ストレスという言葉を聞くと、多くの人はネガティブな感情を思い浮かべます。確かに、ストレスが原因で体調不良を引き起こすこともあれば、心が不安定になり、不眠やうつ病を招くこともあります。しかし、「ストレスは全て悪いものではない」という視点に立つと、ストレスは脳や体にとって重要な役割を果たしていることがわかります。この記事では、青砥瑞人さんの著書『ハッピーストレス』を通じて、ストレスを味方につける方法を探っていきます。
HAPPY STRESS (ハッピーストレス) ストレスがあなたの脳を進化させる [ 青砥瑞人 ] 価格:1815円 |
ストレスとは人生のスパイス
まず、思い出してほしいのは、人生の中で一番嬉しかった瞬間です。たとえば、大学の試験に合格したときや、仕事で初めて内定を得たときなど。これらの瞬間は大きな達成感を伴い、同時に強いストレスを感じていたことに気づくでしょう。ストレスがあるからこそ、その達成感がより大きな喜びに変わるのです。つまり、適度なストレスは人生を豊かにする「スパイス」のようなものです。もちろん、過剰なストレスは有害ですが、適切なストレスは成長と達成感をもたらしてくれます。
脳はネガティブな情報に反応しやすい
私たちの脳は進化の過程でネガティブな情報に敏感に反応するようにできています。これには進化的な理由があります。昔の人々は、危険な猛獣や病気などに対して迅速に対応することで生き延びてきました。このため、私たちの脳は今でもネガティブな情報に強く反応します。たとえば、ニュースでもポジティブな話題よりも、犯罪や事故、スキャンダルといったネガティブなニュースに惹かれがちです。
しかし現代社会では、この「ネガティブ情報への過剰反応」は、かえって無駄な不安やストレスを生み出す原因になってしまいます。だからこそ、まずは自分がどれほどネガティブな情報に影響を受けやすいかを理解し、できる限りその情報に触れないように工夫することが大切です。
1日に注意を向けられる量は限られている
私たちの脳は、1日の中で集中できる時間や注意のリソースが限られています。そのため、ネガティブなニュースに時間を費やすと、その分他の重要なことに集中する余裕がなくなります。たとえば、テレビやインターネットで無駄な情報に気を取られていると、勉強や仕事に集中できなくなることもあります。これを防ぐためには、何に自分の注意を向けるべきかを慎重に選び、自分の時間とエネルギーを無駄にしないようにする必要があります。
自分次第でどうにかなることに注意を向ける
では、具体的に何に注意を向ければよいのでしょうか?答えは、「自分次第でどうにかなること」に集中することです。たとえば、天気や芸能人のスキャンダルなど、自分ではコントロールできないことに気を取られても意味がありません。反対に、自分の行動や健康管理、学習の仕方など、自分次第でどうにかなることに焦点を当てることで、ストレスを感じる機会が減り、より効果的に日常を過ごすことができるようになります。
ストレスには良い面と悪い面がある
ストレスには、良い面と悪い面があります。良い面としては、ストレスが成長と喜びをもたらしてくれる点です。たとえば、大学の入学試験や仕事のプロジェクトで大きなプレッシャーを感じながらも、それを乗り越えたときの達成感は格別です。逆に、悪い面としては、ストレスが過度になると、体調不良や精神的な不調を引き起こすことがあります。だからこそ、ストレスをただ避けるのではなく、うまく管理して良い面だけを引き出す方法を学ぶことが重要です。
ストレスは学びのチャンス
ストレスを感じたとき、そのストレスを「学びのチャンス」と捉えることができれば、ストレスは大きな成長の原動力になります。たとえば、何かに失敗したり、困難な状況に直面したときは、その経験から学ぶことで、次に同じような状況に陥ったときにうまく対処できるようになります。脳科学者であるアリア・クラブ博士の研究によると、「ストレスを学びの機会だと考えるだけで、ストレスが減少する」とされています。つまり、ストレスを感じたときには「この経験から何を学べるか」を考えることが大切です。
慢性的なストレスを避ける
短期間のストレスであれば、成長や学びに繋がることがありますが、慢性的なストレスは避けるべきです。長期間にわたるストレスは、心身に大きなダメージを与え、体調不良や精神的な病気を引き起こす原因になります。たとえば、長時間労働や絶え間ないプレッシャーにさらされ続けると、最終的には体調を崩してしまいます。したがって、ストレスを感じたときは、できるだけ早くその原因から距離を置き、リラックスする時間を確保することが大切です。
ストレスを減らすための具体的な方法
ストレスを減らすための効果的な方法の一つは、適度な運動をすることです。運動は、体を動かすことでストレスホルモンを減少させ、気分をリフレッシュさせる効果があります。また、何かに没頭する趣味を持つことも、ストレスを和らげるために有効です。絵を描いたり、楽器を演奏したり、文章を書くなど、集中できる活動を行うことで、悩みや不安から一時的に離れることができます。
さらに、人とのスキンシップもストレス軽減に効果的です。人を抱きしめたり、手を握ったりすることで、脳内に「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌され、ストレスが和らぎます。もしパートナーや家族がいない場合でも、ペットとのふれあいがストレス解消に役立つことがあります。
期待を下げてストレスを軽減する
最後に、無駄なストレスを避けるためには、他人に対する過度な期待を持たないことが重要です。誰かに期待を抱きすぎると、その期待が裏切られたときにストレスを感じてしまいます。たとえば、誕生日に特別なプレゼントを期待していたのに、それがなかった場合、失望とともにストレスが生じるでしょう。このような状況を避けるためには、最初から期待値を下げておくことが効果的です。高すぎる期待は、日常生活で不必要なストレスを生む原因となります。
まとめ
ストレスは、適度であれば成長や喜びをもたらし、人生を豊かにしてくれるものです。しかし、過度なストレスは心身に悪影響を及ぼすため、うまく管理することが大切です。ストレスを「学びのチャンス」と捉え、自分次第でコントロールできることに集中することで、ストレスを減らし、より充実した生活を送ることができるでしょう。
コメント