高齢者は好きなものを食べ、適量をしっかりとることが大切です。ただし、過度の飲食は避けてください。いっぱい食べたら太るかもしれないか心配だという方もいるかもしれません。しかし、高齢者の場合、少し太めの方が健康的に長生きできることが研究からも明らかになっています。
逆に、最も危険なのは、カロリーが不足し、栄養が足りない、そして体型が細いという状態です。実際に、痩せ型の人はやや太めの人よりも平均的に6年から8年も寿命が短いという研究結果があります。
若い頃や中年期は、体重が多いことが健康にマイナスに働きますが、高齢になると、逆に食事量を減らしすぎて低栄養になることが問題になります。ですから、皆さんはこのことを是非とも覚えておいてください。
ランチはできるだけ自宅ではなく、外で食べること
「80歳の壁を超えるための実践的な食事法」の5つ目として、「ランチはできるだけ自宅ではなく、外で食べること」をご紹介します。
定年退職を迎え、通勤がなくなると、昼食を自宅で摂ることが増えますよね。しかし、この食事法では、ランチくらいは外で食べることをおすすめします。
その理由は、ランチを外で食べるという行為が、自然と外出を習慣化する手段となるからです。自宅に閉じこもる生活は、脳と身体の老化を進める可能性があります。認知機能の低下やフレイル(体力や活動量が低下し、病気や障害になりやすい状態)を防ぐためには、適度に外出することが大切です。
ランチに外出すると、そのついでに買い物をしたり、公園に立ち寄ったりと、行動範囲も自然と広がります。これは良い運動となり、脳にも刺激を与えてくれます。
ランチに行く際は、できれば車ではなく、歩いたり自転車に乗ったりして行くことが良いでしょう。これにより、適度な運動効果を得ることができます。歩行や自転車は、心臓や血管の健康を保つだけでなく、筋力や柔軟性を向上させる効果もあります。
また、午前中に家事や作業をしていた人は、ランチタイムになると疲れが溜まってきます。この疲労感や集中力の低下を解消するためにも、ランチは外食がおすすめです。例えば、日光を浴びながら外食店に向かうと、気分転換にもなり、セロトニン(幸せホルモン)が活性化します。これにより、午後からの活動がより元気にできます。
毎日外食するのが難しい場合でも、週に3日程度、天気の良い日に外出してランチを楽しむといいでしょう。それでも難しい場合は、週に1回でも良いので、ランチタイムを楽しむ時間として設けてみてください。
お酒は薄めて飲む
「80歳の壁を超えるための実践的な食事法」の6つ目は、「お酒は薄めて飲む」です。
アルコール類は、高齢になっても、適度な量を飲む分には問題ありません。ただし、大量に飲むこと、つまり深酒や飲み過ぎは絶対に避けるべきです。これは若い人にも当てはまることで、一日に摂取するアルコールの量は、純アルコールで20グラム程度に抑えることが推奨されています。これはビールなら中瓶1本、日本酒なら一合程度の量です。
しかし、高齢者の場合、肝臓の働きが若い頃と比べて落ちているので、その量よりも少なめに、ゆっくりと飲むのが良いです。高齢者がお酒を飲みすぎると、アルコール依存症になるリスクが高まります。また、深酒をすると疲労が残りやすくなります。だからこそ、若い頃と同じ調子で飲むのは避けるべきです。
そして、アルコールを飲む場合は、その濃度をできるだけ低くすることが大切です。飲む液体の量は多少多くても、純アルコールの量は増やさないようにしましょう。例えば、ウイスキーや焼酎などのアルコール度数の高いお酒を飲む時は、たっぷりの水やお湯で割って、アルコール度数を下げると良いです。
アルコールの濃度を下げることで、純アルコールの量も減り、老化した肝臓でもアルコールを分解しやすくなります。
それでは、80歳を過ぎたら絶対にやめてはいけない3つのことについてご説明します。
1:ルンバに頼るのではなく、自分で掃除をする習慣。
これは、日常生活の中での適度な運動を維持するための大切なポイントです。掃除は体を動かす良い機会であり、健康的な生活を維持するために重要です。
2:ドラム式洗濯機で健康寿命を伸ばす。
これは洗濯をするという日常的な動作を通じて、適度な運動を取り入れることができるという考え方です。特にドラム式洗濯機は、洗濯物を出し入れする際に腰を使う動作が必要なため、腰周りの筋肉を使うことができます。
3:脳の血流を促進し、ボケを予防するある習慣。
これは具体的に何を指しているかは明示されていませんが、一般的には散歩や適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠などが脳の血流を促進し、認知機能の低下を防ぐのに有効とされています。特に適度な運動は心臓を強くし、血液の流れを良くするのに有効です。
ルンバに頼ってでも掃除をする習慣
それでは、80歳を過ぎたら絶対にやめてはいけないとされる、一つ目のポイント「ルンバに頼ってでも掃除をする習慣」について詳しく説明します。
家事は高齢者にとって大切な運動の機会となるのです。特に、掃除や洗濯などは体を動かす良いチャンスです。現代の便利な家電製品を活用しながらも、なるべく自分でこれらの家事を続けることが大切です。
なぜなら、掃除などの家事は、体を動かすだけでなく、頭を使う機会にもなるからです。これはフレイル(身体機能が全体的に低下する状態)の予防や認知症の予防にも繋がります。つまり、身体と頭を使う家事を続けることは、健康維持のためにとても重要なのです。
しかし、年齢を重ねると体力は自然と減少します。それでも、工夫したり、新しい家電製品を活用したり、ヘルパーさんに手伝ってもらったりしながら、家事を続けることが推奨されています。
たとえば、これまで使ってきた重い掃除機が使いにくくなったら、最近人気の軽量で使いやすいスティック型の掃除機に変えるのも一つの方法です。また、さらにその手が難しくなってきたら、自動で掃除してくれるロボット掃除機(例えばルンバ)を利用するのも良いでしょう。
このような工夫を通じて、掃除という重要な日常習慣を維持することが大切です。部屋が汚れてしまうと、ハウスダストが増えてダニが増え、健康に影響を及ぼすことがあります。また、部屋が散らかっていると転びやすくなるリスクもあります。さらに、きれいな部屋を保つことは心の健康にもつながります。
ドラム式洗濯機を使って健康寿命を延ばす方法
次に、80歳を過ぎたら絶対に止めてはいけない活動についてお話しします。それは、ドラム式洗濯機を使って健康寿命を延ばす方法です。
まず、皆さんにはなるべく自分で洗濯を続けていただきたいのです。洗濯は、高齢者にとっても良い運動になります。特に、洗濯物を上から取り出す動作は、上半身の筋肉を鍛えるのに最適な運動となります。また、洗濯物を下から拾う動作はスクワットと同じ効果があります。だからこそ、足腰が元気なうちは、自分で洗濯をすることがおすすめです。
しかし、年齢を重ねると洗濯物を干すのがだんだんと大変になってきます。そんな時には、乾燥機能付きの洗濯機に変えることをおすすめします。洗う、すすぐ、乾燥まで全てをワンタッチでやってくれる全自動タイプが良いでしょう。
特に高齢者の方にはドラム式洗濯機がおすすめです。ドラム式洗濯機なら、洗濯物を低い位置から出し入れできるため、腰などへの負担が小さくなります。今では色々な便利な機器がありますから、自分に必要なものを選んで活用しながら、自分で洗濯を続けることが健康寿命を延ばす秘訣なのです。
料理する習慣
それでは、「脳の血流を促進しボケを予防するあの習慣」について詳しく説明します。それはつまり、「料理する習慣」のことです。
料理は、認知症の発症や進行を防ぐために役立つ「デュアルタスク」の一つとされています。「デュアルタスク」とは、2つの作業を同時に行うことを指します。料理はその最高の例です。なぜなら、料理を行うことで、脳が活性化し、認知症の発症や進行を防ぐことが可能だからです。
料理をする際、例えば、包丁を使いながら味噌汁を作ったり、電子レンジを使いながら炒め物を作るなど、2つ以上の作業を同時に行うことが求められます。そのように、複数の作業を並行して進めることで、脳は複雑な情報を処理することになり、それが脳の活性化につながります。
また、料理をすると、手を細かく使う必要があります。手を動かすことで、脳の血流量が約10%上がることが研究でわかっています。つまり、手を使う作業は、脳の活性化につながるのです。
さらに、料理をするには、計画力や判断力も求められます。例えば、冷蔵庫にある食材を組み合わせて料理を作るためには、どの食材をどう組み合わせるか、どの順番で料理をするかなど、計算力が必要になります。
また、料理は全身運動にもなります。約10分間料理をすると、700歩歩いた時と同じカロリーを消費します。1日3回の料理だけで2000歩歩いたのと同じ運動量を得ることができます。
さらに、自分で料理をすることで、健康的な食事をとることも可能になります。自炊は、体にとって非常に良い影響をもたらします。
認知症予防には歩こう
日本国内には約700万人の認知症患者がいるという事実は気になりますね。そして、軽度認知障害を含めると、2025年にはその数は1000万人に達する可能性があると言われています。高齢者の認知症の発症率は上昇傾向にあり、90歳から94歳の間では約60%にも上ると言われています。しかし、逆に考えると、その年齢群の約40%の人々は認知症にならないということなんですよ。
さて、年を取ると、体全体の筋肉が萎縮していくように、脳も同じようにしぼんでいくのですが、その現象を防ぐための方法があります。それは「歩く」という行動です。足は体で最も頭から遠い部分にあるにも関わらず、歩行と脳との間には密接な関係が存在します。
1週間に90分、つまり1日当たり約13分程度歩く人は、週に40分以下しか歩かない人よりも、認知機能がよく保たれることが科学的に証明されています。さらに、週に5回、1回あたり20分歩くと、認知症の発症率が40%減少するという研究結果もあります。
歩くという行動は、足の筋肉だけでなく、背筋や腹筋も鍛えられ、全身の運動になるのです。さらに、血流が良くなり、心肺機能や代謝機能が向上します。
それでは、具体的に何をすれば良いのか考えてみましょう。まず、歩くスピードにこだわる必要はありません。自分自身の体力や体調に合わせて、自分のペースで歩くことが重要です。次に、歩くルートについてですが、70代までは色々な道を歩くことをおすすめします。しかし、80歳になる頃には、慣れた道を歩くのが最適です。
そして、歩く際には、快適で安全な靴を選ぶことが重要です。つま先が少し上がっている靴や、開口部が大きく足を入れやすい靴、そして滑りにくい靴を選ぶことが大切です。
まとめ
80歳を境に人間の体は急速に老化するといわれていますが、その壁を上手く乗り越える方法は実は身近に存在します。日々の生活の中で、自分自身で活動を続けることが何よりも大切で、それが健康寿命を延ばす一つの大きな鍵となります。
人生80年と言われますが、その先の人生をどのように過ごすかは、自分の手にあると言えるでしょう。これからも、皆さんが健康で楽しく生活できるための情報をお届けしていきますので、どうぞお楽しみに。
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